2015/11/22

使う

19355views

これを読めば全てわかる!老齢年金や個人年金の税金と控除のしくみ

老後の大切な収入源『年金』にも税金がかかる

 

私たちの生活から切っても切れない「税金」

 

給与収入者の方は、毎月給与明細を見てため息・・・ということもあるのではないでしょうか。

 

最近では、早くから老後の計画を練りあげて、第二の人生に思いを馳せている人も多いといいます。

 

ところが、その老後の収入源となる年金にも税金がかかってくる、という事実を知っている人は果たしてどれくらいいるでしょうか。

 

しかし、公的年金による収入は「雑所得」として扱われ、給与所得者よりは課税されにくくなっています。

 

「年金の税金って少し分かりにくいな・・・」

と感じている方のために、今回は、年金にかかる税金についてまとめてみました。

 

年金生活者の方もそうでない方も、今後の生活のために知っておきたいですよね。

 

年金受給者の税金には特別な控除がある!

 

公的年金は、「雑所得」として課税されます。

 

しかし、全ての年金に対して課税されるわけではありません。

「課税される年金」と「課税されない年金」

老齢年金→課税される

老齢を理由に支給される年金で、国民年金の老齢年金と、厚生年金の老齢年金があります。

遺族年金→課税されない

被保険者が死亡した時に、残された遺族に支払われる年金。

障害年金→課税されない

病気や負傷などによって、一定の障害の状態になった者に対して支払われる年金。

公的年金の控除の金額

公的年金受給者の所得の算出方法は以下の通りです。

 

公的年金の収入金額-公的年金控除

 

公的年金受給者は、給与所得者よりも多くの控除を受けることができます。

控除額は以下の表の通りです。

65歳未満

公的年金の収入金額 控除額
130万円未満 70万円
130万円以上 410万円未満 収入金額×25%+37万5,000円
410万円以上 770万円未満 収入金額×15%+78万5,000円
770万円以上 収入金額×5%+155万5,000円

 

公的年金の収入金額が70万円までは所得金額はゼロになります。

65歳以上

公的年金の収入金額 控除額
330万円未満 120万円
330万円以上 410万円未満 収入金額×25%+37万5,000円
410万円以上 770万円未満 収入金額×15%+78万5,000円
770万円以上 収入金額×5%+155万5,000円

 

公的年金の収入が120万円までは所得金額はゼロになります。

実際に計算してみよう!

それでは、さっそく実際に計算してみたいと思います。

同じ条件でも、年齢が違うだけで大きな差が出ました。

モデルケース1
公的年金収入150万円/65歳未満/一人暮らし

①まず、所得金額を割り出します。

 

1,500,000-(1,500,000×25%+375,000)=750,000

 

この75万円が公的年金の雑所得金額です。

この金額から更に各所得控除額を引きます。

所得税の場合

②各種控除を引いて、課税所得額を割り出す

750,000-380,000(基礎控除)=370,000

 

③所得税率(復興特別所得税込)を掛けて、所得税額を割り出す

370,000×5.105%=18,888

 

所得税額 1万8,888円

 

住民税の場合

②各種控除を引いて、課税所得金額を割り出す

750,000-330,000(基礎控除)=420,000

 

③住民税率を掛けて、住民税額を割り出す

420,000×10%=42,000

 

④調整控除分を引く

42,000-2,500=39,500

 

⑤均等割額を足す

39,500+5,000=44,500

 

住民税額 44,500円

 

合計納税金額 6万3,388円

モデルケース2
公的年金収入150万円/65歳以上/一人暮らし

①1,500,000-1,200,000=300,000

 

所得税の場合

②300,000-380,000(基礎控除)

 

この場合、課税所得額よりも控除額の方が大きいので、非課税となる

 

所得税額 0円(非課税)

 

住民税の場合

②300,000-330,000(基礎控除)

 

この場合、課税所得金額が非課税限度額である35万に達しないため、非課税となる

 

住民税額 0円(非課税)

 

 

合計納税金額 0円

 

※住民税の計算は、標準額を基に算出しています

※わかりやすさを優先するため、基礎控除以外の控除は考慮されていません

 

年金受給者でも確定申告が必要なのは4パターン

 

年金受給者の場合、1年間の年金の支給額が、

 

65歳未満で108万円超

65歳以上で158万円超

 

の場合、原則として、年金から天引きされます。

 

しかし、以下の要件に当てはまる人は確定申告が必要、もしくは、確定申告をすると払い過ぎた税金が還付される可能性があります。

 

また、確定申告の際には、毎年年明けに送られてくる「公的年金等の源泉徴収票」が必要になります。

大切に保管しましょう。

公的年金による収入が400万円以上ある

公的年金による収入が400万円以上ある人は、確定申告が義務付けられています。

個人年金や給与など、公的年金以外の所得が20万円以上ある

公的年金以外に収入がある場合には、双方を合算して税額を決めます。

公的年金以外の所得が20万円以下の場合は、確定申告の義務はありません。

しかし、この場合でも住民税も申告は必要になるので、注意しましょう。

前年に定年退職をした

以下の条件のいずれかに当てはまる人は、確定申告によって納めすぎた税金が戻ってくる可能性が高いです。

 

①年の途中で退職した人

②退職時に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない人

生命保険料控除、医療費控除などの所得控除がある

以下の控除を受けられる人は、確定申告によって納めすぎた税金が戻ってくる可能性が高いです。

 

①雑損控除

②医療費控除

③社会保険料控除

④生命保険料

⑤地震保険料控除

⑥寄附金控除

⑦寡婦(夫)控除

⑧勤労学生控除

⑨障害者控除

⑩配偶者控除

⑪配偶者特別控除

⑫扶養控除

 

今一度ご確認ください。

もう1つの年金『個人年金保険』について

個人年金とは、公的年金以外に個人的に保険会社に保険料を払い込み、一定の年齢になったら年金の形で受け取るものです。

 

個人年金には、加入者の保険料と利子を原資に年金を受ける「貯蓄型」と、加入者の保険料と配当金を原資とする「保険型」があります。

「貯蓄型」と「保険型」では所得区分が違う

個人年金を受け取っている場合、「貯蓄型」でも「保険型」でも課税対象になりますが、その対象となる部分に差があります。

 

個人年金の種類 原資 所得区分
貯蓄型 保険料+利子 利子所得
保険型 保険料+配当金 雑所得

 

「貯蓄型」は利子所得

「貯蓄型」の場合は、年金のうち利子に相当する部分が利子所得として課税されます。

この場合は、支給時に天引きされます。

 

利子所得の場合は、収入金額がそのまま利子所得として課税対象になります。

「保険型」は雑所得

「保険型」の場合は、雑所得として課税されます。

年金額が年間25万円を超える場合、その金額の10.21%が源泉徴収されます。

 

この年金額ですが、以下の計算式で算出します。

 

その年に受け取る個人年金の額-その年に受け取る個人年金の額×(年金の見込み受取総額÷払込保険料の総額)

=個人年金の雑所得

個人年金に贈与税がかかる?

「夫が保険料を払い込み、妻が年金の受取人になる」など、保険料を支払う人と受取人が異なる場合があります。

その場合は、年金の受給開始時に、この年金受給権に対して贈与税が課税されてしまいます。

 

贈与税課税対策としては、保険料の払い込み時から、保険料の金額を110万円(贈与税の非課税枠)の範囲で贈与して、受取人となる家族本人が保険料を負担するようにする必要があります。

年金にかかる税金対策は、きちんとした知識を身に付けること

 

公的・私的を問わず、老齢による年金収入には、税金が課せられます。

 

ほとんどの公的年金受給者の税金は、年金から天引きされています。

しかし、そこで安心してしまって、本当は税金を払いすぎているかもしれないのに、確定申告をしていない人も中にはいるかもしれません。

 

これは非常にもったいないと言えます。

 

また、「年金問題」などとニュースで耳にすることが多くなった現代、個人年金に加入し、自力で将来に備える人も増えてきました。

しかし、その将来に備えるための行動で、余計な税金まで支払うことになってしまうのは賢明とは言えません。

 

日本の税制は確定申告主義です。

受けられる控除等は自分で申請しないと適用されません。

 

また、節税に関する知識も、受動的な姿勢では得ることができません。

 

税金対策において一番大切なのは、正しい税金の知識を身につけることと言えるでしょう。

 

 

 

この記事が気に入ったらいいね!しよう

マネストの最新エントリーが見られます。

Twitterでマネストをフォローしよう!

「使う」ランキング

人気記事総合ランキング

Tweet by @ManeSto_com