2017/10/09

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合同会社(LLC)は個人より節税しやすく、株式会社より安い!

合同会社を設立するメリットは?

合同会社はどんな節税対策ができる?メリットとデメリットも解説!

そもそも合同会社って何?

合同会社株式会社などと同じく、日本の法律で認められた法人のひとつです。株式会社ほど大きくなく、個人事業主から法人になる場合などの小規模な事業を法人化するために利用されています。

最近では、アマゾン・ジャパンが株式会社から合同会社に移行するなど、合同会社の普及が進んでいます。

 

合同会社はスタートアップやBtoCビジネスに向いている?

合同会社はどんな節税対策ができる?メリットとデメリットも解説!

年商1,000万円以下のスタートアップに向いている

日本の法律では年商1,000万円以上の場合、消費税の納税義務が発生します。合同会社は、迅速な意思決定、利益分配などが自由に行えるため、年商1,000万円以下のスタートアップに向いています。

 

カフェやサロン、ITなど消費者向けサービスと好相性について

会社間でビジネスをする場合(BtoB)は、会社の信用力が重要です。株式会社でなければ取引を相手にしてもらえない場合もあります

ただし、個人とビジネスをする場合(BtoC)は、このようなデメリットはありません。カフェやサロン、ITなど消費者向けサービスは会社の信用度よりはサービスの内容が重要ですので、合同会社が向いています

 

法人・合同会社・個人事業主の違いについて

合同会社はどんな節税対策ができる?メリットとデメリットも解説!

法人と個人との違いを比較

株式会社、合同会社、個人事業主の3つを比較しました。

 

 

株式会社

合同会社

個人事業主

組織形態

法人

法人

個人事業主

資本金

1円以上

1円以上

不要

設立費用

25万円

10万円

0円

構成員数

1名以上(取締役)

1名以上(社員)

1名以上

信用度

責任

有限

有限

無限

節税効果

繰越欠損金

青色申告7年

青色申告7年

青色申告3年
白色申告なし

社会保険

加入義務

加入義務

従業員のみ加入可

融資の有利

 

法人・合同会社・個人事業主で税金を比較してみた

合同会社はどんな節税対策ができる?メリットとデメリットも解説!

所得税と法人税について

ここからは、法人と個人事業主で各種税金を比較します。まずは所得税と法人税です。

 

法人(法人税)

個人事業主(所得税)

課税所得金額:
800万円以下:15%
800万円以上:25.5%

課税所得金額:
195万円以下                        :5%
195万円超~330万円以下   :10%
330万円超~695万円以下   :20%
695万円超~900万円以下   :23%
900万円超~1,800万円以下:33%
1,800万円超                         :40%

 

事業税について

事業税を比較します。

 

法人

個人事業主

課税所得金額:
400万円以下                  :3.4%
400万円~800万円以下 :5.1%
800万円以上                  :6.7%

(事業所得 - 290万円) × 3~5%
※業種により異なる

 

住民税について

住民税を比較します。

 

法人

個人事業主

都道府県民税:
 均等割    :2万円
 法人税割:5%
市区町村民税:
 均等割    :5万円
 法人税割:12.3%

都道府県民税:
 均等割:1,000円
 所得割:一律4%
市区町村民税:
 均等割:3,000円
 所得割:一律6%

 

消費税について

消費税を比較します。

 

法人

個人事業主

課税売上高:

1000万円以上:8%

 

合同会社(LLC)設立のメリットとは? 

合同会社はどんな節税対策ができる?メリットとデメリットも解説!

設立コストやランニングコストが低い  

合同会社と株式会社の設立コストやランニングコストを比較しました。

 

 

合同会社

株式会社

設立コスト

・登録免許税           :6万円

・収入印紙               :4万円

・定款の謄本手数料:2,000円

合計:10.2万円

・登録免許税           :15万円

・公証人手数料        :5万円

・収入印紙                :4万円

・定款の謄本手数料:約2,000円

合計:24.2万円

決算の義務

なし

あり

公告費用:6万円

役員の任期

無制限

年間

手続き(重任登記費):1万円

 

経営の自由度が高いのでフットワークが軽くなる

合同会社と株式会社の自由度を比較しました。

 

 

合同会社

株式会社

利益の配分

出資比率に関係なく自由に決められる

出資比率に応じて利益を配分する

組織設計

出資者と経営者が一致しているため、迅速に意思決定ができる

出資者と経営者が一致していないことがあるため、意思決定に時間がかかる場合がある

 

株式会社と同じく節税や社債発行する事ができる

合同会社は個人事業主ではできなかったことが、株式会社では行うことができます。

 

有限責任から合同会社になることで株式会社と同様にできること

内容

詳細

節税

個人事業主の場合の所得税は累進課税

合同会社の法人税は所得が800万円以下なら22%、800万円以上なら30%と一定税率

社債発行

資金調達ができるようになる

有限責任

個人事業主は無限責任のため、個人の全財産を失う可能性がある

合同会社は有限責任になり、個人の全財産を失わない

 

個人事業主よりも社会的な信用度が高くなる

合同会社は法人のため、個人事業主よりも社会的な信用度が高くなります

 

決算期を自由に決める事ができる

合同会社は決算期を自由に決められます。例えば、売り上げの増減の激しい月を決算期から外すことで、利益を想定できるようになり、節税精度を高めやすくできます

 

合同会社(LLC)のデメリットとは? 

合同会社はどんな節税対策ができる?メリットとデメリットも解説!

知名度が低くくなるため信頼性はやや劣る

合同会社は、株式会社より知名度が低いため、取引先と契約ができない場合があります。また、人材の採用にも不利にです。

 

資金を調達する方法が限られる

合同会社は、株式会社のように株式で資金調達はできません

 

社員同士が対立する可能性がある

合同会社は利益の配分などが自由な分、社員同士が不満を持ち対立する可能性もありますので、信頼できる人を社員にしましょう。

 

個人事業主から合同会社にするメリットとデメリット

合同会社はどんな節税対策ができる?メリットとデメリットも解説!

個人事業主から合同会社にするメリットとは?

個人事業主から合同会社にするメリットは7つあります。

 

  • 社会的信用度が増える

  • 売り上げが向上する可能性が増える

  • 銀行などからの融資が受けやすくなる

  • 人材確保がしやすくなる

  • 個人の責任が限定され、自分の資産が守れる

  • 事業継承がスムーズにできる

  • 活用できる節税策が増える

 

個人事業主から合同会社にするデメリットとは?

個人事業主から合同会社にするデメリットは5つあります。

 

  • 合同会社の登記にお金がかかる

  • 帳簿作成などの事務処理が増える

  • 交際費の規定が個人事業主より不利になる

  • 利益が赤字でも法人税の均等割がかかる

  • 社会保険への加入が必要になる

 

合同会社でできる節税について

合同会社はどんな節税対策ができる?メリットとデメリットも解説!

青色申告の利点と節税について

個人事業主、合同会社、株式会社は全て青色申告ができます。青色申告のメリットは後述しますが、帳簿を作成したり、会計・経理資料を保存するなどの作業が発生します。

 

青色申告の申請と承認要件について

青色申告は「税務署への申請」を行い、「税務署に承認」される必要があります。

 

役員報酬と節税について

合同会社には株式会社のような役員は存在しません。ただし、役員報酬のルールは株式会社と同じです。このルールを順守すれば、報酬額を会社の損金として計上して節税することが可能です。

 

経費計上可能な役員報酬は3種類について

経費計上可能な役員報酬は3つあります。

 

  1. 事前確定届出給与

  2. 定期同額給与

  3. 利益連動給与

 

社宅による節税対策について

会社から住宅手当を支給すると、その分の給与に所得税と住民税が課税されます。ただし、会社が社宅を借り上げて一定額を社員から徴収する場合は課税されません。よって、社宅制度は節税対策になります。

 

自宅を事務所とする節税対策について

合同会社を自宅に登記した場合は、使用割合によって家賃などの住宅費を経費に計上できます。

 

旅費規定による節税対策について

「旅費規定」を策定することで、業務に関係がある旅費は全額経費に計上できます

 

【一覧】合同会社が経費として落とせる支出

合同会社はどんな節税対策ができる?メリットとデメリットも解説!

広告宣伝費

会社や商品の宣伝などに使用した費用です。

 

交際費

事業活動で必要な交際のための費用です。

 

会議費

社内会議のための会議室費用や食事代などの費用です。

 

旅費交通費

出張や商談などにかかった費用です。

 

通信費

インターネット代、電話代、切手代などの通信にかかった費用です。

 

消耗品費

価格が10万円未満の繰り返し使うことで、消耗するものにかかった費用です。

 

事務用品費

消耗品の中で、ボールペンやノート代などの費用です。

 

水道光熱費

事務所や店舗などの水道代、電気代、ガス代などの費用です。

 

地代家賃

事務所や店舗などの家賃などです。

 

給料賃金

従業員への給料です。

 

役員報酬

役員に払う報酬は費用として認められますが、年間の報酬は一度決めたら変更できません。(定期同額給与

 

サラリーマンが会社設立すると、なぜ節税対策が出来るのか?

合同会社はどんな節税対策ができる?メリットとデメリットも解説!

サラリーマンが納める所得税とは?

サラリーマンが納めている所得税は「累進課税」と言い、所得が上がるほど税負担が増えます。所得税率は所得金額が195万円以下だと5%ですが、4,000万円を超えると45%もかかります。

 

個人事業主も確定申告で所得税を納める

個人事業主もサラリーマンと同じく累進課税の所得税がかかります。所得は、売上から経費を引いたものです。

 

役員報酬の金額をちょうどいい金額にすることで、会社設立が節税対策になる

会社を設立するとこれまでの自分の収入が、会社の経費(役員報酬)になります。仮に会社の利益分の役員報酬が設定できれば、会社の所得は0円になり税金が軽減できます。

 

サラリーマンの法人設立の注意点とは?

会社の登記簿は誰でも見ることができます。自分が法人の代表になってしまうと、自分の会社にバレてしまう可能性があります。副業禁止の会社では特に危険です。法人の代表は奥さんなどの家族にしておきましょう

 

合同会社を設立後、社会保険加入義務はあるのか?

合同会社はどんな節税対策ができる?メリットとデメリットも解説!

社会保険加入義務について

合同会社であれ、株式会社であれ、法人の社会保険加入は義務になっています。

 

加入しないとどんなペナルティーがあるの?

社会保険に加入しないと、そのうちペナルティーが来る可能性があります。ペナルティーは、最終的に追徴金が発生したり、6月以下の懲役または50万円以下の罰金が考えられます。

 

社会保険未加入を年金事務所が把握した場合、加入指導されます。加入指導後も加入しなかった場合は、上記のようなペナルティーにつながります。

 

合同会社の給与や役員報酬の支払いについて

合同会社はどんな節税対策ができる?メリットとデメリットも解説!

合同会社を一人で運営している場合

合同会社を1人で運営している場合は、「業務執行社員」「代表社員」になります。この場合、会社の役員になりますので、収入は給与ではなく役員報酬です。

 

家族を役員にしたら節税になる?世帯収入はどうなるの?

家族を役員にした場合、従業員として給与を払うことになります。例えば、夫が会社の役員で年収1,000万円の場合、妻を従業員にし、それぞれの報酬を500万円ずつにしても世帯年収は1,000万円のままです。

また、所得税は累進課税ですので、年収1,000万円1人より年収500万円2人にした方が、節税になります

 

社長(代表社員)や役員への賞与は経費なるのか?

社長(代表社員)や役員の役員報酬(定額)は経費になりますが、賞与は経費になりません。できるだけ役員報酬で報酬を払うようにしましょう。

 

合同会社で不動産投資は最大限税金対策になる?

合同会社はどんな節税対策ができる?メリットとデメリットも解説!

税金対策には法人が必須である

個人事業として不動産投資をした場合、奥さんに青色申告の専従者給与として給与を支払い、節税ができます。ただし、奥さんがサラリーマンの夫の扶養として社会保険料が免除されている場合、年収130万円以内という制約があり、専従者給与は多く支払うことができません。

法人であればそのようなことは気にせず、役員報酬としていくらでも払うことができます

 

不動産賃貸業するなら合同会社でするといい

不動産賃貸業で法人を設立する場合、株式会社より合同会社の方がおすすめです。合同会社の方が手続きも簡単で、費用も安いです。会社の信用度は下がりますが、客付などは不動産仲介業者にお願いすれば問題ありません

 

合同会社を設立する前にメリットとデメリットを良く知ろう

合同会社はどんな節税対策ができる?メリットとデメリットも解説!

合同会社について解説しました。

合同会社という形態が誕生してまだ10年程度で知名度は低いですが、それ以上のメリットがあることを理解していただけたのではないでしょうか?

 

個人事業や不動産投資をされている方は、一度合同会社設立を検討されてはいかがでしょうか?

 

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