退職年金制度って何?概要や給付について分かりやすく解説
「退職金」はみなさんご存じだと思います。それでは、「退職年金」や「退職年金制度」をご存じでしょうか?
退職年金と退職年金制度は何が違うのでしょうか?ここでは退職年金制度について詳しく解説していきます。
退職年金制度とは?
退職年金制度とは?
退職年金制度とは、企業が退職した組合員や死亡した場合の遺族に支給される企業年金のことです。
よく聞く退職金は、全額を一括で受け取りますが、企業年金は年金のように分割をして受け取ることができます。また、退職金のように一括して受け取ることもできます。
退職年金制度と退職一時金制度について
退職年金制度とは、先ほど説明したように、年金形式で退職金を受け取るものです。退職一時金制度とは、一般的な退職金のことで、退職金を一括で受け取ることです。
退職年金制度のメリットって何?
企業側から見た時の退職年金制度のメリットは何でしょうか?
退職年金制度は、退職金を分割で支給できるため、退職一時金制度のように退職金を一括で支給する必要がありません。退職一時金の平均は1,000万円以上と言われています。従業員が増えれば増えるほど、退職金支払額が大きくなってしまいます。これでは、企業は利益をあげることが目的のはずなのに、従業員の退職金の支払いで利益がなくなってしまうことにもなりかねません。
退職年金制度であれば、毎月の支払いは長年続きますが、金額は小額になり企業の資金繰りに悪影響を与えにくくなります。企業は退職金の資金繰りに苦労することなく、経営に集中できます。
退職金と退職年金制度の違いとは?
これまで説明してきましたように、退職金は退職時に一時金で受け取ることです。退職年金は、年金のように分割して退職金を受け取ることです。
継続的にもらえる!年金払いの退職金の給付
年金払い退職給付の種類は?
年金払い退職給付は、3つ種類があります。
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退職年金
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公務障害年金
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公務遺族年金
退職年金の種類は?
退職年金は、2つ種類があります。
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終身退職年金(支給期間は終身)
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有期退職年金(支給期間は有期)
退職年金の種類について
有期退職年金は、5つの支給方法があります。
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10年間を有期とする
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20年間を有期とする
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有期退職年金の代わりに一時金を受け取る
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整理退職時に一時金として受け取る
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有期退職年金終了前に、元組合員が死亡した場合は、遺族に一資金を支給する
年金受け取りの併給の調整について
年金払い退職給付は、3つ種類がありました。これらは複数受け取ることはできません。
下記が各年金が停止される条件です。また、いつでも年金の受け取りの選択を変更できます。
年金払い退職給付の併給の調整
年金払い退職給付 |
年金支給停止条件 |
退職年金 |
公務障害年金を受取れるとき |
公務障害年金 |
退職年金、もしくは公務遺族年金を受取れるとき |
公務遺族年金 |
公務障害年金を受取れるとき |
年金の給付の制限とは?
年金給付は、場合によって給付が制限されることがあります。給付制限の条件は大きく分けて2つあります。
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元組合員が故意の犯罪行為した場合など
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元組合員が禁固以上の刑に処せられた場合など
厚生年金と退職年金の違いとは?
日本の年金制度は3階で構成されています。
各階は下記の通りです。
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1階部分:国民年金(全国民が加入する公的年金)
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2階部分:厚生年金(会社員、公務員の公的年金)
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3階部分:企業年金(会社員の私的年金)
厚生年金は2階部分、退職年金(企業年金)は3階部分に位置付けられています。厚生年金は会社員はほとんどの人が加入するため貰うことができますが、退職年金はその企業によって対応が異なります。
退職年金の概要について
退職年金の受給資格は?
退職年金は、1年以上企業で働いた組合員が退職した後に65歳になったとき、もしくは65歳以降に退職した時に支給されます。
また、65歳にならなくても、60歳以上65歳未満の人は、支給の繰上げを申請できます。
そして、退職年金を受給する資格を保有してまだ請求をしていない人は、70歳になる前に支給の繰り下げを申請できます。
終身退職年金について
終身退職年金は、死亡するまで受給し続けることができます。
終身退職年金は、下記の計算式で求められます。
有期退職年金について
有期退職年金は、決められた一定期間の間受給できます。
有期退職年金は、下記の計算式で求められます。
有期退職年金に代わる一時金について
有期退職年金は、年金払いでなく一時金として受け取ることができます。
ただし、年金払い中ではなく、退職年金の請求時に一時金で貰うことを申請する必要があります。
整理退職の場合の一時金について
リストラなどで整理退職した場合は、有期退職年金部分を一時金として受け取ることができます。
整理退職一時金の金額は、退職をした日の給付算定基礎額の1/2に相当する額です。
遺族に対する一時金について
1年以上働いた組合員が死亡した場合は、その遺族にそれぞれの場合で取り決められた金額の一時金が支給されます。
組合員である間の退職年金の支給停止について
退職年金を受給中に組合員に戻った場合は、退職年金の支給は停止されます。その後、退職した場合は再計算をされ、退職年金が支給されます。
退職年金の受給権の消滅とは?
退職年金の受給権の消滅条件は、終身退職年金と有期退職年金で異なります。
終身退職年金と有期退職年金で共通の消滅条件
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退職年金受給中の元組合員が死亡したとき
有期退職年金のみの消滅条件
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退職年金の支給期間が終了したとき
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退職年金に代わりに通常一時金、もしくは整理退職一時金の支給を請求したとき
退職共済年金について
退職共済年金の受給資格は?
退職共済年金は、共済に加入している人が、老齢基礎年金(国民年金)の受給資格期間を満たしたときに、65歳から支給される年金です。
退職共済年金の受給資格は下記の3つを全て満たしたときです。
退職共済年金支給条件
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65歳以上であること
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1年以上の組合員期間があること
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組合員期間など※が25年以上であること
※組合員期間の他に国民年金や厚生年金などの公的年金の加入期間も合算した期間
特別支給の退職共済年金の受給資格について
特別支給の退職共済年金は、本来65歳から支給される退職共済年金を65歳未満で受給する場合のことです。
退職共済年金とは年齢のみ条件が異なります。
特別支給の退職共済年金支給条件
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60歳以上65歳未満であること
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1年以上の組合員期間があること
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組合員期間などが25年以上であること
退職年金制度について良く知っておこう!
老後の生活を考える時に、年金や退職金がいくらあるかなどをシミュレーションします。老後のお金は、退職金のように一度にたくさん貰えればいいというわけではなく、毎月の生活費を毎月受け取れる方が安心という方もいます。
退職年金制度は、公的年金に加え、企業から毎月お金が貰える制度ですので、老後も見据えて一度検討されることをおすすめします。
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