個人年金の中途解約について詳しく解説!
個人年金保険は、老後の生活のために積み立てをするのに最適な方法のひとつですが、長期間の積み立てをする必要がありますので、保険料の支払いを続けなければなりません。
しかし、保険料の支払いが厳しくなったなどの理由によって、個人年金保険を解約すると、積み立てたお金はどうなるのでしょうか。
そこでここでは、個人年金保険の解約について詳しく解説をしていきます。
5年以内の解約は損をする?個人年金を解約するとどうなる?
個人年金保険の保険料支払いが厳しい状況となった時には、解約を考える方もいることでしょう。では、解約をするとどうなるのでしょうか?
中途で解約すると解約返戻金を受け取る事ができる
個人年金保険は、積み立てタイプの保険ですので、中途解約をすると、それまで積み立てていたお金の一定割合を解約返戻金として受け取ることができます。
そして、個人年金保険は解約をすることになるため、契約は無くなります。そのため、当然ですが将来は年金受取ができなくなります。
解約返戻金は支払った保険料より多いのか?少ないのか?
中途解約をすると、解約返戻金を受け取ることができるのですが、それまでに支払った保険料が全額戻ってくるというわけではありません。
保険料払込期間満了の時期をもうすぐ迎えるという状況なのであれば、払い込んだ保険料総額よりも解約返戻金は多くなることもあります。しかし多くの場合、解約返戻金は支払った保険料より少なくなります。
つまり、元本割れを起こしてしまう可能性が高いのです。
解約返戻金がどのくらいの割合で戻ってくるのかは、解約時の返戻率によって異なります。
返戻率が100%を超えているのであれば、お金は増えて受け取ることができますが、100%に満たない場合には受け取るお金が少なくなります。
特に、加入から数年しか経っていないような短期間での解約の場合は、この返戻率はかなり低くなりますので注意しましょう。
どれくらいの期間で返戻率が高くなるのかというのは、加入した年齢や契約金額などによって異なりますので、加入している保険会社に確認をするようにしましょう。
解約返戻金には税金がかかる?
基本的に、解約返戻金は契約者が受け取ります。そのため、受け取った解約返戻金の返戻率が100%を超える場合には、所得税がかかる可能性があります。
この所得税については、年金の種類と解約までの年数によって、所得税のかかり方が異なります。
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確定年金を5年以内に解約した場合:20%の源泉分離課税
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上記以外の場合:一時所得として総合課税
確定年金を5年以内で解約した場合には、解約返戻金が支払った保険料よりも多くなった場合に、その利益に対して20%の源泉分離課税がかかります。しかし多くの場合、5年以内で利益が出ることはほとんどありません。ただし、一時払い年金などについては、これに該当することもあります。
また、一時所得については50万円の特別控除があるため、解約返戻金の利益が50万円以内であれば所得税がかかることはありません。(※解約返戻金以外に一時所得がない場合)
損しない為には解約はしない方がいい!
個人年金保険は、中途解約をすることで、多くの場合は受け取る解約返戻金は元本割れしてしまう可能性が高いものです。せっかく老後のための積み立てをするために、貯蓄性の高い個人年金に加入したのであれば、解約は損をする可能性が高いので、避けるのが賢明でしょう。
解約せずに個人年金の支払いをストップする方法
損をしないためにも解約は避けるのが良いのですが、それでも保険料の支払いが困難だったり、まとまったお金が必要だったりする場合には、解約はやむ得ないと考えるかもしれません。
しかし、解約をしなくても保険料の負担を減らすことや、お金を準備することは可能です。
では、どのような方法があるのかを確認していきましょう。
自動振替貸付で保険料の支払いを一時的に止める事ができる
保険では、保険料が支払われなかった時に、解約返戻金の範囲内で保険料を立て替える制度があります。これを自動振替貸付といいます。
一時的に保険料が支払えないというのであれば、自動振替貸付で乗り切ることが可能です。
ただし、自動振替貸付によって貸し付けた保険料については、あくまでも貸付ですので利息がかかります。また、貸付した金額が解約返戻金を上回ってしまう場合には、保険が失効したり解除になったりしますので注意しましょう。
払済保険で保険料の支払いをやめて保険一部を残す事ができる
保険料の支払いがこの先も厳しいというのであれば、払済保険にするという方法があります。
払済保険とは、その時点の解約返戻金を元に一時払いの年金に切り替えることによって、保険料の支払いをしなくても個人年金保険を続けることが可能な方法です。ただし、初めの契約よりも少ない年金額になりますので、注意しましょう。
しかし、払済保険にすることで保険を続けることができますし、返戻率も100%を超えることになります。
契約者貸付でお金を借りる事ができる
個人年金保険に解約返戻金がある場合には、解約返戻金の一定範囲内で保険会社からお金を借りることができる制度があります。これを契約者貸付といいます。
まとまったお金が必要だという場合には、契約者貸付制度を利用することで、解約をしなくてもお金を準備することが可能です。
ただし、解約返戻金の範囲内とはいえ、お金を借りるということになりますので、借りたお金には利息がかかりますので、早めに返済を行うようにしましょう。
解約しても損をしないのはいつになる?
どうしても解約しなければならない事情がある場合には、いつ解約すると損が少ないのかという点について知っておくと便利です。
中途解約の解約返戻金はどのくらいなのか?
中途解約の返戻金は、年数が少ないほど返戻率が低くなります。特に、2~3年程度での解約は、50%も戻ってくることはありません。
しかし、多くの場合、10年を過ぎると返戻率は90%を超えるようになります。
何歳で解約すると損が少ない?
解約は何歳でするのが良いのかという点については、契約時の年齢によって異なってくるでしょう。正確には、契約から何年経ったのかということが大切です。
先にもお伝えしたように、多くの場合は10年を過ぎると返戻率が90%を超えるようになりますので、10年は契約を続けた方が良いでしょう。
個人年金契約時には必ずこの資料を手に入れておこう
保険契約時には、保険の見積書(提案書)を必ず手に入れておきましょう。見積書には、いつ頃の解約でどれくらいの解約返戻金が戻ってくるのか、返戻率はどのくらいなのかということが記載されていることがほとんどです。
自分の契約は、いつ解約するのが良いのかという判断材料となりますので、契約時に受け取った資料は大切に保管をしておくのが良いでしょう。
個人年金の解約返戻金に関わる注意点について
では、解約返戻金に関わる注意点を確認していきましょう。
解約する前に解約返戻金の金額を必ず確認しよう
解約を申し出したときには、解約返戻金の金額を必ず確認しておきましょう。何も確認せず解約をしてしまって、思ったよりも金額が少なかったということになると、何のために解約をしたのかわからなくなってしまう可能性があります。
解約をするといくらになるのか、しっかりと確認してから解約の手続きを行いましょう。その時に、疑問がある場合には、直接聞いて納得した上で手続きに進みましょう。
解約返戻金の振り込みは1週間程かかる
解約の手続きをすると、事務手続きなどを経て3営業日~1週間程度で指定の銀行口座に振り込まれることになります。
書類に不備などがあった場合には、さらに時間がかかることもありますので注意して下さい。
どうしても解約する場合の注意点について
解約をするということは、契約を解除することになりますので、手続きが完了した時点で契約は消滅します。それでも解約をするという時には、どのようなことに注意すると良いでしょうか。
解約の手続きに必要な物は?
解約の手続きに必要なものは、保険会社によって異なります。最近では、保険証券などが不要という保険会社もありますので、解約の申し出をしたときにしっかりと確認をしましょう。
担当者に解約の意思を強く伝えよう
保険会社にとっては、解約はできるだけ避けたいものです。保険担当者も解約することのデメリットについて確認をされるでしょう。
それを確認した上で、解約の意思があるのであれば、きちんと解約をするということを担当者に伝えることが大切です。
解約に必要な書類を揃えよう
解約をするには、必要な書類があります。これも保険会社によって異なりますので、解約申し出をしたときに、きちんと確認をして、手続きの際に不備のないよう準備をしておきましょう。
期間が過ぎても振り込まれない場合は早めに確認が必要
手続き後、解約返戻金が振り込まれるまでには、早ければ3営業日、ほとんどの場合には1週間程度の時間がかかります。
その期間を待っても振り込みがされないといった場合には、早めに確認を行いましょう。もしかすると、書類の不備などがあるかもしれません。その場合には、振込までに時間がかかる可能性もあります。
個人年金保険は元本割れするケースがある?
個人年金保険は元本割れする?
個人年金保険は、保険料の支払い満了まで続ければ、元本割れをすることはありません。貯金を積み立てるよりも、返戻率は高いものです。
普通に加入して年金を受け取るということであれば、元本割れしませんので安心して下さい。
個人年金保険が元本割れするケースは?
では、元本割れしてしまうケースとはどのような場合なのでしょうか。
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個人年金保険に医療特約などの特約を付けている場合
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変額年金の場合
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保険会社が破たんした場合
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契約途中で解約をした場合
特約を付けている場合には、その特約部分にも保険料がかかりますので、純粋な年金部分は元本割れしていなくても、特約を含めてしまうと元本割れする可能性はあります。
また、変額保険は運用実績によって受け取れる年金額が変わりますので、元本割れの可能性は否めません。
保険会社が破たんした場合には、引受会社に契約が引き継がれますが、その時に受取金額が減ってしまうことがあります。保険会社が破たんした場合には、元本割れする可能性があることを理解しておきましょう。
中途解約については、先に説明した通りです。契約年数が少ないほど、大きく元本割れする可能性があります。
元本割れしなくても損する事がある?
元本割れをしなかったとしても、この先インフレなどがあった場合には、お金の価値が下がってしまうことになりますので、結果的に損をしたということはあり得ることです。
個人年金だけで老後資金は準備しないほうがいい?
インフレなどの可能性を考えた場合、老後の資金は個人年金だけでは、損をしてしまう可能性がありますね。
そのため、ひとつのところだけに集中して老後資金の準備をするのではなく、個人年金は一つの方法として加入し、他の方法でも合わせて資産運用をしていくことが望ましいでしょう。
できるだけ個人年金保険は解約せずにつづけた方がいい!
個人年金保険は、老後の生活資金のために積み立てる大切なお金です。
解約は、ほとんどの場合元本割れを起こしてしまいますので、できるだけ解約は避けるようにしましょう。
解約をしないでも個人年金保険を続ける方法も参考にしてみて下さいね。
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