2017/10/06

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加入前に要チェック!確定拠出年金(iDeco)のメリット・デメリットについて解説!

確定拠出年金にはどんなメリットやデメリットとがあるの?詳しく解説します!

加入前に要チェック!確定拠出年金(iDeco)のメリット・デメリットについて解説!

確定拠出年金に加入する前に知っておきたい知識について

この記事を読まれている方は、確定拠出年金をこれからやってみよう!という人が多いと思います。

ここでは、確定拠出年金のメリット・デメリット・注意点を中心に解説していきます。

 

確定拠出年金について

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確定拠出年金とは?

確定拠出年金は、企業や加入者が掛金を拠出し、加入者が運用します。将来の運用結果は自分の選択で決まります

確定拠出年金の掛金を自分で支払った場合は、所得控除として所得税・住民税などが軽減されます。

 

確定拠出年金は2種類ある

確定拠出年金は主体が誰かによって、「個人型」「企業型」の2つに分けられます。

「個人型」加入の選択・掛金支払いを自分で行うものです。「企業型」企業が自社の年金制度として導入するものです。

 

確定拠出年金入った方がいい人と入らない方がいい人

確定拠出年金に入った方がいい人と、入らない方がいい人の例を挙げます。

 

入った方がいい人

  • 企業型確定拠出年金を導入している企業で働いている人(入らざるを得ない)

  • 所得税・住民税が高い人

  • 退職金がない・少ないため、老後の退職金代わりが欲しい人

 

入らない方がいい人

  • 所得税・住民税が低いもしくは支払っていない人(専業主婦など)

  • 住宅ローン減税などの税金軽減手段を持っている人

  • 老後の資金が豊富な人

 

自営業者・公務員・専業主婦・会社員加入する個人型確定拠出年金(iDeCo)はどこがいいのか?メリットって何?

加入前に要チェック!確定拠出年金(iDeco)のメリット・デメリットについて解説!

掛金が全額所得税控除の対象

個人型確定拠出年金(以下、iDeCo)毎月の掛金は、全額所得控除の対象になります。

所得控除とは、所得税と住民税の基となる課税所得から金額を差し引くことです。所得控除を利用すると、所得税と住民税が軽減されます。

 

運用益が非課税になる

運用で得られた利息や配当金、売却益などの運用益はどれほど増えても全額非課税です。よって、非課税になる分、資金は増えやすくなります。

 

年金受給時の税制優遇がある

運用資産は、老後に受け取るときにも税制優遇があります。年金で受取るときは、公的年金等控除の対象です。一時金で受け取るときは、退職所得控除の対象です。どちらの場合も所得税などが軽減されます。

 

年金の破綻リスクがない

iDeCoの場合は個人の年金ですので、他の人が運用でマイナスを出してもこちらが補てんをする必要はありません。よって、iDeCoは破たんのリスクがありません

 

自己破産しても財産が残る

自己破産をしても、60歳以降に確定拠出年金を受取ることができます。日本では、経営者や個人事業主が事業で失敗してしまうと、担保の自分の財産(不動産など)も失ってしまう可能性があります。その場合であっても自分の確定拠出年金は保護されるのです。これは経営者や個人事業主などのセーフティーネットになります。

 

自営業者・公務員・専業主婦・会社員加入する個人型確定拠出年金(iDeCo)はどんなデメリットがあるのか?

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手数料がかかる

証券会社などで、証券口座を開設した場合は通常、初期費用や口座管理手数料はかかりません。しかし、iDeCoの場合は加入時の初期手数料(2,777円)と、毎月数百円程度の「口座管理手数料など」がかかります。口座管理手数料はiDeCoの残高に関わらず一定です。

 

特別法人税がかかる

確定拠出年金は本来、毎年の年金資産残高に対して特別法人税1.173%が課税されます。現在は、課税が凍結されていますが、凍結が解除されると毎年1.173%の費用がかかると覚えておきましょう。

 

60歳までは原則として解約不可能である

確定拠出年金の目的は老後の年金資産のため、60歳までは原則として解約不可能です。

 

転職・退職時に年金資産を移換できず損するリスクがある

2016年までは転職・退職時に確定拠出年金の資産を移換できずに手数料だけを取られていました。そのため、年金資産が減るという問題がありました。

2017年に制度が変更され以下の表のように、どのような年金制度にでも、ほぼ移換ができるようになりました。ただし、個人型確定拠出年金⇔中小企業退職金共済にのみ移換制限があります

 

移換前

移換後

確定給付企業年金

企業型確定拠出年金

個人型確定拠出年金

中小企業退職金共済

確定給付企業年金

企業型確定拠出年金

個人型確定拠出年金

-

×

中小企業退職金共済

×

 

支払額より給付額が少なくなるリスクがある

運用商品には、「元本確保型商品」「元本変動型商品」があります。元本確保型商品は定期預金や保険商品などですが、元本が確保されても世の中の物価がインフレになれば実質的に目減りします。元本変動型商品は投資信託などですが、運用がうまくいかなければ目減りします。このように支払額より給付額が少なくなるリスクがあります。

 

住宅ローン控除・ふるさと納税の限度額に影響がでる場合がある

iDeCoの掛金は全額所得控除になり、所得税・住民税が軽減されます。住宅ローン控除やふるさと納税なども、これらの税金の軽減効果があります。税金は払った金額以上に戻ってくることはありませんので、iDeCoによりこれらの節税効果が下がる可能性があります

 

受け取り時に税金が発生する場合がある

確定拠出年金は受取方法として、「一時金」「年金」があります。どちらの方法であっても、一定金額を超えた場合は税金が発生します。

 

将来の年金額が確定していない(元本割れの可能性もある)

資産運用は、売却して現金にするまで金額が確定しません。将来の年金額は運用している限り確定することはありません

 

企業型の確定拠出年金のに加入する社員のメリットについて

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掛金を企業が負担してくれる

企業型確定拠出年金は、会社が掛金を全額負担してくれます。よって、自分で掛金を拠出する必要はありません。

 

給与でもらわないため社会保険料の負担が発生しない

掛金を給与でもらうと月収が上がるため、社会保険料が上がります。企業型確定拠出年金の掛金は給与ではないため、社会保険料は上がりません

 

手数料を企業が負担してくれる事がおおい

確定拠出年金を利用すると口座管理手数料がかかります。個人型の場合は自己負担ですが、企業型の場合は企業が負担してくれる場合が多いです。

 

企業型は企業が手続きや案内をしてくれる

企業型確定拠出年金は、企業が主体的に導入する制度ですので、手続きも企業が案内してくれます。

 

税制の優遇がある

企業型確定拠出年金は、2つの税制の優遇があります。

 

  • 運用時:運用益は全て非課税のため、資産が増えやすくなっている

  • 受取時:各種控除が適用され、税制優遇が受けられる

 

勤続3年以降は受給権が確定する

企業型確定拠出年金は、勤続3年未満で退職すると掛金を企業に返還する必要がある場合があります。勤続3年以降は、受益権を得ることができます

 

投資信託の信託報酬が安いことがある

企業型確定拠出年金は、会社単位で導入するため、大人数で契約する場合などに金融機関から信託報酬(運用管理費用)などが低めに設定されることがあります

 

事業主の資産運用失敗や経営悪化による影響が小さい

企業型確定拠出年金は自分で運用しますので、事業主による運用失敗はありません。また、確定拠出年金の資産は外部に委託されているため企業の経営が悪化したことによる退職金の減額や廃止など起きません。ただし、掛金の減額の可能性があります

 

自分で運用の指図ができる

企業型確定拠出年金は、掛金は企業が拠出しますが、自分で運用の指図ができます

 

企業型は拠出限度額が個人型より多い

個人型の拠出限度額は最大で23,000円/月です。企業型は、55,000円/月 or 27,500円/月のため、拠出限度額は企業型の方が多いです。
 

企業型の確定拠出年金に加入する会社員のデメリットについて

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金融機関(運営管理機関)を自分で選ぶ事ができない

個人型であれば自分で金融機関を選択できますが、企業型は会社が決めた金融機関と商品の中で運用しなければいけません。

 

確定拠出年金の導入が人任せになる

企業型は確定拠出年金の導入が人任せです。自分が何もしなくても導入できますので、一見メリットに見えます。

ただし、転職・退職をする場合にの手続きなどが必要です。そのときになっても、これまで確定拠出年金の手続きをしたことがないため、手続きを忘れてしまう人も少なくありません。

 

将来いくらもらえるか確定していない

確定拠出年金の将来の受給額は、自分の運用結果で全てが決まるため確定しません

 

資産運用のリスクを負う

自分の運用の結果次第で資産が増減します。よって、資産運用のリスクはすべて自分が負う必要があります

 

60歳まで引き出せない

確定拠出年金の目的は老後の年金資産のため、60歳までは原則として解約不可能です。

 

積立金への特別法人税課税のリスクがある

確定拠出年金は本来、毎年の年金資産残高に対して特別法人税1.173%が課税されます。現在は、課税が凍結されていますが、凍結が解除されると毎年1.173%の費用がかかると覚えておきましょう。

 

転職時は自動移換されないように注意が必要である

転職・退職時に転職先の企業型や個人型の確定拠出年金に移換せずに、半年間手続きを何もしないと「自動移換」になります。自動移換のデメリットは、下記の通りですので注意しましょう。

 

自動移換のデメリット

  • 資産の運用ができない

  • 管理手数料がかかる

  • 自動移換中は、確定拠出年金の老齢給付金を受けるための加入期間に算入されない

 

企業型の確定拠出年金のマッチング拠出について

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マッチング拠出とは?

マッチング拠出とは、企業型確定拠出年金の加入者が自分で掛金を上乗せして支払うことができる制度です。通常、企業型確定拠出年金の掛金は会社が払います。そのときの掛金は、企業のルールに従って決まりますが、上限額一杯まで支払うことはまれです。この上限額までをうまく利用するために、2012年1月に法改正され、マッチング拠出ができるようになりました

 

マッチング拠出のルールについて

マッチング拠出の掛金の金額は、下記の2条件を満たす必要があります。

 

マッチング拠出の掛金上限条件

  • 加入者の掛金額は事業主の掛金額を上回らないこと

  • 加入者の掛金額と事業主の掛金額の合計額が月額55,000円 or 27,500円を上回らないこと

 

マッチング拠出のメリットは?

マッチング拠出のメリットは、自分が拠出した掛金は自己負担分は全額所得税の控除の対象になります。その結果、所得税と住民税が軽減されます。

 

マッチング拠出のデメリットは?

マッチング拠出も確定拠出年金制度ですので、中途解約でお金を引き出すことができないのがデメリットです。

 

労働組合の関わりについて

マッチング拠出は、企業の制度として認められなければ導入できません。マッチング拠出を導入する場合は労働組合と会社との話し合い(労使交渉)が必要です。

また導入した場合、マッチング拠出を行うかは、従業員は任意で決めることができます。

 

確定拠出年金の実態について

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確定拠出年金の実態は?

それでは、確定拠出年金は世の中の人は実際にはどのような運用をしているのでしょうか?

実態を確認していきましょう。

 

確定拠出年金の運用難民が増えている

「2014年度決算 確定拠出年金実態調査結果(概要)」によると、加入者の約6割は定期預金などの元本保証型商品を選択しています。

日本人がリスク回避傾向があるというのもありますが、企業型確定拠出年金を導入した時に本人が運用商品を選ばない場合は、会社の方で、定期預金型や保険などの「元本保証型」の商品を選ぶようにしているのも原因です。

現時点では、会社員などの方は金融知識が乏しいと言わざるを得ません。

 

出典:2014年度決算 確定拠出年金実態調査結果(概要)

 

確定拠出年金の元本保証型のワナとは?

元本保証型商品(定期預金、保険商品など)を選べば安心という話があります。本当にそうでしょうか?

元本保証型商品を選んでも実質的に元本割れになる場合があります

 

元本保証型商品が実質的に元本割れになる場合

  • インフレになった場合、毎月口座管理手数料が引かれる

  • 解約した場合に解約控除が引かれる場合がある

 

確定拠出年金は解約が不可能?

確定拠出年金は1度始めると60歳まで続けなければいけません。毎月の掛金を払わない方法もありますが、それでも毎月の口座管理手数料がかかります。長期的に資産が凍結され、目減りし続けるリスクがあるのが確定拠出年金のデメリットです。

 

確定拠出年金と賢く付き合っていくには?

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確定拠出年金の掛金はいくらにすればいい?

確定拠出年金を始める場合掛金をいくらに設定すればいいのでしょうか?

それぞれの場合によって異なりますので、いくつかの例を挙げます。

 

ケースによる掛金の決め方の具体例

具体例

掛金の決め方

掛金による節税を目指す場合

達成したい節税額から逆算する

確定拠出年金で可能な限り資産を構築する

掛金の限度額を拠出する

確定拠出年金の拠出額を最低限にする

5,000円/月にする

 

他の控除との兼ね合いについて

確定拠出年金の掛金は全額所得控除になります。その場合、住宅ローン控除・ふるさと納税・生命保険料控除などの控除と合わせて利用が可能です。

ただし、その年の年収で軽減される税金は上限が決まっていますので、上限を超えてしまうと思ったほど税金が返ってこないこともあります。よって、それぞれの控除をうまく組み合わせる必要があります

 

運用商品はどれを選べばいいのか?

運用商品には「国内株式」、「国内債券」、「外国株式」、「外国債券」、「不動産投信(REIT)」、「定期預金」などがあります。どれを選べばいいのかは個人のリスク許容度で決まりますが、手数料で判断する方法を紹介します。

 

投資信託は保有していると「信託報酬」という手数料が毎日かかります。信託報酬は「インデックスファンド」が安くなっています。それとは対照的に「アクティブファンド」は手数料が高くなっていますので、選ばないようにしましょう。

 

年金が目減りしない運用方法について

年金が目減りしない運用方法を紹介します。

 

  • 掛け金を最低限(5,000円/月)にする

  • できるだけ手数料の安い商品を選ぶ

  • iDeCoの場合は、できるだけ口座管理手数料が安い金融機関を選ぶ

 

また、60歳から資産の引出が可能ですので、資産をすぐに引き出して手数料がかからない銀行口座か、安定利回りが出る保険商品などを購入するのもおすすめです。

 

確定拠出年金の裏事情についても知っておこう

iDeCoの掛金額の範囲は5,000円~各労働上限の上限額(最大68,000円)です。世の中の人が掛金を平均いくらにしているのかを確認しましょう。

 

平成28年3月末時点の掛金平均額

  • 全体:17,702円

  • 自営業者など(第1号被保険者):24,970円

  • 会社員・公務員など(第2号被保険者):14,970円

出典:iDeCo公式サイト


掛金の上限まで拠出している人は、それほどいないことが分かります。

 

確定拠出年金に加入する時はデメリットも良く知った上で加入しよう!

加入前に要チェック!確定拠出年金(iDeco)のメリット・デメリットについて解説!

確定拠出年金のメリット・デメリット・注意点を中心に解説しました。

世の中では、確定拠出年金のメリットばかりが強調されています。特に確定拠出年金を扱っている金融機関にはその傾向があります。

今回はあまり触れられない「デメリット」もしっかり解説しました。確定拠出年金を始める場合は、デメリットもしっかり理解した上で始めるようにしましょう!

 

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