タックスヘイブン地域に海外移住するには?
海外に移住する前に検討しておきたい事とは?
企業の責任者としてはもちろん、個人でタックスヘイブンを行いその恩恵を受けるために、最もわかりやすい方法が「タックスヘイブン先への移住」です。
しかし引っ越すだけでは足りない様々な手続きなどが存在し、移住国によって変わる法律なども知らなくてはなりません。
そこで今回はタックスヘイブン先として人気の、モナコ・香港・シンガポールこの3か国に移住する場合について、詳しくご紹介していきましょう。
海外移住する前に知っておきたい事は?
日本非居住って何?
日本非居住とは、言葉の通り日本に居住権がない状態のことを言います。
「住民票を海外に移せば非居住?」と思われる方もおられるでしょう。
しかし厳密に言うと少し違います。
日本非居住の条件は、主に下記の2つが挙げられます。
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・日本国内に住所がないこと
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・日本国内に居住場所がない、または居住所の保有期間が1年未満の個人
これが日本の非居住者の定義です。
ちなみにここで言う「1年未満」とは、正確には183日以下とされています。
「183日ルール」などと呼ばれることがありますが、1年のうち日本に183日以上、住所も家もない状態なのであれば、それも日本非居住者として名乗ることができます。
日本非居住者としての正確な判断とは?
どのような状態が日本非居住者なのかを正確に判断するのであれば、下記のフローチャートを利用してみましょう。
このように「日本に住民票がなくとも日本に183日以上いれば日本居住者」ですし、それ以下の日数しかいないのであれば、それは非居住者です。
日本非居住者のメリットはどんなものがある?
日本非居住者のメリット、それは「日本人でありながらも日本の法律に縛られないこと」です。
今回のようにタックスヘイブンを目的とした移住なのであれば、所得税に相続税、法人税や消費税など、あらゆる税制から解放されることになります。
タックスヘイブン①『モナコ』へ移住するには?
モナコは銀行預金30万ユーロで居住権がもらえる?
モナコに移住する場合は、「銀行預金がこれくらいありますよ」という資産額を提示する必要があります。
一般的には100万ユーロ(1.3億円)が必要だとも言われていますが、銀行によっては30万ユーロ(4,000万円)でも居住権が発行してもらえる可能性があります。
モナコはまともな住居はほとんどが億ションである
資産額次第では居住権も発行してもらえないほど「お金持ちしか住めない国」のモナコでは、当然のように賃貸物件なども高額なものばかりになります。
これは購入しようとした場合も同じです。
そのほとんどが億ションと呼ばれる高級マンションばかりなのです。
モナコは治安はいいがお金だけでは快適には暮らせない?
居住権も物件もお金がものをいうモナコですが、治安の良さは世界でもトップクラスです。
モナコには警察が400人ほどいますが、これは人口で割ると警察1人あたり90人の担当となりますので、そういう意味では安心して暮らせる国だと言えるでしょう。
しかしモナコに住む国民の多くが、どちらかというと閉鎖的な考え方をしており、中には「5代住み続けなければ国民じゃない」とまで言われているのです。
そのため移住した人の中にも、このような空気に耐えられず帰国する人もいるのだとか。
お金だけあったとしても、このような空気感には少し悩まされそうです。
タックスヘイブン②『香港』に移住するには?
香港の最高税率はいくら?
香港の最高税率は17%ととても低い数値になっています。
日本の最高税率は40%となっていますので、その差は歴然です。
また日本のように様々な税金の種類が存在するということもありません。
香港は外国人が負担する税金の種類はとても少ないのです。
固定資産税とアルコール度数の高い一部の酒税、あとはスーパーで貰うビニール袋税の3つくらいしかありません。
ですので40%と17%の差以上に、香港での税制による優遇面は非常に大きいと言えるでしょう。
香港に移住するにはビザが必要!
「香港に移住するにはビザが必要!」と言いましたが、厳密に言うと必須というわけではありません。
なぜなら日本人が香港に行く場合、90日まではノービザでの滞在が可能だからです。
またこの期間中に1度でも海外に出れば、また90日間の延長が受けられますので、時々海外に出るという人であれば、ビザは必要ありません。
但し香港での生活に欠かせない身分IDカードにはビザが必要ですし、またノービザ中に収入を得れば不法就労となるリスクもあります。
こう考えると、本格的に香港に居住するというのであれば、やはりビザは欠かせない必要なものとなるでしょう。
ちなみにタックスヘイブンを目的として香港に移住するのであれば、下記のいずれかを取得するようにしましょう。
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・就労ビザ:会社オーナーとして取得する投資ビザ
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・投資移民ビザ:1,000万香港ドル以上を香港へ投資すると取れる投資移民ビザ
香港への移住に関わるコスト
香港に移住するために必要なコストをいくつか挙げていきましょう。
・ビザ取得代
上記でご紹介したビザ代です。
15,000香港ドルくらいかかります。
またこの初回ビザは1年で期限が切れるため、1年後にエクステンドビザを取得するのにのもう5,000香港ドル程度かかります。
・賃貸物件費用
どのようなレベルの物件にするかでも大きく変わりますが、おおよそ一般的なアパートで、月に15,000香港ドルが相場です。
・食費や雑費など
物価で言えば、日本と同じくらいかやや高めだと考えておきましょう。
これら以外にも渡航費用や引っ越し費用、電気ガス水道のデポジットなどを考えると、日本で生活を整えるよりもお金がかかると考えておくと良いかもしれません。
タックスヘイブン③『シンガポール』に移住するには?
シンガポールは税金が安い
個人所得の最高税率で見てみましょう。
日本では最高50%取られる税率ですが、シンガポールでは最高税率20%です。
シンガポールで経営者として節税する場合は
税率が低いのは法人税でも同じです。
日本の法人税最高税率が39.45%なのに対し、シンガポールでは半分以下の17%になっています。
個人所得でも、法人としての納税額も、日本より断然安く済ませることができます。
シンガポールに5年住むと相続税の優遇措置が受けられるようになる
5年間シンガポールでの生活をつづけた際には、相続税のグリーンカードというものがもらえます。
これはただでさえ低い税率の相続税を更に安くできるものです。
お子様への相続税を考慮しての移住ならば、「5年以上の期間」という余裕を持った移住開始がおすすめです。
シンガポールに移住する場合いくつかの壁がある
シンガポールで生活を始めるには、おおよそ2,000万円ほどの資金が必要だと言われています。
またその後の生活でも、年に1,000万円以上なければ生活が楽に感じないそうです。
そのため資金に余裕がある場合でなければ、シンガポールに住み続けるのは難しいでしょう。
またシンガポールでは学歴を求められることも多いでしょう。
お子様が編入される場合は、日本での学歴証明書などが必要になることがほとんどです。
シンガポールでは金融商品の規制緩和が日本より進んでいる
投資ファンドの種類も日本より断然多く、中には年率60%のリターンを保障している会社もあります。
またキャピタルゲインに対しての課税率が0%なのを含め、日本よりも規制緩和が進んでいますので、投資目的での移住もおすすめです。
タックスヘイブンについて知りたいなら
今回ご紹介している「タックスヘイブン利用による恩恵を受けるための移住」ですが、そもそもタックスヘイブンに関する基礎知識は大丈夫ですか?
移住を考えているのであれば尚更、こちらの記事で再度学んでおきましょう。
「よく聞くタックスヘイブンって何?分かりやすく解説します!」
タックスヘイブンのメリットについて知りたいなら
タックスヘイブンのメリットは節税効果しかないとお思いの方もおられるようですが、実際には他にも数多くのメリットは存在します。
下記の記事ではそのメリットと同時にデメリットについても解説してくれていますので、こちらも併せて参考にしてみましょう。
「タックスヘイブンにはどんなメリットやデメリットがあるのか?」
パナマ文書について知りたい場合なら
タックスヘイブンに注目が集まるきっかけともなったのが、一時期ニュースなどで取り沙汰されていたパナマ文書流出事件です。
パナマ文書とはどういうものなのか、どのような経緯で流出するようになったかなど、パナマ文書に関する情報は、こちらの記事を参照にしてみましょう。
「タックスヘイブンのパナマ文書って何?分かりやすく解説します!」
タックスヘイブンへの日本の規制について知りたいなら
タックスヘイブンを行うのであれば、必ず規制についての知識も持っていなくてはいけません。
企業なのか個人なのかでも変わりますが、下記の記事で日本のタックスヘイブン税制対策について学んでおきましょう。
タックスヘイブンで節税について知りたいなら
「タックスヘイブンで節税できる」というのはみなさんご存知のことですが、実際にはどのような流れで節税に繋がるのか、その詳しい仕組みはおわかりでしょうか。
この節税の仕組みについて詳しく紹介してくれているのが下記の記事です。
併せて一読してみることをおすすめします。
移住する前に日本の規制を知っておこう!
今回は移住地として3か国を挙げさせて頂きましたが、当然ながらそれぞれの国にそれぞれの注意点が存在します。
どこの国への移住であれ、しっかりとした事前知識は実行する際の助けとなるはずです。
タックスヘイブン先への移住をお考えなのであれば、日本の規制や移住先の規制などをきちんと理解した上で決断するようにしましょう。
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