何故起こった?スイスフランショックを徹底解説!
FX界に激震が走った一大事件の真相とは
FXを行われている方はもちろん、FXを知らない方ですらこのニュースは耳に入ってきたことでしょう。
2015年1月5日、FX界に激震が走った大事件が起こりました。
それが「スイスフランショック」です。
今回は「何故スイスフランショックが起こったのか」はもちろん、「その時各種データはどのように動いたのか」、また「その事件により被害を受けた方々のその後」などを、わかりやすく徹底解説していきたいと思います。
スイスフランショックを知る前の予備知識
知っておいて欲しいたった2つの予備知識
スイスフランショックを知る前に、まずはスイスフランについての予備知識を学んでおきましょう。
とはいえ何も難しいことはありません。
知っておいて欲しいことはたった2つです。
それらのことについて、次項から説明していきましょう。
1:スイスフランはリスク回避通貨だった
まず1つ目が「スイスフランはリスク回避通貨だった」ということです。
ちなみに我らが日本円も同じくリスク回避通貨として扱われています。
リスク回避通貨とは、簡単に言いますと「世の中に何かあってもこの通貨なら大丈夫」という絶対的な信頼がある通貨のことです。
これを証明するかのように、2008年のリーマンショックや2011年の欧州債務危機など、世界的な不況の波が起こるたびに、スイスフランと日本円に「買い」が集中しています。
「リスク回避通貨だった」ということは、つまり「スイスフランは安心な通貨だ」と思われていたということです。
2:スイスフランにはある約束が守られていた
そして2つ目が「スイスフランはある約束が守られていた通貨だった」ということです。
これを専門用語では「ユーロペッグ」と呼ぶのですが、この約束によってリスク回避通貨になっていたと言っても過言ではありません。
スイスフランに対して、スイス銀行はこんな約束をしていました。
「1スイスフラン=1.2ユーロ以下にはしない」、これはつまり「対ユーロで1.2を下回るような下落があっても永続的に介入を行う」という宣言だったのです。
「何があっても1スイスフラン=1.2ユーロ以下にならない」
「世界的に信用が高いスイス銀行が介入し続けてくれる」
この約束・信用があるからこそ、スイスフランはリスク回避通貨になっていたのです。
「スイスフランはスイス銀行が守ってくれるリスク回避通貨だった」この予備知識を覚えて頂いたところで、いよいよ次項からは「スイスフランショックの原因」について説明していきましょう。
リスク回避通貨「フラン」が暴落した原因は?
スイス銀行が放ったたったひとつの方針
スイスフランショックが起こった原因、それは簡単なことです。
2015年1月5日に、スイス銀行が「1スイスフラン=1.2ユーロ以下になってももう介入しない」と宣言したためです。
つまり今まで守られ続けてきた約束が撤廃されたのです。
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1スイスフラン=1.2ユーロ以下になるようになった
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スイス銀行の介入がなくなった
この2つの要因により、スイスフランの信用度が激変しました。
何故スイス銀行は介入をやめたのか
先ほど「世界的不況の波」と称した中のひとつ、2011年の欧州債務危機にも関係しています。
この時に景気悪化はもちろん、デフレを懸念したトレーダーたちが、「ユーロを売ってスイスフランを買う」という動きを見せたのです。
欧州債務危機が落ち着いたあとも、「ユーロ売り・スイスフラン買い」はその勢いを落としません。
その結果、スイス銀行は「1スイスフラン=1.2ユーロ以下」の維持が困難になりました。
為替値に介入するということには莫大な資金を必要とします。
つまり「スイス銀行に約束を守り続けるだけの財力がなくなった」ことが、スイスフランショックのきっかけだったのです。
実際にスイス銀行総裁も、「持続可能な政策ではないとの結論に達した」と説明しています。
スイスフランショックによる為替の変動
スイスフランショックによるチャートの変動とは
それまでは必ず「1スイスフラン=1.2ユーロ以下」が保たれ続けてきました。
その時のユーロスイスは下記のようなチャートを描いています。
この画像を見てもわかるように、1.200以下には決してならないチャートで続いていたのです。
しかしここでスイス銀行の政策変更が告げられたことで、その姿は激変します。
発表からわずか20分の間に、ユーロスイスは41%もの大暴落を見せるのです。
守られていた「1.200ライン」は、もはやチャートの上部で見えなくなる寸前です。
あわや0.900を下回る勢いで、ユーロスイスチャートは変動しました。
この時の実際のチャート変動は動画として収められ、YouTubeでも数多く見受けることができます。
その中でもわかりやすいチャート変動を見せる下記の動画をご紹介しておきましょう。
【FX】ユーロ スイスフラン(EUR CHF) が大暴落したときの瞬間
こちらの動画を見てもわかるように、それまでの平穏な動きはどこへやら、見たこともない下落が続いています。
また激動のチャートを描いたのは、何もユーロスイスだけではありません。
スイスフランを含む通貨ペア全てで、大暴落を記録しています。
【フラン円】
【ドルフラン】
【ポンドフラン】
「1スイスフラン=1.2ユーロ」とあるように、もちろん1番の打撃はユーロスイスでしたが、それ以外の通貨ペアでも、類を見ない激動のチャートになったのです。
pipsはどう動いた?
FXで欠かせない単位でもある「pips」。
このスイスフランショックの時のpipsの動きは、トレーダーたちに今でも「あんなpipsは見たことがない」と言われるほどです。
スイス銀行の発表からたった5分で1,600pips、20分後には3,800pipsもの変動を見せたのです。
FXでは「1日に20pips取れれば億万長者になれる」と言われています。
それなのに、この日のたった20分で3,800pipsもの変動です。
これがいかに大きな数字であるかがわかるでしょう。
これをドル円で換算してみると、1ドル115円であったものが20分後に77円になるのと同じです。
このような激しい円高になれば…その影響は簡単に想像することができるでしょう。
強制ロスカットはどうなった?スイスフランショックで借金を背負う訳
FXは基本的に借金をしないシステムである
そもそもFXには「強制ロスカット」というシステムがある以上、基本的には「借金をせずに済む」取引です。
口座にある金額以上の含み損になれば強制的に取引が終了する、それが強制ロスカットなのですから当然ですね。
しかし実際にはスイスフランショックで何千万もの借金を背負ったトレーダーがいます。
これは何故なのでしょうか。
恐怖の空白時間があった
その原因は、スイスフランショックの変動があまりにも大き過ぎたためです。
この時、あまりの値動きに「インターバンクで価格を表示できない時間」というものが発生してしまいました。
つまり1.20を保つユーロスイスで、1.19でロスカットを設定していたとしましょう。
しかしほんの数秒で1.00を切るような動きをしてしまったことで、「インターバンクが機能しない=本来設定していた値でロスカットが発生しない」という事態が起こってしまったのです。
この日の値動きをまとめたものが下記になります。
このような「強制ロスカットが機能しないくらいの値動き」のことを「値飛び」と呼びます。
スイスフランショックでもこの値飛びが起こってしまったため、借金をしないように設定していたはずのその設定が発動せず、借金になってしまったのです。
追証を巡る裁判の行方とは
追証とは
そもそも追証とは、「あなたが今行っている取引では口座のお金が足りなくなる可能性がありますので、追加でお金を入金してください」というものです。
値飛びを起こしたインターバンクも、次第に価格提示を行えるまでに回復します。
しかしその時には、すでに強制ロスカットから何百pipsも離れた価格でした。
つまりスイスフランでの取引を行っていたトレーダーの多くが、「設定が働かず物凄く下落した数値で強制ロスカットをくらってしまった」わけです。
追証の責任はどこにある?
本来であれば、自分の責任で行った取引で出たマイナスは自分で処理せねばなりません。
しかしこれを「自分の責任で行った取引」としていいのかどうか、疑問が残りませんか?
実際に「自分は責任を持ってロスカットを設定していたのに、値飛びのせいで実行されなかったのだからFX業者が悪いのではないか」という声も多数上がりました。
しかし恐らくほとんどのFX業者の利用規約には、証拠金以上の損失が発生する可能性があること、そしてその時の損失は本人が背負うことが記載されています。
つまりトレーダーはその規約に納得して取引を行ったことになるのです。
FX業者からしてみれば「利用規約に記載している通りトレーダーの責任になる」、トレーダーからしてみれば「値飛びによるロスカット義務違反だ」、ここでトレーダーvsFX業者での裁判が行われることになりました。
トレーダーが注目した裁判の行方とは
「追証の責任はどこにあるのか」この判決を巡っては、結果的にトレーダーの意見が通るかたちで収束することになります。
つまり「FX業者が追証の責任を持つので、トレーダーの借金はなし、もしくは減額でいいですよ」となったのです。
これは金融商品取引法が投資家保護の観点で作られていたことが決め手です。
「投資金以上の損失を個人投資家に負わせてはならない」という保護法が勝ったことになります。
金を取るか信用を取るか
上記ではまるで全てのFX業者がトレーダーに責任を問うたように聞こえますが、実際に「責任はトレーダーにある」として裁判を起こした業者はあまり多くありません。
裁判を起こした有名業者ですと、DMM証券・ライブスター証券・YJFXなどがそうです。
しかしそれ以外のFX業者は、「当社にも非がある」と最初から認めたのです。
この業者の対応の差で、あなたは何を感じるでしょうか。
これは「業者の信用度」に大きく関わっています。
「万が一の場合に顧客を守ろうとしてくれるかどうか」、これはFX業者選びでの大切なポイントになるでしょう。
つまりお金を取るのか信用を取るかで考えた際、裁判を起こさなかった業者は信用を取った、ということでしょうか。
億単位で損害を出した業者側の言い分ももちろんわかりますので判断が難しいことですが、実際に裁判を起こした業者への非難がトレーダー達の中で広まったのもまた事実なのです。
追証・借金が絶対に発生しない業者がある!?
日本企業にはない驚きのシステムとは?
今回のスイスフランショックを受けても、追証も発生せず借金も背負わなかった業者があります。
それが海外企業のFX会社です。
海外のFX会社には、日本にはないシステム「ゼロカットシステム」というものがあります。
これは「口座以上のお金を請求することはない」という、追証を完全否定したシステムです。
このゼロカットシステムのお陰で、海外企業でFXを行っていたトレーダーは一切の借金を背負うことはありませんでした。
例えば下記の記事に書かれている企業「iForex」も、海外を代表する人気のFX会社です。
アイフォレックスではゼロカットシステムがどのように扱われているのかが書かれていますので、この「日本にはない借金をせずに済むシステム」に興味がある方は、参考までに一読してみましょう。
iForex(アイフォレックス)のメリット・デメリットを徹底解剖!アイフォ戦士で利益1億を達成するための全知識
スイスフランショックの被害を受けた人々のその後
業者が背負った負債額とは
全ての業者がその被害額を公表しているわけではないので、その詳細な金額を知ることはできません。
しかし中には公表している業者もありますので、いくつかご紹介していきましょう。
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・FXCM:260億円
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・IG証券:53億円
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・シティグループ:175億円
他にも老舗のFX業者だったアルパリUKは経営破綻で倒産していますし、米FXCMは子会社であるFXCMジャパン証券を楽天証券に売却しました。
大損した個人トレーダーの声
スイ円Sで詰みました
たったの2日で去年の利益+原資が消えて口座残高-420万と去年の税金です。
もうやめますさようなら
吐き気が留まらん…
-9200万とか絶対払えんぞ
うわなにやってんだおれ
証拠金率170%…
もう終わりだ…マイナス50万…
寝れない…手が震えてる…
胸が苦しい…
追証が2000万超えてるんですが
これ破産とか無理ですか?
とても払えません財産もありません
このように見ていて胸が苦しくなるような悲痛な叫びが数多く見受けられます。
またこのような方々は、詳細情報は発表されていないものの、自己破産による免責、もしくはFX業者との示談というかたちで落ち着いたようです。
大儲けしたトレーダーも存在する?
業者や個人トレーダーが大損している中、大儲けしたトレーダーも存在します。
口座に一億あるんだが...
涙が止まらない ヤバいヤバい
勝っただろ俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺
+5,000万 .... 人生やり直せる
まじでふるえがとまらん
神様ありがとうございますまじで
みんな今までお世話なりました引退します(*_*)
仕事やめるわ
1億2千万ゴチ
337895553円って
今から退職届書きますわ
このように、大損害を被った人もいれば、大儲けをしたトレーダーも存在します。
当時の2chまとめでリアルな声を聞こう
上記の生の声は、全て2chからの転載になります。
他にも様々な当時の声が、2chには記録されています。
主にスイスフランについて書かれているスレッドの中でも、スイスフランショック時のスレッドが下記の2つになります。
その当時、実際にはどのようなことが起こったのか知りたい方は、2chまとめを覗いてみてはいかがでしょうか。
必要なのは危機管理能力!最大限のリスクヘッジをしよう!
自分の取引を見つめ直そう
今回はスイスフランショックに関する情報をご紹介してきました。
FXでリスクヘッジは欠かせませんが、ロスカットや強制ロスカットを過信しすぎている人はいませんか?
スイスフランショックのように、ロスカットが必ずしもあなたを守ってくれるシステムになるとは限りません。
自分の取引を見つめ直し、最大限のリスクヘッジを持ってFXを行うようにしましょう。
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