タックスヘイブン『オランダ』を取り巻く状況
今回はタックスヘイブンとしてのオランダでの会社設立することのメリットについてご紹介していきましょう。
オランダで持株会社を設立するメリット
オランダ法人税制の特徴について
オランダの法人税は下記のように定められています。
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・課税所得20万ユーロ未満は20%
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・20万ユーロを超える課税所得については25%
オランダは早くから資本参加免税を導入している国です。
そのため一定要件を満たす外国子会社からの配当や株式譲渡益を非課税としており、中間持株会社を設立するのに向いている税制と言えるのです。
オランダでの持株会社の優位性について
オランダの資本参加免税の適用条件は、下記の3つになります。
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投資会社の発行済株式等の最低5%を保有していること
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動機テストを満たすこと
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動機テストを満たさないときは課税テスト又は資産テストを満たすこと
これらの条件を満たすことで、資本参加免税が適用されます。
免税が適用された場合は、配当及び株式譲渡益は100%非課税です。
日本との二国間租税条約について
また日本人がオランダを選択するメリットのひとつに、日本との二国間租税条約があります。
二国間の配当支払の取り扱い
一方の締約国に居住する法人が、他方の締約国に居住する法人に配当を支払う際に、配当支払企業の議決権の10%以上に相当する株式を所有する法人である場合には(親子間の場合)、税率は当該配当金額の5%を超えないものとしている。また、議決権の50%以上に相当する株式を所有する法人の場合は無税となる。その他の法人間の支払は10%を超えないものとしている。(日蘭租税条約第10条)
二国間の利子支払の取り扱い
一方の締約国に居住する法人が、他方の締約国に居住する法人に利子を支払う際には、当該利子金額の10%を超えないものとしている(日蘭租税条約第11条)。ただし、オランダ国内では税法上、利子に対する源泉税は無税のためオランダ法人から日本法人への利子支払に対しても無税である。
一定の要件を満たした金融機関等の利子支払いも免税対象となる。
二国間のロイヤルティー支払の取り扱い
一方の締約国に居住する法人が、他方の締約国に居住する法人に対して支払うロイヤルティー(使用料)は、免税となる(日蘭租税条約第12条)。
難しいですね。
しかしこの条約が如何に法人に対して優しくできているのか抜粋してみましょう。
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・税率は当該配当金額の5%を超えない
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・議決権の50%以上に相当する株式を所有する法人の場合は無税
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・金融機関等の利子支払いも免税対象
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・他方の締約国に居住する法人に対して支払うロイヤルティーは免税
いかがですか?
これだけの恩恵がある条約があるならば、「オランダは法人税25%だからタックスヘイブンではない」と言えなくなりますね。
オランダなどの海外法人では節税できなくなる!?
海外に移転した所得に対しても日本で課税できるよう税制改正を検討している
日本が定めるタックスヘイブン税制規制は、「法人税20%未満の国」を大前提にしています。
しかしオランダのように法人税25%でも、見事にタックスヘイブンできてしまう例もあるのです。
そのため日本では、税制改正の動きが見られています。
税逃れは日本並みの課税を財務省が検討している
上記で大前提としていた「法人税20%未満」を改正する可能性が出てきています。
もしこの改正が行われれば、オランダはもちろんどこの国で事業を行っても、日本の税率が適用されることになります。
タックスヘイブン税制の税率基準を廃止して配当やロイヤルティーや利子を日本で課税できるように検討している
また法人税だけでなく、株式配当やロイヤルティーにも課税しようとする案もあるのです。
税率が20%以上の国であっても、株式の配当・知的財産などによるロイヤルティー・預金や債券などの利子にあっては、事業実態がなくても得られる所得であるため、原則として日本の所得に合算して日本で課税しようとするもの
つまりどこの国でどのような方法を取ったとしても、日本の税率を適用させようとする規制へと動き始めているのです。
欧州主要国の2009年度税制改正の概要について
英国の税制改正について
イギリスでは2009年に税制改正が行われました。
これにより海外の配当免税制度が導入されることになったのです。
オランダの税制改正案について
オランダでも、2009年に新しい税制が適用されました。
それが「非選択型5%利子ボックス」というもので、グループ間の利子取引に関しては、受取利子・支払利子共に5%で課税するというものです。
タックスヘイブンでの節税は違法ではないがリスクがある
タックスヘイブンを利用した節税対策は合法です。
しかし国益を失う方法であることから、問題視される傾向が強まってきています。
日本の税制改正が動いているように、どこの国でどのような方法を取っても、自国の税率が適用される日も遠くないかもしれません。
また「税金逃れをしている」と見られることもあるため、タックスヘイブンを利用した節税対策はリスクの高い方法なのだと覚えておきましょう。
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