アラブ首長国連邦(UAE)の税制とドバイの魅力とは?
世界中にタックスヘイブンとされる国や地域は存在しますが、その中にアラブ首長国連邦が含まれているのをご存知ですか?
オイルマネーで潤っているこの国では、どのような法人税制が取られているのか、またこの国に法人を設立するとなるとどのような特徴やメリットがあるのかなど、今回は「タックスヘイブン国としてのアラブ首長国連邦」に焦点を充て詳しくご紹介していきたいと思います。
アラブ首長国連邦(UAE)の税制について
アラブ首長国連邦の法人税は?
法人税制度自体は存在していますが、一部の業種以外で法人税は徴収されていません。
つまり実質非課税です。
ドバイ・アブダビ・シャルジャの3首長国では、「法人所得100万ディルハム未満は非課税・100万ディルハム以上から課税対象・500万ディルハム以上は税率55%」とされていますが、実際には施工されておらず、非課税のままです。
唯一、外国銀行支店・石油・ガス・石油化学会社のみから法人税を徴収しています。
二国間租税条約について
日本とアラブ首長国連邦の間では、2014年12月に租税条約が発効しています。
この二国間租税条約の詳細は以下の通りです。
本条約は、本年12月24日(外交上の公文の交換の日の後30日目の日)に発効し、次のものについて適用されます。
(1) 源泉徴収される租税に関しては、平成27年1月1日以後に租税を課される額
(2) 源泉徴収されない所得に対する租税に関しては、平成27年1月1日以後に開始する各課税年度の所得
(3) その他の租税に関しては、平成27年1月1日以後に開始する各課税年度の租税
更に詳しい情報は、財務省のページで確認することができます。
日本とアラブのみで適用される税制になりますので、参考にしておくと良いでしょう。
アラブ首長国連邦のその他税制について
基本的には非課税です。
所得税もありませんが、アパート税や事業資産税などが徴収されることがあります。
下記が課税対象になる実例です。
アパート(年間):賃借料の5%
事業資産(年間):賃借料の5%
ホテル、レストラン、娯楽施設:10%
※ホテル施設等の宿泊客には、別途1室1泊当たり7~20ディルハムのツーリズム・ディルハム(宿泊手数料)が課せられる(2014年3月31日以降。ただし上限30日分)。
アルコール:30%(消費税)
主に賃貸やサービス業から徴収しているようです。
親日国『ドバイ』での法人設立の魅力
ドバイのタックスヘイブンの特徴について
タックスヘイブン先の多くは自国産業のない弱小国ですが、ご存知のようにアラブは石油で発展するオイルマネー大国です。
そのため企業に対するバックアップがあり、銀行倒産や倒産といったリスクは極めて低いのが特徴です。
香港やシンガポールとの違いとは?
香港やシンガポールにはそれぞれ法人税が存在するため、「日本よりは安く済む」レベルです。
しかしアラブには法人税が施行されていないため、法人税がゼロで済みます。
ドバイで法人設立の魅力について
2011年に、アラブ首長国連邦の実質GDP成長率は、1.5%から4.9%に急成長しました。
それ以降も、アラブのGDP率は上昇しています。
つまり今まさに発展途上であり、大きなビジネスチャンスがあるのです。
また実は世界でトップクラスの親日国でもあり、日本企業の進出はドバイ政府からのサポート体制も充実しています。
オフショアについて
ドバイでの設立可能地区はジュベル・アリ・フリーゾーン内になります。
またオフショア法人の特徴は以下のものが挙げられます。
100%外国人投資家の所有となる
各種税金はなし
会社設立のための銀行口座の開設は可
海外送金の自由
資本金は1ディルハムより可能
事務所は特に必要なし
UAE内での他のビジネスは不可
長期滞在のためのレジデンスビザの発給は不可
UAE不動産の取得は可、株式投資可
こうして見ると、金銭的なメリットが非常に多いことがわかります。
各種税金がかからないこと、わずかな資金で設立できること、また事務所などを必要としない点などからも、非常に安い金額で会社を立ち上げることができるようです。
ドバイに投資する魅力について
ドバイへの投資には、下記のような魅力があります。
・MEDUSAといわれるような高い経済成長
・若年層が多く将来性が高い
・イスラム金融が発達している
・外資からの投資環境が整っている
・脱石油経済を達成しつつあり原油相場下落にも強い
・建設ラッシュのインフラ需要が見込める
・世界有数の観光国
・世界有数の金融都市国家
・タックスヘイブンであり、「中東のモナコ」とも言われる
・とにかく金持ちが集まり金を落としてくれる
現在はまだ先進国とまでは言えないアラブですが、だからこそ将来への期待値も高い国だと言えます。
今後交通機関が整備され、若年層の多さから労働力の確保も容易い点を見ると、今ドバイへ投資するのはとても魅力的に感じますね。
ドバイ銀行口座開設について
ドバイで口座を開設したい場合は、下記のような業者に依頼しましょう。
およそ1,500AEDほどで開設できます。
1AEDが約30円になりますので、日本円でおよそ45,000円で開設することができます。
アラブ首長国連邦でもVAT(付加価値税)導入!?
アラブ首長国連邦は現在VAT(付加価値税)の導入を計画している
2018年1月に、VAT導入決定がUAE財務相から発表されました。
またそれに先立って、10月1日から新しい税金のルール変更が開始されてきています。
VAT(付加価値税)って何?
VATとは、V=Value、A=Added、T=Taxの略です。
イメージとしては日本の消費税が近いでしょう。
しかし消費税との大きな違いは、課税対象がものやサービスによって異なるという点です。
何が変わるのか?
VATが導入されると、下記のようなものに課税されることになります。
-
・ドバイで販売するタバコ製品:100%
-
・エナジードリンク:100%
-
・炭酸飲料:50%
なぜ税金導入するのか?
オイルマネーで潤っているはずのUAEが、なぜ今更VATを導入したのか、それには2つの理由が考えられます。
1つ目はオイル価格下落の長期化が予想されるため、財源確保=財政収入の領域拡大のためです。
2つ目は、UAEが肥満大国であるため、国民の健康改善のためです。
だからこそ、炭酸飲料やエナジードリンクなどの飲み物に多大な税率を課したのだと思われます。
タックスヘイブンでの法人設立時には対策税制を良く把握しよう!
世界でも数少ない「法人税無料国」であったUAEにも、VATの導入を始めとする税金への対策が動き始めました。
また日本でも、タックスヘイブン税制は今後厳しくなっていくことが予想されています。
もしあなたが節税目的でタックスヘイブンを利用するのであれば、これらの規制をしっかりと理解してから行うようにしましょう。
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