日本企業のタックスヘイブンによる課税逃れの実態
日本の企業は本当にタックスヘイブンにより税金逃れをしているのか?
世間の中にはタックスヘイブンを活用している企業や富裕層の方は税金逃れをしているのではないかというイメージがあります。
実際に企業や富裕層の方はタックスヘイブンを活用して税金逃れをしているのでしょうか?
この記事では、タックスヘイブンによる課税逃れの実態と実情について調べてみました。
タックスヘイブンについて知りたいなら
タックスヘイブンを直訳すると「税の避難所」という意味になります。
簡単に説明すると、日本の税率は高いから外国の低い税率の地域に子会社を設立して、日本で稼いだお金にかかる税金を節税しようとするやり方です。タックスヘイブンは租税逃れと言われていますが、外国の税率を活用した合法的な節税方法になります。
タックスヘイブンの地域は世界各国に存在していますが、共通した特徴があるのでご紹介しましょう。
1つ目は、税率が低いことです。この特徴があるからこそタックスヘイブンを活用するわけですね。
2つ目は、規制が緩いことです。税制だけではなく会社を設立する場合や財産などの規制も緩く過干渉ではありません。
3つ目は、秘匿性が高いことです。タックスヘイブン地域に会社を設立しても、誰が代表であるとか利益がいくらあるのか外部へ情報が漏れる可能性は低いです。
4つ目は、タックスヘイブンの地域で実質的活動が行われることを要求しないことです。すべての地域が要求しないわけではありませんが、ペーパーカンパニーを容認していることになりますね。
タックスヘイブンについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧になってください。
タックスヘイブンのすべてがわかる!仕組みやエリア、税率について
日本企業とタックスヘイブンの実情
どんな立場の人が何の目的で利用するかで意味が違ってくる
タックスヘイブンは法人や個人の方でも利用することができます。
パナマ文書流出事件では、タックスヘイブンを利用していた企業や各国著名人の名前が記載されていたことは有名です。
企業は利益を守る為にタックスヘイブンを利用しています。個人も自分の資産を守る時や子孫にお金を残す時に利用するわけです。
タックスヘイブンは、いろいろな立場の人が何の目的で利用するかで利用する意味が違ってきます。
日本は海外で多額の利益を得ている企業や個人はない?
欧米などでは企業や個人のビジネスマンが海外で事業を行い莫大な利益を挙げていることは珍しくありません。そのため、税率の低い地域に子会社を設立して節税することが一般的になっています。
それに比べて日本ではグローバルに活動している企業や個人はほとんどいないため、海外で多額の利益を得ている企業や個人はほとんどいません。
海外送金が当局に把握される理由はガラパゴスにある
個人の方が、海外へ多額の資産を送金したいと思い、銀行へ行っても海外へ送金するにはハードルが高いと言えるでしょう。
なぜかといえば、日本の金融市場は規制でがんじがらめになっており金融取引は当局の管理下におかれています。脱税逃れと判断されれば海外への送金は不可能となるでしょう。
メディアがタックスヘイブンについてあまり取り上げないのは風説の流布の拡大を恐れているから
パナマ文書流出事件は世界に知れ渡り話題となりましたが、メディアがタックスヘイブンについてあまり取り上げないことを不思議に思っている方もいるかと思います。
理由として考えられることは、タックスヘイブンを利用しても日本ではタックスヘイブン対策税制が設けられているため、企業はしっかり税金を納めているからです。
しっかり税金を払っているのに脱税を思わせるような報道は、企業の価値を損ねるような批判につながりかねません。
日本企業はどれくらい課税逃れをしているのか?
日本はケイマン諸島だけでも63兆円もの租税回避がある
日本は タックスヘイブン地域で有名なケイマン諸島に多額の投資を行っています。日本銀行の調べでは、14年末の時点で総額63兆円の投資を行っています。
この金額はアメリカに次いで世界で2位となっています。この投資の多くはファンドが行っていましたが出資者は匿名になっているため詳細は分かっていません。
投資の収益は2兆8000億円に対して、課税対象が1755億円であり租税回避されていることが分かりますね。
税収ロスは消費税の2%分もある
タックスヘイブンを活用した資産は日本円にして約813兆円あると言われています。課税逃れをしている金額も約20兆円に上ります。
多国籍企業の課税逃れを足せば約50兆円が税収ロスになっています。そのうち日本が1割の税収ロスとすれば、国が税金を徴収できていない金額は5兆円となります。
5兆円の税金を取れていないとなると消費税2%分を増税した金額と同じです。
パナマ文書について知りたいなら
2013年、テレビのニュースで世界を騒がせたパナマ文書流出事件をご存知でしょうか?
パナマ文書は中央アメリカの国のパナマにある法律事務所「モサック・フォンセカ」が作成した書類です。この書類にはモサック・フォンセカとタックスヘイブンを利用した顧客の情報が記載されていました。その数は1150万件に及びました。
なぜ世界を騒がせているのかは、この書類の中に租税回避者の名前が多く記載されていたからです。この中には世界の著名人や有名企業の名前が載っていました。パナマ文書の中には日本の著名人や有名企業の名前も載っていましたが、違法性はないと主張されています。
パナマ文書について詳しく知りたい方は、こちらの記事を読んでみてください。
「タックスヘイブンのパナマ文書って何?分かりやすく解説します!」
パナマ文書に掲載されている日本企業は?
パナマ文書に掲載されている日本の企業とは?
パナマ文書の中には日本の有名な企業も記載されていました。まずはこちらをご覧ください。
電通
バンダイナムコ
シャープ
サンライズ
大日本印刷
大和証券
ドリームインキュベータ
ドワンゴ
ファストリ
ジャフコ
ソニー
ファーストリテイリング(ユニクロ)
やずや
みずほFG
三井住友FG
JAL
石油資源開発
丸紅
三菱商事
商船三井
日本製紙
オリックス
三共
東レ
日本郵船
大宗建設
ドリテック
ジー・モード
アーツ証券
山一ファイナンス
シャープ
三共
東レ
パイオニア
ホンダ
参照元:パナマ文書日本企業リスト一覧!日本人・政治家の名前はあった?
日本企業リスト一覧の中には誰でも知っている企業がいくつもありますね。この一覧に記載されている企業は、タックスヘイブンを活用した節税を行っていることになります。
どの企業も合法的に節税を行っていれば違法性はありませんが、一般の方から見ればあまりイメージはよくないでしょう。
パナマ文書には世界各国の政治家の名前が記載されていましたが、いまのところ日本の政治家の名前が載っているかは確認ができていないようです。
タックスヘイブンによる課税逃れ
課税逃れの実態とは?
2013年のパナマ文書流出事件で、タックスヘイブンを利用した租税回避者の名前が世界中に発信されました。
パナマ文書には世界各国の著名人や有名企業の名前が記載されていましたが、その中には日本の著名人や企業の名前の載っておりその数は約400件に及んでいます。
複数のアジアの国で展開するために活用している
パナマ文書の中に記載されていた日本の企業で日本製紙がありました。日本製紙は海外で事業を強化するため台湾の製紙会社と事業提携を行い2010年に1億ドルを出資しています。
台湾の製紙会社YFYがケイマン諸島に法人を設立した理由は、タックスヘイブンを利用した方が中国やベトナムなどの社会主義国へ事業を展開する際に、法人設立手続きが容易に進められると判断したためです。
ベンチャー企業の株主になってもらうためのスキームとして活用されていた
日本でIT関連の企業を設立していた経営者が外国人に出資してもらうため、バージン諸島に投資を目的とした法人を設立してそこに出資してもらう形を取りました。
外国人にとっては日本語での法律を理解することは難しく、出資額の増減も難しいことからタックスヘイブンを活用したスキームを確立させました。
タックスヘイブンの活用方法を知りたいなら
タックスヘイブン地域を活用した節税のやり方について、どのように手続きを行えばいいのか分からない方もいるかと思います。
まず、タックスヘイブンに法人を設立する方法があります。自分ですべての手続きを行うことは難しいので専門業者に依頼した方が無難でしょう。費用も数十万円あれば設立できます。
その他のやり方として、タックスヘイブン地域へ移住する方法があります。しかし、一般の方が居住地を移ることは少しハードルが高いかもしれません。
パーペチュアルトラベラーという方法もあります。これは特定の居住地を持たない、いわゆる永遠の旅人と言われています。同じ国に1年で183日以上過ごしていなければ利用できる方法です。自由な時間とある程度のお金が必要にはなりますね。
タックスヘイブンのやり方について詳しく知りたい方は、こちらの記事で確認してみましょう。
「企業や富裕層が活用するタックスヘイブンによる租税回避のやり方とは?」
タックスヘイブンによる租税回避はいばらの道
タックスヘイブンを活用した租税回避を行うには、日本のタックスヘイブン対策税制が適用されないように工夫しなければなりません。
例えば、タックスヘイブンの地域で事業活動を行ったり移住する必要があります。日本で事業展開していないことを証明しなければ日本の税率が適用されてしまいます。
タックスヘイブンによる租税回避はそう簡単に行えるものではないようです。
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