住宅ローンの連帯保証人はどんな時に必要?
住宅を購入する時には、住宅ローンの利用が一般的です。その時には連帯保証人が必要となる場合と不要な場合があります。
この記事では連帯保証人について分かりやすく解説した上で、連帯保証人の選び方や審査基準、その他のイレギュラー対応について紹介します。
住宅ローンを借りるのに保証人・連帯保証人は必要か?
実はひと口に保証人といっても、さまざまなケースが存在します。
保証人が必要な時と、連帯保証人が必要な時、銀行が保証会社に依頼するため保証人は要らないケースなど、その状況に応じての対応となっています。その辺りの内容も含めて深堀していきましょう。
連帯保証人が必要な場合と不要な場合について
連帯保証人が必要なケースをご理解いただくためには、連帯債務者との違いや、保証人と連帯保証人の違いから理解していただく必要があります。
その上で、連帯保証人が必要な場合と不要な場合を知っていただくとスムーズです。
また、連帯保証人の条件や、さまざまなケースごとに必要な対応について見て行きましょう。
連帯債務者との違いとは?
連帯債務者と連帯保証人は、何となく言葉が似ているため混同しやすいかも知れませんが、それぞれ明確な違いがあります。
連帯債務者は、債務者本人と同じように債務を負っている立場で、返済が滞らなくても責任があります。
連帯保証人は本人と連帯して債務を保証している人のことですが、本人の返済が滞ってから請求を受ける人を指します。
保証人と連帯保証人の違いとは?
保証人と連帯保証人も立場は異なります。いずれも本人が返済不能となった時には、代わりに返済する義務がありますが、保証人には一定の権利があります。
それは、債権者から返済請求があった時に、本人からの請求を促したり、債務者への強制執行を主張する権利を有しています。
また、保証人が複数人の場合は、人数で割った金額までの保証となります。
連帯保証人にはこれらの権利はありません。
連帯保証人が必要な場合は?
連帯保証人が必要なケースは、大きく分けると4つのパターンがあります。
- 年収を合計して住宅購入する
- 共有名義
- 親名義の土地に住宅を建築する
- ペアローンを活用する
場合などがあげられます。
連帯保証人が不要な場合は?
連帯保証人が不要な場合は大きく分けると3つのパターンがあります。
- 単独名義で住宅ローンを組む
- 住宅ローンの借入をまかなえるだけの年収がある
- 住宅ローンの審査通過をした
などがあげられます。
連帯保証人の条件とは?
連帯保証人は誰でもなれるというわけではありません。なぜなら連帯保証人は、万が一本人が借金を返せなくなった場合に、代わりに返さなくてはならないため、信用力がないとなれないのです。
連帯保証人の条件は、「申込者の親族」「万一の場合に支払い能力がある」などです。
収入合算の場合妻が連帯保証人になる
連帯保証人になるケースとしては、一定の目安がありますので紹介したいと思います。
住宅ローンの借入れを行う時に、夫婦の収入を合算してローンを組む場合には、夫の名義で住宅ローンを組んで、連帯保証人は妻がなるケースが一般的です。
親など親族の名義の土地に建物を建てる場合は土地所有者が連帯保証人になる?
親や親せきの名義の土地があったとして、その土地に建物を建て、ローンを組んで購入する家が共有名義であるならば、土地所有者と共有名義とするケースがあるようです。
親子ペアローンで互いの連帯保証人になる
ペアローンを組む場合は、一緒にペアローンを組む相手に連帯保証人の依頼をすることが一般的です。
連帯保証人はほとんどの場合、身内に依頼しますが、返済ができなくなると、身内に迷惑がかかることになりますので、慎重に組む必要があります。
連帯保証人の選び方について
連帯保証人の選び方は、万一の自分の借金を肩代わりしてくれる人を選ぶことになりますので、盤石の信頼関係がある人と、もしも返せなくなった場合に肩代わりしてもらったとしても、資金的体力がある人を選ぶ必要があるでしょう。
保証人の選び方は?
連帯保証人は安易に選んではいけません。
たとえば、「頼みやすいから」とか、「何でも願いを聞いてくれそう」という理由で選ぶ人もいらっしゃいますが、もしもの時に耐えうる経済的ゆとりのある人を選択しないと、迷惑の度合が大きくなりますので細心の注意が必要です。
保証人を変更する場合は?
連帯保証人の変更は簡単にはできません。
連帯保証人の変更は、金融機関の同意が必要となりますが、新たな連帯保証人が見つからないと同意してくれることは期待できないでしょう。
新たな連帯保証人を見つけることも至難の業ですので、基本的には変更は難しいと考えておきましょう。
連帯保証人が用意すべき必要書類は?
必要な書類は3種類
連帯保証人になる方にも、本人確認の種類等が必要になります。
用意せねばならないものは金融機関によって異なりますが、多くの場合は下記の3種類です。
-
運転免許証
-
健康保険証
-
印鑑証明
「本人確認ならば1と2どちらかだけでもいいのでは?」と思われるかもしれませんが、多くの場合は両方を必要とします。
またもしどちらかが用意できないようであれば、代わりにパスポートの提示を求められることもあるようです。
連帯保証人も金融機関に行かなければならない?
「連帯保証人も銀行に赴かなくてはいけないのか」と多くの方が疑問に思うことでしょう。
答えはYESです。
連帯保証人も借入先の金融機関に行かねばなりません。
その理由が、書類に自筆署名をせねばならないためです。
また実印による押印も、銀行員の前で行うよう求められることが一般的です。
そのため連帯保証人には必要書類を用意してもらうことと同時に、一緒に金融機関に来てもらうこともお願いせねばなりません。
住宅ローンを組む際に連帯保証人の審査基準は?
住宅ローンを組む場合の連帯保証人には審査があります。
審査基準は「債務者の勤続年数」「連帯保証人の支払い能力」「信用情報機構への事故登録がない」「購入する不動産の価値」がチェックされています。
それぞれの内容について見て行きましょう。
債務者の勤続年数
債務者の勤続年数が長いと、安定収入の目安となります。仕事の継続性が認められますので、3年以上を目安と考えておきましょう。
連帯保証人の支払い能力
連帯保証人の支払い能力は、先ほどから紹介している通りです。
支払い能力がない人が連帯保証人になっても、何の保証にもなりませんので、最重要のポイントだといっても過言ではありません。
信用情報機構への事故登録がない
過去に金融取引で事故を起こしていないことも審査条件となっています。
金融取引の情報は信用情報機関に登録され、金融事故を起こした場合には情報共有されます。金融事故の経験があると、信用力がないとみなされますので、連帯保証人になることはできません。
購入する不動産の価値
もしも借金を返せなくなった場合を想定して、これから購入する住宅には抵当がつくことが一般的です。そのため、融資した額に釣り合う住宅でないと、貸し倒れリスクとなりますので、不動産の価値も大切です。
保証人の審査が通らない場合は保証会社の利用を検討する
保証会社とは?
もし保証人の審査を申し込んでも通らなかった場合は、保証会社の利用を検討してみましょう。
また最近では「保証人不要」とし、最初から保証会社の利用をすすめてくる金融機関もあります。
しかし保証会社は「返済が滞った時にローンの肩代わりしてくれる」ものではありません。
返済が滞った時に、住宅ローンを貸した金融機関にかわり、代位弁済をしてくることになります。
つまり住宅ローンを借りた人間の立場からしてみれば、催促をしてくるのが金融機関から保証会社になるだけです。
多くの場合が「保証会社が助けてくれるのではないか」と思われているようですが、決してそんなことはないということを覚えておきましょう。
保証会社を使うメリットはある?
返済が滞った時の手助けはしてもらえませんが、利用するメリットもあります。
何よりも大きいメリットが「保証人審査に落ちても借り入れができる」という点ですが、他にも繰上返済をした場合です。
この時に、自分から確認せずとも、最初に保証会社に支払った保証料の払い戻し金額を教えてくれます。
また住宅ローンを完済した暁には、抵当権設定の抹消手続きを行うための書類送付や助言もして貰えます。
抵当権抹消手続きを素人で行うのは少々困難なものがありますので、この手助けは有難いメリットです。
デメリットは高い保証料?
保証会社を利用する最大のデメリットが、その料金です。
「保証料」と呼ばれる費用が高額になりがちなのです。
この保証料の支払い方法は、2通りあります。
それが借入時に一括で支払う方法と、金利に保証料分を上乗せして分割払いにする方法です。
分割払いの場合、住宅ローン金利に0.2~0.3%上乗せさせるのが一般的とされています。
例えば借り入れ額が1,000万円あったとしましょう。
返済期間が35年であったとするならば、一括返済で20万円はかかります。
これが返済期間30年になったとしてもおよそ19万円、25年の返済期間で17万円程度と、あまりその金額は変わりません。
ちなみに住宅ローンで1,000万円という金額はないと考え、現実的に3,500万円で考えてみましょう。
この時返済期間を35年とするならば、「約20万円×3,500万/1,000万円」になりますので、約70万円もかかってしまうのです。
しかもこの約70万円は一括返済した場合の金額です。
分割払いにした場合は、おおよそで約165万円の出費となってしまいます。
一括払いにすると最初に数十万円の現金が必要になりますし、分割払いならばどれだけ低い金利商品を選んでもその恩恵は薄くなってしまいます。
これが保証会社を利用する際の最大のデメリットです。
住宅ローンの連帯保証人こんな時はどうする?
住宅ローンの連帯保証人は、審査が必要であることと、一度なってしまうと連帯保証人を辞退することは難しいと考えなければなりません。連帯保証人の交代も困難となります。
では、イレギュラーなケースが発生した時にはどのような対応となるのでしょうか?
住宅ローンで連帯保証人が死亡したときはどうなる?
万が一連帯保証人が死亡した場合にはどうなるのでしょうか?
連帯保証人が死亡した場合の債務は、法定相続人が負うことになります。
もしも、相続時に借金が発覚した場合には、相続を放棄する手続きを取るか、財産も債務も一部だけ引き継ぐ限定承認をすると良いでしょう。
離婚したら夫の住宅ローンの連帯保証人から抜けれるか?
離婚をしたとしても、連帯保証人から抜け出すことはできません。
そもそも連帯保証人は結婚しているからなっているわけではなく、他人でも成り得ます。離婚をしても免れないと知っておきましょう。
保証人が自己破産してしまった場合はどうなる?
ほとんどの金融機関では、連帯保証人の破産を「期限の利益喪失事由」としています。
つまり「その人にはもう連帯保証人としての資格はないですよ」とすることです。
こうなった場合、金融機関は名義人に対して一括弁済を求めることが可能になります。
しかし「ただ可能になる」だけであり、名義人が遅滞なく住宅ローンを支払っているのであれば、一括弁済請求されない可能性もあるでしょう。
とはいえ連帯保証人不在のままでいるわけにもいきません。
この場合、金融機関から新しい連帯保証人を立てるように催促されることが多いかと思います。
一括弁済を求められるのか、それとも新しい連帯保証人が求められるのかは、その契約した金融機関により様々です。
契約書を確認するようにしましょう。
借入額を増やしたいなら連帯債務とペアローンがおすすめ!
連帯債務とペアローンのメリット・デメリットとは
連帯債務者・保証人・連帯保証人、それぞれの言葉の違いは冒頭でもお話した通りです。
またそれ以外にも「ペアローン」という言葉も出てきたかと思います。
連帯債務は、2人で1つの住宅ローンを支払うことです。
ペアローンは2人で2つそれぞれの住宅ローンを組むことです。
この2つの方法には、それぞれメリット・デメリットが存在します。
その違いを一覧表でまとめてみました。
メリット |
デメリット |
|
連帯債務 |
それぞれ控除が適用される |
団体信用生命保険は名義人のみ |
ペアローン |
控除が2人分受けられる 団体信用生命保険が別 |
2倍の諸費用がかかる 両者が審査に通る必要がある |
ここで注目して欲しいのが、連帯債務・ペアローン共に「住宅ローン控除が受けられる」という点です。
住宅ローン控除とは、年末調整や確定申告をすることで、住宅ローン残高の1%が控除される制度なのですが、毎年1%の控除というのは大きなメリットになります。
連帯保証人はデメリットだけ!?
連帯債務とペアローンならば受けられる住宅ローン控除ですが、連帯保証人にはこの制度を利用することができません。
連帯保証人は「万が一の場合ローンの肩代わりをする」という大きなデメリットがあるだけで、他に何のメリットもないことなのです。
そう考えると、何のメリットもない連帯保証人を探すのはとても困難なことかもしれません。
もし「住宅ローンの借入額をもっと増やしたい」と思うならば、社会的信用の高い連帯保証人を探すよりも、連帯債務やペアローンを検討した方が建設的です。
最も得する住宅ローンの組み方は?
方法別でのメリット・デメリットを把握しておこう
最後に、共働き夫婦の場合の住宅ローンの組み方による違いをご紹介しておきます。
それぞれできることやできないことに差がありますので、借り入れの前にそれぞれのメリット・デメリットをしっかりと理解しておきましょう。
住宅ローンの連帯保証人になる時はよく考えてからなろう!
住宅ローンの連帯保証人になる場合には、慎重に考えてからならなくてはなりません。
連帯保証人は自分には無関係の借金を背負う可能性がありますので、万一の場合の覚悟が必要となります。
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