よく聞くタックスヘイブンのパナマ文書の公開情報を紹介!
パナマ文書とは?
世界中を騒動の渦に巻き込んだパナマ文書流出事件は、まだ覚えておられる方も多いことでしょう。
この事件の発端ともなったパナマ文書について、どれくらいご存知でしょうか。
中には「脱税していた犯罪者の名前があった」といような、間違ったイメージをお持ちの方はいませんか?
今回はパナマ文書とはどういうものなのか、またそれには何が書かれていたのかをご紹介していきましょう。
またこのパナマ文書が流出したことによりどのようなことが変わっていくのかも併せてご紹介していきますので、ぜひ最後までお付き合いください。
タックスヘイブンについて知りたい場合は?
パナマ文書流出事件をきっかけに注目が集まったタックスヘイブンですが、そもそもの仕組みはおわかりでしょうか。
それぞれの国ごとに異なる課税制度を利用した、合法の節税方法です。
その多くは、タックスヘイブン先に法人を設立することで法人税を節税したり、居住権を移すことで個人で利用することも可能です。
この詳しい仕組みや、タックスヘイブンの節税効果以外のメリットなどについて、下記の記事で詳しく紹介されています。
世界中に存在するタックスヘイブン地域も紹介されていますので、ぜひ参考にしてみてください。
「よく聞くタックスヘイブンって何?分かりやすく解説します!」
パナマ文書の公開情報について
パナマ文書には有名な企業や著名人の名前も掲載している
パナマ文書に書かれていたこと、それはモサックフォンセカという法律事務所を利用して、タックスヘイブンを行った顧客情報でした。
その顧客情報の中には、国のトップとも言える首脳陣の名前も多く記載されていたのです。
例えばこの事件で1番最初に退任することになったのは、アイスランドのグンロイグソン首相でした。
グンロイグソン首相はバージン諸島に巨額の資産を隠し持っており、これに反発した国民がデモを起こすなど、国中からバッシングを受けたのです。
それを追うかのように、同じく退任したのがパキスタンのナワズ・シャリフ首相です。
ナワズ・シャリフ首相の場合は、自分の名前が直接書かれていたわけではありませんが、息子と娘の名前があったことで問題視されたのです。
もちろん首相本人がわざと子供の名前で登記した可能性もありますが、「本人の名前があったわけでもないのに退任に追い込まれた要人」として、大きな話題となりました。
他にもまだいます。
ウクライナのポロシェンコ大統領、サウジアラビアのサルマン国王、中国の習近平国家首席なども、タックスヘイブンを利用していたことが判明し糾弾されることになりました。
またロシアのプーチン大統領に至っては、昔からの古い友人の名前があっただけで話題になっていましたね。
パナマ文書には日本の企業や日本人の名前も載っている
もちろん日本人の名前や企業名も、このパナマ文書には記載されていました。
誰もが知る有名人と言えば、楽天の三木谷浩史社長、セコム創業者の飯田亮などがそうでしょう。
企業名で言えば、伊藤忠商事や丸紅もそうです。
アパレル業界では、ファーストリテイリング社でしょうか。
社名ではわからないかもしれませんが、みなさんお馴染みのユニクロやGUの親会社です。
他にもソフトバンク関連企業の名前もありました。
ICIJのHPより内容が確認できる
パナマ文書流出の際に、その情報の裏付け捜査を買って出たICIJという機関があります。
これは各国のジャーナリスト達が集う連合です。
このICIJの公式サイトでは、誰でもが確認できるパナマ文書のデータベースが用意されているのです。
英語表記ということで少しわかりにくいかもしれませんが、企業名はもちろん、「日本人の名前」という検索をすることも可能です。
パナマ文書の内容を受けて各国で追及が強まっている
パナマ文書に名前があったからといって、それが全て犯罪者というわけではありません。
何故ならタックスヘイブンそのものが違法性のない合法の節税方法だからです。
しかし「自国に納税しない」ということになるタックスヘイブンは、「国益を失う行為」としてたびたび問題視されることが多いのも事実です。
そのためパナマ文書に名前が記載されていた人の多くに、現在強い追及が迫っています。
もちろん巨額の資産をクリーンにすることは必要なことではありますが、「パナマ文書に名前があった=悪」というイメージがついてきてしまい、最初から犯罪者のように糾弾される理不尽さが垣間見えています。
ちなみに余談ですが、日本ではこのパナマ文書に名前があった人を捜査するといったことはしていません。
報道関係者が詰め寄ることはありますが、警察当局や税務局が動くことはないのです。
これは日本が「タックスヘイブンは合法であるため」という理由から決断したものでした。
税逃れ対策も進んでいるが抜け穴もある
現在世界中でタックスヘイブンに対する規制強化が行われています。
例えば口座情報の確認・共有であったり、ペーパーカンパニーの規制、審査を厳しくして口座を開設しにくくさせるなど、国によって様々な取り組みが行われているのです。
しかしここで抜け穴となるものがあります。
それは規制強化に非協力的な国です。
「世界中で規制強化が行われている」と言いましたが、それは全世界で共通していることではありません。
そのためこの規制強化に非協力的な国に、タックスヘイブン利用者が集中してしまう可能性もあります。
法が存在しない国へ行くことが、法を抜けることのできる唯一の穴となりそうです。
日本では31億円の申告漏れが明らかになった
今回パナマ文書によって暴かれた人の中には、株主として記載されていた人たちもいます。
その数は約37万人も確認できたと言います。
この37万人を、利用されていた国ごとに分けたランキングTOP3をご紹介しましょう。
1位:香港:5万4,065人
2位:スイス:4万2,531人
3位:中国:2万8,755人
ちなみに気になる日本の順位ですが、日本では439人が確認されており、これは全体で65番目という順位です。
これは「日本がタックスヘイブンではない」ということの証明でもあります。
タックスヘイブンは違法ではありませんが、それを間違った使い方をして脱税や租税回避を行った人もいます。
国税局がその総額を調べところ、この行為のせいでおよそ31億円もの申告漏れを確認したというのです。
タックスヘイブンで巨額の国益を失うどころか、犯罪行為で更に31億円も失っていたことに驚かされます。
タックスヘイブンの規制が厳しくなってきている
パナマ文書がどういったものであるか、またパナマ文書が与えた世界への影響などについてご紹介してきましたが、いかに大きな問題であったかがおわかり頂けたでしょうか。
実際に名前が公開された国の主要人が退任にまで追い込まれる、世界に多大なる影響を及ぼす事件でした。
そしてこの事件をきっかけに、今世界ではタックスヘイブンに対する規制が強化されてきています。
スイス銀行が口座情報共有を宣言し気密性の高さを失ったり、香港では審査が厳しくなり口座そのものが開設しにくくなるなど、今後その流れは一層強くなると予想されています。
現在では、タックスヘイブンを利用することは難しくなっており、高いリスクが伴う節税方法になりつつあるのです。
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