タックスヘイブンの国や地域、税率を紹介!
タックスヘイブンの地域の特徴とは?
最近はテレビニュースなどでタックスヘイブンという言葉をよく聞くことがあります。タックスヘイブンは直訳すると「税の避難所」と言います。
タックスヘイブンは世界中に存在しており、共通した特徴があります。この記事では、タックスヘイブンの国や地域、税率など詳しく解説しています。
それでは、タックスヘイブンの国や地域を具体的に確認してみましょう。
【一覧】世界のタックスヘイブンの国・地域
2000年にOECD(経済協力開発機構)租税委員会が公表したタックスヘイブンの国や地域のリスト
まずは2000年にOECD(経済協力開発機構)租税委員会が公表したタックスヘイブンの国や地域のリストをご覧ください。
■OECD租税委員会で「タックスヘイブン」とされた国・地域(2000年)
アンティグア・バーブーダ(イギリス連邦)
グレナダ(イギリス連邦)
セントクリストファー・ネーヴィス(イギリス連邦)
セントビンセントおよびグレナディーン諸島(イギリス連邦)
セントルシア(イギリス連邦)
ドミニカ国(イギリス連邦)
バハマ(イギリス連邦)
バルバドス(イギリス連邦)
ベリーズ(イギリス連邦)
アンギラ島(イギリス連邦)
タークス・カイコス諸島(イギリス領)
モントセラト(イギリス領)
英領バージン諸島
米領バージン諸島
アルバ(オランダ領)
アンティル(オランダ領)
パナマ
サモア(イギリス連邦)
トンガ(イギリス連邦)
ナウル(イギリス連邦)
バヌアツ(イギリス連邦)
クック諸島(ニュージーランド自由連合)
ニウェ(ニュージーランド自由連合)
マーシャル諸島(旧アメリカ信託統治領)
ジブラルタル(イギリス領)
ガーンジー(イギリス王室属領)
マン島(イギリス王室属領)
ジャージー(イギリス王室属領)
アンドラ
リヒテンシュタイン
モナコ
セーシェル(イギリス連邦)
バーレーン(イギリス連邦)
モルディブ(イギリス連邦)
リベリア
パナマやモナコは日本でも知っている人は多い国ではないでしょうか。 リストを見るとイギリス連邦の国が非常に多いですね。
2010年にOECD租税委員会が公表したタックスヘイブンの国や地域のリスト
次は2010年にOECD租税委員会が公表したタックスヘイブンの国やリストをご覧ください。
■OECDが公表した「タックスヘイブン」(2010年)
●タックスヘイブン】
ベリーズ(イギリス連邦)
クック諸島(ニュージーランド自由連合)
リベリア
マーシャル諸島(旧アメリカ信託統治領)
モントセラト(イギリス領)
ナウル(イギリス連邦)
ニウェ(ニュージーランド自由連合)
パナマ
バヌアツ
●その他の金融センター
コスタリカ
グアテマラ
フィリピン
ウルグアイ
参照元:世界のタックスヘイブン どんな地域がある? 2ページ目
これらの国は国際的に合意された租税の基準の実施を約束した国です。しかし、まだ実施はされていないためグレーリストとなっています。
タックスヘイブンからは情報が出にくい
タックスヘイブンの特徴として秘匿性が高いことが挙げられます。タックスヘイブンに資産を持っている人の情報が外部へ漏れる可能性はとても低いです。
しかし、最近はOECDの圧力などもあってクック諸島やケイマン諸島を活用している日本人のリストを財務省が入手したと発表しています。
タックスヘイブン地域の税率一覧リスト
タックスヘイブン地域の税率を一覧リストで確認してみましょう。
ここではいくつかの国をご紹介します。
地域 |
法人税率 |
アンギラ |
0% |
クック諸島 |
20% |
サンマリノ |
17% |
ケイマン諸島 |
0% |
サモア |
0% |
シンガポール |
17% |
ドバイ |
0% |
ジブラルタル |
10% |
スイス |
12%~ |
マカオ |
12% |
日本でも有名な国であるケイマン諸島やドバイでは法人税が0%とまったく税金がかかりません。
アジアのタックスヘイブン地域について比較
ここではアジアのタックスヘイブン地域について比較してみましょう。まずはこちらの表をご覧ください。
国名 |
日本 |
韓国 |
中国 |
台湾 |
フィリピン |
ベトナム |
社会保険料負担率 |
13.7% |
26.1% |
44% |
11.4% |
9.5% |
22.0% |
法人税 |
35% |
24% |
25% |
17% |
30% |
25% |
利息への課税 |
有 |
有 |
有 |
有 |
有 |
無 |
配当への課税 |
有 |
有 |
有 |
有 |
有 |
無 |
株式譲渡益への課税 |
有 |
有 |
有 |
原則として無し |
有 |
有 |
消費税 |
8% |
10% |
17% |
5% |
12% |
10% |
関税 |
2.48% |
10.33% |
7.93% |
6.35% |
5.31% |
7.13% |
相続税 |
有 |
有 |
なし |
有 |
有 |
なし |
政策金利 |
0.1% |
2.5% |
6% |
1.875% |
3.5% |
8% |
国名 |
タイ |
マレーシア |
シンガポール |
カンボジア |
UAE |
インド |
社会保険料負担率 |
5% |
12% |
16% |
0.8% |
0% |
18.4% |
法人税 |
23% |
22.5% |
17% |
20% |
0% |
30% |
利息への課税 |
有 |
有 |
個人はなし |
有 |
なし |
有 |
配当への課税 |
有 |
有 |
個人はなし |
有 |
なし |
有 |
株式譲渡益への課税 |
有 |
なし |
なし |
有 |
なし |
有 |
消費税 |
7% |
10% |
7% |
10% |
0% |
12.5% |
関税 |
11.22% |
6.75% |
0% |
12.36% |
4.49% |
11.46% |
相続税 |
なし |
なし |
なし |
なし |
なし |
なし |
政策金利 |
2% |
3% |
0.4% |
2% |
1% |
8% |
日本の法人税は他のアジアの国と比べて高いですね。UAEは法人税が0%と税金がまったくかかりません。
日本や各国の法人の方がタックスヘイブンを利用したくなる気持ちが分かりますね。
タックスヘイブン地域のブラックリストに入っている国や地域について
欧州連合(EU)はEUの基準に適合しないタックスヘイブンの国や地域をブラックリストに載せることに合意しました。
ブラックリストに載っている国や地域はこちらをご覧になってください。
韓国、パナマ、チュニジア、バーレーン、アラブ首長国連邦(UAE)、バルバドス、サモア、米領サモア、グレナダ、グアム、マカオ、マーシャル諸島、モンゴル、ナミビア、パラオ、セントルシア、トリニダード・トバゴ
参照元:EU、タックスヘイブンのブラックリストを承認-韓国など17地域指定
日本のお隣の国、韓国はブラックリストの載っていますね。
ブラックリストの国や地域は税逃れを後押しする国とされています。
タックスヘイブン地域のグレイリストも47カ国もある
EUはタックスヘイブン地域の中で、現在は公平な税制を行っていないが将来的に改善しようとしている国をグレイリストに載せて監視しています。国の数は47カ国あります。
EUの加盟国も同罪になる?
EU加盟国の中にもタックスヘイブンを活用して自国に企業を誘致しようとしている国があります。国としてはルクセンブルクやアイルランドが当てはまります。
オックスファムのブラックリストについて
国際的に活動しているNGO機関のOxfam(オックスファム)が独自に作ったタックスヘイブンのリストはこちらになります。
(1) Bermuda 英領バミューダ諸島
(2) the Cayman Islands 英領ケイマン諸島
(3) the Netherlands オランダ
(4) Switzerland スイス
(5) Singapore シンガポール
(6) Ireland アイルランド
(7) Luxembourg ルクセンブルク
(8) Curaçao オランダ領キュラソー島
(9) Hong Kong 香港
(10) Cyprus キプロス
(11) Bahamas バハマ
(12) Jersey 英領ジャージー
(13) Barbados バルバドス
(14) Mauritius モーリシャス
(15) the British Virgin Islands 英領バージン諸島
参照元:EUが世界のタックス・ヘイヴン17カ国を名指しでブラックリスト
オックスファムは、不公平な税制を改正して公平な仕組みを作ろうと努力しています。
タックスヘイブン①「スイス」について知りたいなら
スイスは永世中立国として世界的に有名ですが、タックスヘイブンの国としても世界中に知られています。
そんなスイスですが、2018年度から他の金融界と情報交換しますよと署名を行いました。もちろん日本もスイスと署名しました。
これにより、スイス銀行を利用していた人の情報が日本でも分かるようになったわけです。
日本人のスイス銀行利用額は約4億2000万ドル(約500億円)であり世界で第68位です。
タックスヘイブンスイスについて詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考に読んでみてください。
タックスヘイブン②「ケイマン諸島」について知りたいなら
タックスヘイブンの地域として日本でも有名なケイマン諸島があります。
ケイマン諸島はイギリス領の小さな島ですが、法人登録数は6万社と多くの企業が集まっています。なぜこれだけの企業が集中しているかと言えば、ケイマン諸島では、所得、利益、財産、キャピタルゲイン、売上、遺産相続これらすべてが非課税だからです。
企業が集まるには理由があるわけです。
タックスヘイブンケイマン諸島について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考に読んでみてください。
「ケイマン諸島でタックスヘイブンを利用するメリットと日本の実情について!」
タックスヘイブン③「香港」について知りたいなら
香港は日本でもよく知られている有名な地域です。観光地のイメージが強いですが香港もタックスヘイブンの地域となります。
香港の法人税は16%、所得税は15%となっており日本と比べてとても低い税率です。
しかし注意して欲しいことは、香港に法人を設立した場合、5%にあたる株式を所有していると日本の所得と合算して課税されてしまいます。
タックスヘイブン香港について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考に読んでみてください。
タックスヘイブン④「シンガポール」について知りたいなら
シンガポールは観光地としてとても人気がある地域ですよね。日本の方もよく行かれているのではないでしょうか?
そんなシンガポールはアジアの中でも有名なタックスヘイブン地域です。法人税は17%となっています。
シンガポールでは、ペーパーカンパニーとして活用することを拒否しています。それは、犯罪組織の温床になることを防止するためです。
シンガーポールで法人を設立する場合は、現地で実質的活動を要求されると思ってください。
タックスヘイブンシンガポールについて詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考に読んでみてください。
「シンガポールで法人を立ち上げる際のタックスヘイブン税制対策の注意点とは」
タックスヘイブン地域にはイギリス領が多い
タックスヘイブンの国や地域、税率について紹介してきましたが、圧倒的にイギリス連邦やイギリス領地域によるタックスヘイブンが多いことが分かりましたね。
最近は、タックスヘイブン地域に対する国際的な圧力が強くなっています。租税逃れによるタックスヘイブンの利用は年々厳しくなってきています。
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