FX取引をしているとよく耳にする言葉である「インターバンク市場」。
でもいったいどういうものかよく分かっていない…という方も多いのではないでしょうか。
そんなインターバンク市場について詳しく説明していきます。
インターバンク市場とは?
インターバンク市場とは原則金融機関のみが取引できる市場のことを指し、短期資金や手形、外貨が取引されています。
インターバンク「市場」と言っても、物理的な市場があるわけではなく、電話やウェブを通して取引が行われています。
このように銀行間で直接取引が行われることをダイレクトディーリングと言います。
外国為替取引においては、このインターバンク市場の取引レートを基準にしています。そのためインターバンク市場は、FX取引に必要不可欠な存在なのです。
インターバンクの特徴とは?
インターバンクとFX業者の関係とは?
最初にインターバンクは「原則銀行のみが取引できる市場」であると説明しました。つまり一般の投資家が取引をしたいと思ったとしても、銀行同士の取引であるインターバンク市場に入ることはできません。
そこでFX業者が間に入り、インターバンク市場と個人投資家をつなぐことでFXトレードを成立させているのです。
外国為替について
インターバンクとFX業者の関わりについて確認できたところで、次はインターバンクと外国為替との関わりについて確認しましょう。
外国為替の売買が行われることを、外国為替市場と呼びます。
外国為替市場は「インターバンク市場」と「対顧客市場」の2つに分かれます。通常外国為替市場というとインターバンク市場を指します。
インターバンク市場においては、外国為替はシドニーから始まって東京、ロンドン、ニューヨークと24時間取引されています。
1日中FX取引できるのは、世界各国の銀行が24時間取引することで、インターバンク市場が形成されているためなのです。
それに対し対顧客市場とは金融機関が商社や生命保険会社、メーカーなどの顧客を相手に取引を行う市場で、対顧客市場のレートはインターバンク市場の外国為替レートに基づいて決められています。
短期金融について
このようにインターバンク市場は為替取引で注目されることが多いのですが、為替以外にも「短期金融」も取引されています。
短期金融とは「お金の貸し借り」のことで、1年以内に返済する取引のことを言います。
金融機関では様々な取引を行った結果として資金が余ったり不足したりという状態が起きることがあります。その際に不足が発生した金融機関に余った資金のある金融機関が短期で返済することを条件に貸し付けることを「短期金融」と言います。
短期金融で行われる主な金融取引は「コール」と呼ばれています。
コールとは呼びかけると戻ってくるという意味で、それぐらい短期の金融取引が行われていることを示しています。
最も取引が多いのは「無担保コール翌日物」と呼ばれる取引で、借り入れた次の日に返済するという非常に短期間の金融取引のことを指します。
インターバンクレートとは?
インターバンクレートとは、インターバンク市場において金融機関の間の取引で形成される外国為替取引の基準となる相場のことを指します。
外国為替が取引される市場にはインターバンク市場と対顧客市場の2つがあるため、外国為替レートにもインターバンク市場における「銀行間相場(インター・バンクレート)」と対顧客市場における「対顧客相場(カスタマーズ・レート)」の2種類があります。
また銀行間相場(インターバンク・レート)は、為替の受け渡し日の違いから直接相場(スポット・レート)と先物相場(フォワード・レート)に分かれます。
直接相場(スポット・レート)は取引日の2営業日後に決済を行う取引であり、直物取引に適用されます。その一方で先物相場(フォワードレート)は外国為替の予約レートを指します。
インターバンク市場は相対取引?
相対取引とは?
相対取引とは取引所を経由しないで売り手と買い手が直接取引する「1対1」の取引のことを指します。
取引価格は双方の合意で決定され、数量、価格、期日も同様に決定されます。相対取引は店頭取引とも呼ばれます。
相対取引ということは?
FXにおいて相対取引は投資家がポジションを持つ際にFX業者と直接取引することを言います。
ポジションを持つ際に取引所を経由することはありませんし、投資家がドルを買えばFX業者は売りポジションを持つことになりますし、投資家がドルを売ればFX業者は買いポジションを持ちます。
店頭FXって何?
店頭FXはそうした相対取引のもと、投資家とFX業者が直接取引する方法です。取引できる通貨の数やトレード環境は業者によって異なるのが特長で、取引所取引よりも取引コストが安くなるのが特長です。
取引所取引とは?
現在日本における取引所FX取引は東京金融取引所のくりっく365や大阪証券取引所が提供している大証FXの二つがあります。それぞれFX業者が仲介をしますが、実際の取引は取引所で行われます。
取引できる通貨の数やトレード環境は取引所のものを利用するため、原則として共通です。取引所を経由するため信頼性が高いのが特徴です。
店頭FXと取引所FXはどっちがいいのか?
店頭FXも取引所FXもレートについてはインターバンクレートのため、大差はありません。
しかしスプレッドや手数料では大きな違いがあります。
店頭FXが0.5銭などのかなり狭いスプレッドを提供しているのに対して、取引所FXでは1銭以上のスプレッドになることもあります。
また店頭FXでは手数料無料の業者がほとんどですが、取引所FX取引では手数料がかかります。
こうしたデメリットがあるものの、取引所FXには税法上のメリットがあったため取引所FXを愛用するトレーダーも多くいました。
しかし2012年1月から店頭FXが申告分離課税となり、店頭FXも取引所FXも税率が20%と固定になったため、現在では店頭FXを利用するトレーダーのほうが多数派です。
インターバンク直結と非直結について
インターバンク直結とは?
インターバンク直結とは、投資家が売買注文をするとFX業者はその注文を受けずに直接カバー先の金融機関に発注する形式のことです。
カバー先とは外国為替の売買を行う場合、為替レートを提示する銀行のことで、提示する為替レートはインターバンク市場のレートをもとに決められています。
その際契約している複数のカバー先が提示するレートの中で、一番スプレッドが小さい為替レートを投資家に提示します。
このようなプロセスを踏むことで低スプレッドが実現しているのです。インターバンク直結の場合、買値が売値よりも安いマイナススプレッドが発生することもあります。
このようにFX業者(ディーラー)を介さずにカバー先のレートで売買が行われることから、インターバンク直結の取引はNo Dealing Desk(NDD:ノンディーリングデスク)とも呼ばれています。
インターバンク非直結とは?
インターバンク非直結とは先ほどのNDDとは異なり、FX業者がカバー先の銀行が提示したレートを直接投資家に提示せず、FX業者が決めた為替レートを投資家に提供することを言います。
インターバンク非直結の場合、スプレッドはFX業者が決めるため、NDDのようにマイナススプレッドが発生するということはありません。また悪質な業者の場合、投資家に不利な操作がされる場合もあります。
インターバンク直結のメリットとは?
インターバンク直結のメリットは、その不正が起こりにくい環境にあります。インターバンク直結でカバー先の銀行が提示するレートがそのまま投資家に提示されるため、FX業者がレートを加工する余地はありません。
つまり極めて公平なレートで取引ができるのです。
またNDDではスリッページも防ぐことができます。スリッページとは注文時に指定したレートと実際に約定するレートに違いが生じることです。
投資家の不利な方向に意図的にスリッページを起こした場合、スリッページさせた分はFX業者の利益となります。
これは悪質な業者に限った話になりますが、注文した通りのレートで約定しないというのは取引では大問題。
そういった意味でもNDDにはメリットがあります。
インターバンク直結のデメリットとは?
インターバンク直結の取引の場合、複数のカバー先の銀行とやり取りをするためにデメリットが生じることがあります。
インターバンク非直結ではFX業者がレートやスプレッドを決定しているため約定率は比較的安定していますが、インターバンク直結の場合為替レートを複数のカバー先銀行に依存しているため、状況によっては約定率が低くなりやすい傾向にあります。同様の理由で為替レートが変動しやすくなることもあります。
また注文数量が多い場合、望むレートに達したとしても自分が望む数量がなければ一部の注文しか約定しないという「部分約定」が起こることもあります。
例えば1ドル100円で100万通貨の買い注文をしたときに、100円の売り注文側に40万通貨しかなかった場合は40万通貨しか約定せず、残りの60万通貨は未約定になってしまうのです。
インターバンク直結型のFX会社は?
様々なデメリットもありますが、透明性の高い取引ができるNDD取引は投資家にとってとても魅力的と言えるでしょう。以下ではおすすめインターバンク直結型のFX会社をご紹介します。
おすすめなのはセントラル短資FXの「ウルトラFX」。
セントラル短資には「FXダイレクトプラス」、「セントラルミラートレーダー」など3種類のFX口座があり、この「ウルトラFX」はインターバンク直結取引を採用したFX口座です。口座維持管理費や取引手数料は無料。取引通貨単位は1万通貨単位からとなっています。
インターバンク直結取引で気になるのがカバー先の銀行ですが、JPモルガンチェース銀行やゴールドマンサックス証券、バンクオブアメリカ、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行を中心とした20の金融機関と提携しており、この提携数はFX業界の中でもかなり多いほうに入ります。
カバー先が多いと安心して取引できますね。
国内業者でインターバンク直結取引を採用しているのはセントラル短資FXをはじめとして数社程度ですが、海外のFX業者ではむしろインターバンク直結取引が主流となっています。
海外FX業者は国内FX業者よりもハードルが高くなりますが、興味のある方はぜひチェックしてみてください。
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