タックスヘイブンでの会社設立で節税できるの?
タックスヘイブンによるオフショア会社の設立は簡単にできるもの?
タックスヘイブンを活用して租税回避を行う方法はいくつかありますが、個人がタックスヘイブンを活用する方法としてオフショア会社を設立する方法があります。
この記事ではタックスヘイブンに会社を設立した場合にどのようなメリットやデメリットなどがあるのか解説しています。最後までご覧いただければ幸いです。
タックスヘイブンとは?
タックスヘイブンは日本の言葉で直訳すると、「税の避難所」となります。
簡単に説明すると自国の税制より低い税制の国を利用して国へ納める税金を節税する方法です。
タックスヘイブンはいくつかの特徴があります。
1つ目は、税率が低いことです。税率は国や地域によって違いますが、ケイマン諸島のように税率が0%の国もあります。
2つ目は、規制が緩いことです。タックスヘイブンの国や地域では税制に対する規制が緩く過干渉ではありません。
3つ目は、秘匿性が高いことです。タックスヘイブンに会社を設立した場合でも誰が代表の人なのか、利益はどれくらいあるのかなど外部へ漏れる可能性は非常に低いです。
4つ目は、タックスヘイブンの国や地域で実質的活動を要求されないことです。いわゆるペーパーカンパニーとして住所があればタックスヘイブンを活用した節税が可能になります。
タックスヘイブンはこのような特徴があることから世界中の企業や富裕層の方が活用して節税を行っています。しかし、国としては本来徴収できるはずの税金が取れなくなるので国益が減ってしまいます。
最近は世界各国でタックスヘイブンによる租税回避を防止するための対策税制を設ける国が増えてきました。
タックスヘイブンについてこちらの記事ではさらに詳しく解説していますので、是非ご覧になってください。
海外法人設立の特徴とメリットとデメリットとは?
海外法人設立の特徴とメリットについて
海外に法人を設立した場合の特徴とメリットをご紹介していきましょう。
タックスヘイブンの国や地域に法人を設立する場合は少ない費用で設立が可能です。下記の表を確認してみましょう。
法人の種類 |
設立費用HK$ |
更新費用HK$ |
法人キット郵送費 |
アンギラ |
$18,000 |
$13,500 |
$400 |
ベリーズ |
$17,000 |
$13,500 |
$400 |
セーシェル |
$16,500 |
$14,500 |
$600 |
サモア |
$16,500 |
$14,500 |
$600 |
BVI |
$17,500 |
$15,500 |
$600 |
香港 |
$15,000 |
$ 10,000+ |
$600 |
中国深圳 |
$36,000 |
$24,000 |
$1000 |
参照元:HSBC香港口座開設と海外投資&海外ビジネス支援サイト
タックスヘイブンに会社を設立すればその国の低い税率が適用されます。税制に対する規制が緩いため節税対策ができるでしょう。
タックスヘイブンは秘匿性が高いので、会社を設立しても外部へ情報が漏れる可能性は低いです。自国の税務署は海外法人の調査権限がないのでいくら利益があるのか知られることもありません。
このように海外で会社を設立すれば自国の税務署が介入することが困難になるため会社の利益を守ることができます。
海外法人設立のデメリットとは?
タックスヘイブンに会社を設立した場合のデメリットは、まず設立費用がかかります。ただし、上記の表にもありますがそれほど高額な費用はかかりません。
次に設立した会社を毎年維持管理する費用もかかります。国によって費用は異なってきます。
タックスヘイブンに会社があっても居住している国が日本であるときは、日本の銀行で海外法人の口座を作ることができません。口座を作りたい場合は、非居住者用の口座を作るか日本支店として登記する必要があります。
タックスヘイブンに会社を設立した場合、代表者と役員が受け取った給料は居住国で確定申告しなければなりませんので注意してください。
子会社を設立して節税する方法
国内に本社がある会社は国外で得た所得はどうなる?
国内に本社がある法人が国外で事業を行い得た利益は国内にある本社の利益と合算して課税対象になります。
最近、日本の中小企業は海外に子会社を設立して現地で生産や販売活動を行う企業が増えてきました。その反面、日本での利益が伸び悩み事業を縮小してしまう企業も多くあります。
親会社が事業を行っている間は、子会社から配当を受け取った場合に95%が非課税となり親会社に法人税がかからないメリットがあります。タックスヘイブンに子会社を設立している場合は、タックスヘイブン対策税制をクリアする必要があります。
分社化による法人税の軽減措置を海外で応用する
日本に本社がある場合、海外から製品を輸入して販売した際に出る利益はすべて課税されてしまいます。節税を考えた時に海外に子会社を設立して会社の利益を移転させることで節税することができます。
日本国内でも会社を分社化して利益を分ければ法人税の軽減措置が適用されます。同じようにタックスヘイブンで会社を設立して利益を移せば、その国の税制が適用されて大きな節税効果が生まれます。
タックスヘイブンの税制はそれぞれの国によって違うため、有利な国を活用することで最大限の節税ができます。
ペーパーカンパニーによる会社設立で節税は簡単にできるのか?
ペーパーカンパニー設立でそう簡単に節税できない
タックスヘイブンの国や地域は低い税率が特徴になります。日本に本社がある会社や日本に住んでいる人がタックスヘイブンに利益や資産を移せば節税することができるのでしょうか?
日本では、タックスヘイブンを活用した租税回避を防止するため、タックスヘイブン対策税制が設けられています。この対策税制が適用されてしまうと簡単に節税することができません。
ペーパーカンパニーを利用した節税を阻止する外国子会社合算税制とは?
タックスヘイブンにペーパーカンパニーを設立した場合、タックスヘイブン対策税制(外国子会社合算税制)が適用されます。対策税制が適用されると法人の場合は課税所得となり個人の場合は雑所得となります。
タックスヘイブンを活用した節税を行うには対策税制が適用されないように考える必要があります。タックスヘイブン対策税制が適用される条件はこちらをご覧ください。
1. 日本法人または日本居住者により、発行済株式総数の50%超を直接または間接に保有されている外国法人(これを「外国関係会社」と言います)であること。
2. 「外国関係会社」の租税負担割合が20%未満であること。(これを「特定外国子会社等」といいます。)
3. 対象となっている日本法人または日本居住者が「特定外国子会社等」の株式を10%以上保有していること。
参照元:香港法人(ペーパーカンパニー)を設立すれば節税は簡単?そう単純ではありません!
OECDの自動的な情報交換がスタートしたので税務署に情報が筒抜けなっている
タックスヘイブンを活用した租税回避の対策として、経済協力開発機構(OECD)より2018年から金融口座自動的交換制度が開始されます。
この制度は、日本の法人または居住者がタックスヘイブンに法人を設立している場合、口座情報が日本の国税庁に自動的に送付されるシステムです。
タックスヘイブンのメリットであった秘匿性が低くなってしまいますね。今後はタックスヘイブンを活用した節税が難しくなりそうです。
個人資産家や庶民でもタックスヘイブンの利用は可能か?
個人がタックスヘイブンを利用する際のハードルについて
タックスヘイブンは個人の資産家や庶民の方でも活用することができますが、いくつかの制限があります。
1つ目は、タックスヘイブンの国へ住民票を移す必要があります。
2つ目は、タックスヘイブンの国で年間の半年以上居住しなければなりません。
現実的に個人の方がタックスヘイブンを活用するのはハードルが高そうです。
その他の税金問題について
ロッテ(韓国)が経営しているロッテホテルは日本にもあります。事務所も日本にありますが、社員の雇用形態は個人事業主としています。そのため、ロッテは社員に給料という名目ではなく交際費としてお金を払っています。
結果的にロッテは日本で税金を払わずに済んでいます。このやり方は合法なので取り締まることができません。
投資やFXでもタックスヘイブンは使える?
タックスヘイブンは投資やFXなどで得た利益の資産運用にも活用することができます。主なメリットとしては、利益に対して税金がかからないまたは低い税率が適用されることです。
その他のメリットは、規制が緩いため投資の規制が最小限で済みます。また秘匿性も高いので投資家にとっては大きな節税対策ができますね。
タックスヘイブンの投資やFXについてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧になってください。
「タックスヘイブンにより投資の税金について分かりやすく解説!」
会社設立はカンタン!でも…節税するのは難しい
タックスヘイブンの国や地域に会社を設立するのは案外簡単にできます。タックスヘイブンの活用は節税が一番の目的となりますが、日本ではタックスヘイブン対策税制が設けられているため適用されてしまうと簡単に節税ができなくなります。
タックスヘイブンの活用を考えている方は、タックスヘイブン対策税制をしっかり確認しておくことをおすすめします。
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