アイルランドの法人税率は日本の半分以下
タックスヘイブン国の中に、アイルランドがあります。
アイルランドは多くの大企業などからそのタックスヘイブン先として選ばれるのですが、それは何故なのでしょうか。
今回はこの「タックスヘイブン先としてアイルランドが選ばれる理由」についてご紹介していきましょう。
住民税はなんと最大40%!アイルランドの税率は?
アイルランドの法人税率はいくら?
アイルランドが選ばれる理由でもある、アイルランドの税率についてご紹介していきましょう。
まず企業側が1番気にする税率、法人税です。
アイルランドの法定実効税率は12.5%です。
日本が29.97%ですので、アイルランドは日本の半分以下ということになりますね。
アイルランドの法人税率の推移について
日本の半分以下であるアイルランド法人税の推移を確認してみましょう。
実は20年ほど前までは、日本以上の税率だったのです。
しかし財政収支と反比例するかのように、年々法人税率は下がり続け、ここ14年ほどは変わらぬ数値を維持しています。
アイルランドの消費税率はいくら?
「法人税も低いのだから、消費税も低いのでは?」そう感じるかもしれませんが、実はアイルランドの消費税は23%と、こちらは日本の3倍近い数値になっています。
しかし食料品には消費税がかかりませんし、子供の衣料品や絵本なども非課税です。
また所得の低い人への負担が軽く設定されているため、国民からの大きな不満はないそうです。
アイルランドの個人所得税はいくら?
消費税と同じく、日本よりも高い税率なのが「個人所得税」です。
日本では最大15%なのに対して、アイルランドは最大40%となっています。
しかし日本では給与税が最大59%かかるのに対して、アイルランドは最大11%となっていますので、トータルで見るとやはり日本の方が個人所得から引かれる税金額は多いようです。
グーグルやアップルが節税対策として活用した手法
ダブルアイリッシュ、ダッチサンドイッチとは?
誰もが知る世界的大企業、Googleやアップル社もタックスヘイブンを利用しています。
一般的に25%から30%かかるといわれる税率を、なんと2.4%ほどに抑えているというのですから驚きです。
Googleやアップル社が利用しているタックスヘイブンは「ダブルアイリッシュ・ダッチサンドイッチ」と呼ばれています。
これはアイルランドに2つの子会社を作ること(=ダブルアイリッシュ)し、オランダを経由すること(=ダッチサンドイッチ)という意味です。
アイルランドに子会社を持つ理由について
何故アイルランドに子会社を持つのか、その理由はアイルランドの税制です。
アイルランドでは、俗にいうペーパーカンパニー(本拠地が別にあり、実際には営業実績のない会社)は、非居住者扱いとなるため課税されることがないのです。
アイルランドに子会社を2つ持つのは何故か?
では何故2つも子会社を持つ「ダブルアイリッシュ」にせねばならないのでしょうか。
先ほど「ペーパーカンパニーは非課税」とご紹介しましたね。
これが1つの会社しかないのであれば、それは営業実績があることになるので課税されてしまいます。
しかしここで2つ目の会社を作り、そこでの利益をライセンス料として1つ目の会社に納めることにするのです。
こうすることで所得がゼロになり、アイルランド国内でも課税されることはありません。
オランダの子会社を経由する理由について
「ダブルアイリッシュ」だけで非課税の仕組みが完成しているかのように見えるのに、何故オランダを経由する「ダッチサンドイッチ」を行うのでしょうか。
その理由が、上記で触れた「2つ目の会社に1つ目の利益をライセンス料として納めること」に関係します。
実はこのライセンス料の支払いは、アイルランド税制により課税対象となってしまうのです。
しかしアイルランドには「オランダ法人との取引なら非課税」という特例があります。
そこで1度オランダを経由させ、ライセンス料の支払いそのものも非課税にしてしまおうというわけです。
世界的大企業ともなれば、それぞれの国の税制を上手に利用した、大規模で合法的な節税対策を行っているのですね。
アップルは日本で税金逃れをしている?
日本での税金逃れについて
日本共産党中央委員会は「アップル社が税金逃れをしている」と発表し話題になっています。
確かに携帯電話として一大地位を築いたアイフォンを始め、日本国内でも多くのアップル社製品は見かけますね。
日本では法人税率20%~30%納めなければならないのに対し、アップル社は1%~6%しか納めていないというのです、
2015年度だけでも、2,000億円は払っていなければならない計算です。
しかし思い出してください。
アップル社はダブルアイリッシュダッチサンドイッチを行っている企業です。
アップルの税逃れを調べた米国上院常設調査委員会の報告書(13年5月)によれば、南北アメリカ大陸を除く諸外国で得たアップルの利益はアイルランドに移され、複雑な税逃れ工作でほぼ無税となっています。
このように「複雑な税逃れ対策」とされてはいますが、それは合法です。
「うちの国民から稼いだお金なのに我が国に納税しないのはおかしい」という気持ちもわかりますが、正しい法の使い方で行われるこの節税スキームを責められるかどうかは難しい点です。
iphoneユーザーには身近なアップル税について
アップル税とは?
アイフォンユーザーの方はもちろん、音楽や映画がお好きな方もApp Storeを利用したことがあるかもしれません。
このApp Storeでは、今までアプリや課金額に30%の「アップル税」と呼ばれるお金がかかっていました。
売上からのアップルの徴収分はユーザーごとに課金を開始した初年度が30%とするものの、課金開始2年目以降は15%に引き下げるとしました。
しかしアップル社はこのアップル税を15%にまで引き下げることを発表したのです。
また月額制アプリの見直しなども行われ、多様化なビジネススタイルを目指しています。
App Storeにおけるアプリに検索性の悪さも、開発者・ユーザー双方にとって大きな問題でした。140万本を超えるアプリが存在するApp Storeにとって、予備知識なしに自分が気に入るアプリを仕入れるのは至難の業であり、アップルはこの部分にも改善を加えるとしています。
アップル税の引き下げの他にも使いやすさの向上など、まだまだアップル社の躍進は止まらないようです。
タックスヘイブンの仕組みについてよく知ろう!
タックスヘイブンの仕組みについて、おわかり頂けたでしょうか。
確かに自国からすれば国益を失う仕組みではありますが、タックスヘイブン国からしてみれば決して廃止して欲しくないものでしたね。
国同士の問題や企業側の利益など、タックスヘイブンには様々な事情が絡み合っています。
これらの仕組みを理解するだけでも、日々のニュースから正しい情報を読み解く力となるでしょう。
ぜひ今回の情報を参考にし、タックスヘイブンについての理解を深めてみましょう。
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