2017/12/05

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タックスヘイブンによるオランダでの持株会社設立の優位性と今後について!

オランダでの持株会社を設立するメリットと国内外によるタックスヘイブンの税制の強化について

タックスヘイブンによるオランダでの持株会社設立の優位性と今後について!

タックスヘイブンってどんなもの?

タックスヘイブンとは、無課税、もしくは著しく税率の低い国のことを指します。

目安として「法人税20%未満の国」と覚えておけば良いでしょう。

 

今回はそんなタックスヘイブンに対する規制について、またタックスヘイブンとしてのオランダでの会社設立することのメリットについてご紹介していきましょう。

 

タックスヘイブンの税制について

タックスヘイブンによるオランダでの持株会社設立の優位性と今後について!

国内や国外でタックスヘイブンの税制による課税強化がされている

日本国内のみに留まらず、海外でもタックスヘイブンに対する規制が強化されてきています。

 

多国籍企業の行動に対する社会的不公平感の高まりを受け、OECD租税委員会は2013年7月にBEPS撲滅に向けた15項目の行動計画を公表しましたが、その中には『外国子会社合算税制(我が国のタックス・ヘイブン税制に相当)の強化』も含まれています。

参照元:株式会社TKC

 

このようにOECD(経済協力開発機)を筆頭に、強化が進められているのです。

 

タックスヘイブンの税制とは?

日本では下記のように、タックスヘイブン規制が定められています。

 

I. 税制適用の条件

特定外国子会社等(以下1.の会社等)の留保所得が、以下2.の条件に該当する場合、直接・間接の株式(利益配当請求権のない株式を除く)の所有割合に応じて、当該株主の所得と合算して日本で課税されます。

1. 日本の居住者または内国法人が直接または間接にその株式の50%超(議決権のない株式・利益配当請求権のない株式を除外して行う判定も併用する)を保有する外国子会社等で、次のいずれかに該当する会社であること。

  1. 法人所得税がない国・地域に本店等を有する外国子会社等

  2. 法人所得税率が20%以下の外国子会社等

 

2. 外国子会社等の留保所得につき、日本で合算課税の適用を受ける国内株主は、単独または同族株主グループ全体で当該外国子会社等の株式(利益配当請求権のない株式を除く)を直接・間接に10%以上保有する内国法人または居住者であること。

参照元:財務省主税局参事官室

 

要約すると下記の3つに該当する企業に、このタックスヘイブン規制が適用されるのです。

 

  1. 税率20%以下のタックスへイブン国に子会社があること

  2. 同族で10%以上の株式を所有する会社であること

  3. 資本の50%以上が日本資本の法人であること

 

タックスヘイブンの税制による課税が連結実効税率に与える影響について

タックスヘイブンを利用することで、本来納められるべき母国への納税が他国に流出していることになります。

それがきちんと課税対象になれば、国益が上がり、実効税率も上がることになるのです。

 

連結損益計算書上では、日本の親会社の追徴税額及び附帯税額の合計額(19,184百万円)が過年度法人税等として計上され、結果として、連結実効税率は115.90%(前期比89.5%増)に上昇し、ROEは△1.9%(前期比13.51%減)まで低下しました。

参照元:株式会社TKC

 

このようにタックスヘイブン規制による恩恵が、実際の数字となって表れています。

 

タックスヘイブンの税制による課税へのリスク対応(租税負担割合)について

まずは各国の法人税率を見てみましょう。

タックスヘイブンによるオランダでの持株会社設立の優位性と今後について!

参照元:株式会社TKC

「法人税20%未満」の国がタックスヘイブンなのですから、アジアでは台湾・シンガポール・香港などがタックスヘイブン国となりますね。

 

しかし実際にはこの法人税が課税されるわけではありません。

事業年度ごとに、下記の式に当てはめて算出されることになります。

タックスヘイブンによるオランダでの持株会社設立の優位性と今後について!

参照元:株式会社TKC

例えば今回ご紹介するオランダの話です。

オランダでは法人税率25%が規定されており、これだけ見ればタックスヘイブン国ではありません。

しかし「資本参加免税」に該当するキャピタル・ゲインで考えてみると、オランダでは非課税とされます。

そのため分母に「非課税所得」が加算されることで、税率20%以下になることもあるのです。

 

税効果会計について

タックスヘイブンによるオランダでの持株会社設立の優位性と今後について!

税効果会計とは?

税効果会計とは、税務と会計のズレを調整するために修正することです。

同じ税金を扱う場合でも、「会計」と「税務」では経理処理が異なるため、どうしても差異が生じてしまうことがあるのです。

それを適格な数値に修正することを税効果会計と言います。

 

企業会計上の利益計算と税務上の課税所得計算の違いと税効果会計の適用について

税金の計算は、会計上の利益に税率を掛けるのではなく、課税所得に税率を掛けて計算せねばなりません

例に出して見てみましょう。

利潤表(損益計算書)

売上高

10,000

売上原価

4,000

粗利益

6,000

貸倒引当金繰入額

1,000

税引前利益

5,000

この場合、税引前利益の5,000×25%=1,250が企業所得税額と思われがちです。

しかしここで注意せねばならないのが「貸倒引当金繰入額は費用・損金として認めらない」ということです。

 

そのため正しい課税所得は、税引前利益の5,000+貸倒引当金繰入額1,000を足した6,000になります。

つまり企業所得税は6,000×25%で1,500になるのです。

利潤表(損益計算書)

売上高

10,000

売上原価

4,000

粗利益

6,000

貸倒引当金繰入額

1,000

税引前利益

5,000

企業所得税

1,500

税引後利益

3,500

「会計上は1,250だったけど、税務上は1,500だった」

この250の差を修正する行為が税効果会計です。

ちなみに税効果会計を行う前と後で比較すると下記のようになります。

 

税効果適用前

税効果適用後

税引前利益

5,000

5,000

企業所得税 (1)

1,500

1,500

繰延所得税調整額 (2)

△250

税引後利益

3,500

3,750

 

   

所得税費用 (1)+(2)

1,500

1,250

所得税費用/税引前利益

30%

25%

 

オランダで持株会社設立のメリットについて

タックスヘイブンによるオランダでの持株会社設立の優位性と今後について!

オランダ法人税制の特徴について

オランダの法人税は下記のように定められています。

  • 課税所得20万ユーロ未満は20%

  • 20万ユーロを超える課税所得については25%

 

オランダは早くから資本参加免税を導入している国です。

そのため一定要件を満たす外国子会社からの配当や株式譲渡益を非課税としており、中間持株会社を設立するのに向いている税制と言えるのです。

 

オランダでの持株会社の優位性について

オランダの資本参加免税の適用条件は、下記の3つになります。

  1. 投資会社の発行済株式等の最低5%を保有していること

  2. 動機テストを満たすこと

  3. 動機テストを満たさないときは課税テスト又は資産テストを満たすこと

 

これらの条件を満たすことで、資本参加免税が適用されます。

免税が適用された場合は、配当及び株式譲渡益は100%非課税です。

 

日本との二国間租税条約について

また日本人がオランダを選択するメリットのひとつに、日本との二国間租税条約があります。

  1. 二国間の配当支払の取り扱い

一方の締約国に居住する法人が、他方の締約国に居住する法人に配当を支払う際に、配当支払企業の議決権の10%以上に相当する株式を所有する法人である場合には(親子間の場合)、税率は当該配当金額の5%を超えないものとしている。また、議決権の50%以上に相当する株式を所有する法人の場合は無税となる。その他の法人間の支払は10%を超えないものとしている。(日蘭租税条約第10条)

 

  1. 二国間の利子支払の取り扱い

一方の締約国に居住する法人が、他方の締約国に居住する法人に利子を支払う際には、当該利子金額の10%を超えないものとしている(日蘭租税条約第11条)。ただし、オランダ国内では税法上、利子に対する源泉税は無税のためオランダ法人から日本法人への利子支払に対しても無税である。

一定の要件を満たした金融機関等の利子支払いも免税対象となる。

 

  1. 二国間のロイヤルティー支払の取り扱い

一方の締約国に居住する法人が、他方の締約国に居住する法人に対して支払うロイヤルティー(使用料)は、免税となる(日蘭租税条約第12条)。

参照元:独立行政法人日本貿易振興機構

難しいですね。

しかしこの条約が如何に法人に対して優しくできているのか抜粋してみましょう。

  • ・税率は当該配当金額の5%を超えない

  • ・議決権の50%以上に相当する株式を所有する法人の場合は無税

  • ・金融機関等の利子支払いも免税対象

  • ・他方の締約国に居住する法人に対して支払うロイヤルティーは免税

いかがですか?

これだけの恩恵がある条約があるならば、「オランダは法人税25%だからタックスヘイブンではない」と言えなくなりますね。

 

オランダなどの海外法人が節税防止に?

タックスヘイブンによるオランダでの持株会社設立の優位性と今後について!

海外に移転した所得に対しても日本で課税できるよう税制改正を検討している

日本が定めるタックスヘイブン税制規制は、「法人税20%未満の国」を大前提にしています。

しかしオランダのように法人税25%でも、見事にタックスヘイブンできてしまう例もあるのです。

そのため日本では、税制改正の動きが見られています。

 

税逃れは日本並みの課税を財務省が検討している

上記で大前提としていた「法人税20%未満」を改正する可能性が出てきています。

もしこの改正が行われれば、オランダはもちろんどこの国で事業を行っても、日本の税率が適用されることになります。

 

タックスヘイブン税制の税率基準を廃止して配当やロイヤルティーや利子を日本で課税できるように検討している

また法人税だけでなく、株式配当やロイヤルティーにも課税しようとする案もあるのです。

税率が20%以上の国であっても、株式の配当・知的財産などによるロイヤルティー・預金や債券などの利子にあっては、事業実態がなくても得られる所得であるため、原則として日本の所得に合算して日本で課税しようとするもの

参照元:株式会社ファミリーオフィスコンサルティング

つまりどこの国でどのような方法を取ったとしても日本の税率を適用させようとする規制へと動き始めているのです。

 

25%判定に影響を与える欧州主要国の2009年度税制改正の概要について

タックスヘイブンによるオランダでの持株会社設立の優位性と今後について!

英国の税制改正について

イギリスでは2009年に税制改正が行われました。

これにより海外の配当免税制度が導入されることになったのです。

 

オランダの税制改正案について

オランダでも、2009年に新しい税制が適用されました。

それが「非選択型5%利子ボックス」というもので、グループ間の利子取引に関しては、受取利子・支払利子共に5%で課税するというものです。

 

タックスヘイブン活用による節税は違法ではないがリスクがある

タックスヘイブンによるオランダでの持株会社設立の優位性と今後について!

タックスヘイブンを利用した節税対策は合法です。

しかし国益を失う方法であることから、問題視される傾向が強まってきています

 

日本の税制改正が動いているように、どこの国でどのような方法を取っても、自国の税率が適用される日も遠くないかもしれません。

また「税金逃れをしている」と見られることもあるため、タックスヘイブンを利用した節税対策はリスクの高い方法なのだと覚えておきましょう。

 

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