2017/05/31

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知らなきゃ損する!初めてでもわかる通貨スワップの意味と仕組み

FXのスワップポイントは違う?通貨スワップとは?

知らないと損!通貨スワップの言葉の意味と仕組みについて徹底解説!

スワップ」と聞くと、FXをやっている人であれば「スワップポイント」を思い浮かべる方も多いと思います。
FXでいうスワップポイントは、2国間の金利差により生じる利益(損益)のことを差します。
通貨を保有しているだけでスワップポイントがつくため、上手に運用すればスワップポイントだけで利益を生むことも可能です。

「日本の金利は低い」というのは世界的に有名ですが、世界を見渡せば高金利の国は多く存在します。
日本円で金利の高い国の通貨を購入すれば、その国の金利が適用されるという仕組みです。

ところがスワップ(swap)は英語で、「交換する」という意味ということを知っている方は、少ないのではないでしょうか。
実は「通貨スワップ」とは、FXでいうスワップポイントとは意味が異なります
FXをはじめとした投資を行っている方にとって、通過スワップの仕組みを理解しておくと、経済の流れを把握するために役立ちます。
今回は、通貨スワップの基本的な仕組みについて解説をしていきます。

通貨スワップの概要と特徴について

知らないと損!通貨スワップの言葉の意味と仕組みについて徹底解説!

通貨スワップの概要は?

通貨スワップとは、通貨を対象としたデリバティブ商品(金融派生商品)の一つです。
異なる通貨間のキャッシュフローを交換する取引のことを指します。

例えば、ドルでの支払いが必要な場合を考えてみましょう。
ドル建ての社債を発行して、ドルを集め、通貨スワップでドルを円に交換をします。すると、利払いや元本の償還が円になるので、将来の支払いが円で確定することになります。
また、日本円を持っている金融機関が、米国ドルを持っている金融機関との間で、通貨の元本を交換する取引のことを指します。
元本の交換をせずに、金利部分だけ交換することも可能で、それをクーポンスワップと呼びます。

そして、国家間の通貨の交換も「通貨スワップ」と呼ばれます。
通貨スワップ協定」というものを各国の中央銀行が結んでおり、金融危機への備えとしても利用されています。

通貨スワップの特徴とは?

通貨スワップは、1981年の世界銀行とIBMとの取引が最初と言われています。一般的には「等価」のキャッシュフローを交換します。
しかし、実際には企業間での通貨スワップ取引は、稀だと言われています。

通貨スワップは、急激な為替相場変動を回避し、世界的な経済リスクに対処する仕組みとしても利用されています。
また、その効率的な資金調達・運用が可能な点が特徴で、今では世界中で利用されています。

他のスワップ取引には、金利スワップ、エクイティスワップ、コモディティスワップなどがあります。

 

この章のまとめ

  • 通貨スワップはデリバティブ商品の一つ
  • 企業間よりも金融機関間、国家間で行われることが多い
  • 急激な為替相場変動とそれに伴う世界金融危機に備える目的がある

通貨スワップのメリットとデメリット

知らないと損!通貨スワップの言葉の意味と仕組みについて徹底解説!

通貨スワップとは金融機関だと99.9%が金利スワップ

金融機関同士におけるデリバティブ取引の99.9%は「金利スワップ」と言われています。
金利スワップとは、ある特定の通貨を、その通貨の固定金利と変動金利を交換する取引のことです。

つまり、固定金利を求めている金融機関と変動金利を求めている金融機関があった場合、お互いの需要と供給が一致するので、通貨スワップ取引を行うことで双方にメリットがあると言えます。
金利スワップ取引を行う時点では、両者にメリットがありあますが、その後の金利の変動によりどちらかが損失を被り、どちらかが利益を生むという可能性もあります。

これはあくまでも同一通貨での取引が前提で、他国との交換取引は「通貨スワップ」になります。

通貨スワップは得する側と損する側がある?

先述した通り、金利スワップは、取引をするどちらにもメリットがある取引と言われますが、金利が下がる局面では変動金利とした側が損をすることになります。

反対に金利が上がると、固定金利とした側が損をする仕組みになっています。
そのため、一般的には民間企業などでは、通貨スワップは利用されません。

通貨スワップは政治的決断によって決められる

基本的には国家間の経済的メリットを考慮しない、政治的決断によって決められることが多いようです。
つまり、競争関係にある市場では一方が損をすることになるので、あまり利用されないということです。

国家間では、「支援」という形で通貨スワップを利用することがあります。

通貨スワップにすると日本は円安になる?

通貨スワップを行うと、日本は円安になるというメリットがあります。
円安になると、輸出を中心とした事業を展開している企業にとっては、有利になり日本経済の好循環にもつながります。

日本がある国に米国ドルで支援を行うような場合、日本は円を米国ドルに変換します。
つまり、円売り・ドル買いになります。
よって、為替は円安方向に向かいます。それらを行うのは財務省の予算で、実際に執行するのは日本銀行です。
支援を行う金額が大きければ大きいほど、為替市場に与える影響は大きくなります。


日本の為替介入に対し米国は「支持しない」と表明したように、為替介入は敬遠される原因になります。
しかし、通貨スワップは「国への支援」とすることで、為替介入と同じ効果が得られるため、批判を浴びにくいのです。

以前の通貨スワップに米国が反対した理由はドル高になるから?

米国も日本同様、製造業が主要な産業になっています。
輸出を中心とした米国企業にとっては、ドル高は不利になります
ドル高の局面ではドルの価値が高まるため、米国から同じ製品を輸入をする際に高くつくことになります。「それであれば違う国から買おう」という考えになる可能性があり、経済に悪影響を与えます。
これは、日本が円高を嫌う理由と同じです。

日本が円安になれば、相対的にドル高になりますので、それに対するけん制とも言えるでしょう。
どちらも通貨安を理想としている点が、それらの背景にあります。

通貨スワップは南コリアウォン高につながる

韓国は、産業構造が日本とよく似ていると言います。
そのため、通貨であるウォンが高くなると日本の円高状態と同じことになり、不利な状況になってしまいます。

ある国が通貨スワップにより、米国ドルでウォンを買うと、ウォン高に進みます。
すると、韓国経済に打撃を与えることになってしまうのです。

通貨スワップのデメリットについて

通貨スワップにより、通貨が暴落することを防ぐことができるため、欧州の資金が韓国に流入しやすくなると言われています。
そのため、日本の企業と競合関係にある企業を、日本銀行と政府が保証している構図になってしまうことがデメリットの一つです。


この章のまとめ

  • 金融機関同士の取引はほとんどが「金利スワップ取引」
  • 金利スワップは、双方にメリットがあるもののその後の金利変動によりどちらかが損をすることも
  • 国家間では「支援」というかたちで通貨スワップが利用されている
  • 通貨スワップで円安になることがある

通貨スワップ協定について

知らないと損!通貨スワップの言葉の意味と仕組みについて徹底解説!

通貨スワップ協定」というものを、ご存知でしょうか。
日本でも各国と通貨スワップ協定を結び、通貨危機など万が一の場合に備えを行っています。
ここでは、通貨スワップ協定の基本を紹介します。

通貨スワップ協定とは?

通貨スワップ協定とは、各国の中央銀行(日本の場合は日本銀行)が互いに協定を結び、自国で金融危機が起こった場合の備えです。
金融危機が生じた国が、協定を結んでいる国に自国の通貨の預け入れや債券の担保等と引き換えに、あらかじめ定められたレートで資金を融通してくれるという仕組みです。

これは国家間の条約とは異なり、各国の中央銀行間で結ばれる協定で「スワップ協定」「通貨交換協定」とも呼ばれます。
スワップ協定が必要となるのは、金融取引における「金融制度上の観点」と「介入資金上の観点」です。

金融制度上の観点とは?

金融制度上の観点を理解するにはまず、基本的な銀行の仕組みを知る必要があります。

例えば、誰かが他の人の銀行口座へ振り込みを行ったとします。
入金した資金がそのまま振り込みに充てられるのではなく、金融機関が自ら保有する資金から送金を行っています。その資金が不足しそうな時には、社債や国債を売却することで資金調達を行っているのです。

金融危機が起こった場合、決済需要が急激に拡大します
そのような場合、金融機関は外貨を多く保有しようとするため、主要な決済外貨が枯渇し、高金利がつくことがあります。
この急激な金利の上昇は、世界経済全体に波及するリスクがあります。

それを防止するために、通貨スワップ協定が結ばれているということです。

介入資金の枯渇とは?

政府金融当局が為替介入を行っている場合、自国の為替レートが急激に下落すると「外貨準備残高」が枯渇することが考えられます

協定相手国の中央銀行から、ドルや相手国の通貨を融通してもらうことで為替レートの急激な変動を阻止することが可能になります。

そのためスワップ協定は、通貨危機の際の一時的な外貨準備に備えるものと言えます。
自国通貨を担保として、協定金額の範囲内で外貨を借り入れるため、他国からの借金という扱いになります。
そのため、期限が設けられている場合には、その期限までに資金を返却しなければなりません。

 

この章のまとめ

  • 通貨スワップ協定は各国の中央銀行同士が結ぶ協定である
  • 自国の金融危機に備えるための制度である
  • 世界経済の安定には欠かせない仕組みである
  • 通貨スワップ協定には、「金融制度上の観点」と「介入資金上の観点」がある

日本の通貨スワップ協定国は?

知らないと損!通貨スワップの言葉の意味と仕組みについて徹底解説!

最後に、日本がスワップ協定を結んでいる国の紹介と、それぞれのスワップ協定の内容について見てみましょう。

アメリカとのスワップ協定

アメリカとのスワップ協定は、「引き出し限度額」「有効期限」がいずれも無制限という通貨スワップ協定を結んでいます。日本銀行とアメリカのニューヨーク連邦準備銀行間での協定です。

「為替スワップ取引」の形態で、ニューヨーク連邦準備銀行が日本銀行に米国ドルを、日本銀行がニューヨーク連邦準備銀行に円を提供します。

EUとのスワップ協定

EUとのスワップ協定は、同じく為替スワップ取引です。
欧州中央銀行が日本銀行にユーロを、日本銀行が欧州中央銀行に円を提供します。

アメリカとの協定同様に、「引き出し限度額」「有効期限」は無期限です。

イギリスとのスワップ協定

イギリスでは、イングランド銀行とスワップ協定を結んでいます。
他の国と同様に、為替スワップ取引を採用しています。
イングランド銀行は日本銀行にスターリングポンドを、日本銀行はイングランド銀行に円を提供します。
 

他の国と同様、「引き出し限度額」「有効期限」は無期限です。

スイスとのスワップ協定

スイスとのスワップ協定も他国との協定同様、「引き出し限度額」「有効期限」が無制限です。
為替スワップ取引で、スイス国立銀行は日本銀行にスイスフランを提供し、日本銀行がスイス国立銀行に円を提供します。

カナダとのスワップ協定

カナダの取極の主体は、カナダ銀行です。
取引内容は為替スワップ取引で、カナダ銀行が異本銀行に対しカナダドルを提供し、日本銀行がカナダ銀行に対し円を提供します。

「引き出し限度額」「有効期限」が無制限という点も、他国同様です。

 

この章のまとめ

  • 日本(中央銀行)は各国の中央銀行と通貨スワップ協定を結んでいる
  • 主要な先進国との間では「引き出し限度額」「有効期限」は無期限とされている
  • 為替スワップ取引が採用されている

 

いかがでしたでしょうか。
「スワップ」はFXでの金利差における損益という意味だけではなく、世界的な経済を支える仕組みということがおわかりいただけたかと思います。

特にFXをする上では国家間の通貨スワップが行われる場合、大きな為替レートの変動が予想されます
先述したように、財務省の予算を使い日本銀行が執行を行いますので、そうした動向にもアンテナを張っておく必要があります。

また、日本だけではなく外国が通貨スワップを行うような場合にも、相対的に変動が起こる可能性があります。
海外の状況についても、把握しておくと為替レートの動向を掴みやすくなるでしょう。


 

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