• 幸せな貯金は7:2:1 『バビロンの大富豪 ― 繁栄と富と幸福はいかにして築かれるのか』ジョージ・S・クレイソン

2015/06/05

お金の雑学

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幸せな貯金は7:2:1 『バビロンの大富豪 ― 繁栄と富と幸福はいかにして築かれるのか』ジョージ・S・クレイソン

古代都市の人々から学ぶ富の築き方!

本書は、紀元前3000年の古代都市「バビロン」の寓話から

世界で最も裕福だったとされるバビロン市民の文明、文化を学び

富とそれにまつわることを理解するための手引きとして書かれた、

「空の財布の治療薬」のような本である。


物語形式で進んでいく本書は、主人公とともに「バビロンの知恵」を学んで行くことにより、

「繁栄と富と幸福」の成り立ち、お金の運用法、など現代にも活きる

金銭にまつわる知恵、大原則を学ぶことができる。


本書を読むことということは

・金銭にまつわる知恵

・古代都市バビロンについての知識

を学ぶことであり、

二度美味しい一冊なのではないだろうか。


マネー本の老舗・大御所でありながら非常に読みやすい本書

マネー本初心者に強くオススメしたい一冊である。

0.著者がこの本で伝えたい3行メッセージ(想い・願い)

金はうまく使えばいくらでも増やせるが、その選択は慎重でなければならない。そうして得たチャンスには「幸運の女神」が微笑む

収入のうち、1/10は自分のものとしてとっておき、年老いてから必要な金と、家族を守るために必要な蓄えとをあらかじめ用意しておく。

働くことの代わりになるものなど何もない。懸命に働くことで、友人・財産・栄誉・成功を手に入れられる。

1.導入文:タイトルや著者紹介を見て云々

「バビロンの大富豪」

小学校の図書館にあった「財宝をめぐる大冒険のファンタジー本」を連想させる

実に少年の心をくすぐられるタイトルだ。



バビロンといえば紀元前3000年頃、メソポタミア域に存在したとされている古代都市だ。

そんなロマン溢れる古代都市の文明、文化から、

財産を築く方法を学べるとは、ワクワクのとまらない話である。


著者であるジョージ・S・クレイソンはこのバビロンの寓話をパンフレット形式で発行。

たちまち話題となり本書の出版に至ったという。


当時の米国ではもちろんのこと、

現在でも各国で多くの層から愛読されているという本書。


古代都市バビロンがいかにして繁栄していったのか。

また紀元前から現代まで生きる「繁栄と富と幸福」の築かれかたとその仕組み。


それらを知ってみたいと思い、本書の表紙をめくった。

2-1.要約①:まえがき、はじめに

  • 古代都市バビロンの市民は世界で最も裕福な人々だった
  • 「財布の中身がいつも空」という病は我慢するより治すほうがやさしい。
  • 「成功」とは、私たち自身の努力と能力の表われとして達成できたものを指している。
  •  この本は、富とそれにまつわることを理解するための手引きとして書かれた、「空の財布の治療薬」のようなもの。

2-2.要約②:本文

プロローグ こんなに働いているのに、どうしてお金が貯まらないのだろう

  • バビロンという豊かな都市に住んでいながら、貧乏生活から抜け出せない戦車職人バンシア。
  • しかしその頃、彼の友人アルカドは、バビロン一といわれるほどの巨万の富を築いていた。
  • バンシアはアルカドの知恵を授かりに、彼のもとを訪ねることを決心する。


第一話 財産を築くには不滅の「原則」があった

  • アルカドが大富豪になり得たのは、知恵者である金貸しのアルガミシュから、ある「原則」を学んだためであった。
  • その「原則」⇛「稼いだものは、すべてその十分の一を自分のものとして取っておく」


第二話 富をもたらす黄金の「七つの知恵」とは

第一の知恵 財布を太らせることから始めよう

  • 財布に十枚のコインを入れたなら、使うのは九枚まででやめておく。

第二の知恵 自分の欲求と必要経費とを混同するべからず

  • 一番大事な欲求が叶えられるように支出のための予算を組むこと。

第三の知恵 貯めた資金は寝かさずに増やすべし

  • 貯めた金は最後の一銭にいたるまで働かせること。

第四の知恵 損失という災難から貴重な財産を死守すべき

  • 元金を確保すること。

第五の知恵 自分の住まいを持つことは、有益な投資と心得よ

第六の知恵 将来の保障を確実にすべく、今から資金準備に取りかかるべし

  • 年老いてから必要な金と、家族を守るために必要な蓄えとをあらかじめ用意しておくこと。

第七の知恵 明確な目的に向かって、自己の能力と技量を高め、よく学び、自尊心を持って行動すべし

  • 自らの能力を開発すること。
  • 仕事の技量を高めること。
  • 勉強して考えを深くすること。
  • 自尊心を持って次の五項目のような行動を取ること。


自尊心のある人間の守るべき五項目

  1. 借金は能力の及ぶ限り、なるべく早く返すこと。
  2. 支払い能力を超える買い物はしないこと。
  3. 家族の面倒を見て、家族から慕われ、尊敬されるよう努めること。
  4. 遺言書をきちんと作っておくこと。神に召されたとき、その遺産配分は、適切で、しかも告人の名誉を重んじる形でなされるようにしておくこと。
  5. 親しい人には思いやりのある態度で接すること。運命の巡りが悪く、傷ついたり打ちのめされたりした人へ同情を寄せ、無理のない範囲で援助すること。


第三話 「幸運の女神」が微笑む人間とは

  • 「幸運の女神」は行動するものにしか微笑まない。

⇛誰にでもチャンスは訪れる。行動をすれば誰にでも女神はついてくる。

幸運はチャンスを掴むことによって誘い込むことができる。

⇛幸運というものはチャンスのあとに来ることが多い。


第四話 金貨の袋か、「知恵の言葉」が刻まれた粘土板か

五つの黄金原則

  1. 将来の資産と家族の財産を築くため、最低でも収入の十分の一を貯めるならば、黄金は自ら進んで、しかもだんだんとその量を増やしながらやってくるだろう。
  2. 貯まった黄金がさらなる利益を生むような働き口を見つけてやり、家畜の群れのごとく増やせる賢明な主人となるならば、黄金は勤勉に働いてくれるだろう。
  3. 黄金の扱いに長けた人々の忠告のもとに黄金を投資するような慎重な主人であれば、黄金はその保護のもとから逃げようとはしないだろう。
  4. 自分のよく知らない商売や目的、あるいは黄金を守ることに長けた人々が認めないような商売や目的に使われる黄金は、その人間から逃げてゆくことだろう。
  5. あり得ないような莫大な利益を生ませようとしたり、詐欺師の魅惑的な誘いに従ったり、あるいは自らの未熟で非現実的な欲望に頼ったりするような人間からは、黄金は逃げてゆくことだろう。


第五話 自ら稼いだ資金の運用は、こうして決める

  • 金はさらに金を生み出すようにし、大きく増やさなければならない。
  • うまく運用すれば、金は人間が老人になるよりも早く、倍にもなり得る。
  • ただし、危険を冒すということは、その金が稼ぐはずのものばかりでなく、 元金もすべて失う危険を冒すということでもある。
  • より慎重な選択こそが、大きな後悔から身を救う。


第六話 「強固な城壁」は、人々を恐怖や不安から守ってくれる

  • 安心なくしては我々は生きられない。
  • バビロンが何世紀も持ちこたえたのは、城壁が「完全に守られていた」からである。
  • バビロンの城壁は、自らを守ろうとする人間の必要性と欲求の表われとして、際立ったものである。
  • この欲求は人類が先天的に備えているもので、今日においても優りこそすれ、衰えてはいない。


第七話 奴隷に成り下がっても、「人間としての誇り」を忘れなかった男

  • 自分の魂は奴隷のものか、それとも自由人のものか。

⇛自分を信頼している人がいて、自分の考えで働いている以上、人の魂は奴隷ではなく自由人のものである

  • 決意あるところ、道は聞ける。



第八話 「バビロンの知恵」は現代にも適用するか

第一の粘土板

  • 収入の10分の7を使って、住む家、着る服、食糧、それ以外のわずかの出費をまかなうことにする。

生活に楽しみと喜びに欠けるところがないようにするため

第二の粘土板

  • 収入の10分の2は、自分を信用してくれ自分に金を貸してくれた人々の間に、正直に公平に分割し支払うことにする。

第三の粘土板

  • 妻を実家に帰したまま、故郷の街を捨てて異国で簡単に財産を手に入れようとした結果、我が身が奴隷として売られるまでにおちぶれた。

借金から逃げるよりは、返すほうが楽。

第四の粘土板

たとえ収入が少なくても、

収入の10の7は生活、10の2は借金返済、10の1は自分のもの

を守る。

第五の粘土板

  • この方法を守れば、独立と自尊心を勝ち取ることができる。
  • この方法を続けば、いつか必ず資産家の仲間入りを果たすことができる。

第九話 幸福―それは「労働の喜び」を知ること

  • 楽しみが色々ある人生でも、働くことの代わりになるものなど何もない。
  • 働くことは、奴隷であることではない。
  • 懸命に働くことで、友人・財産・栄誉・成功を手に入れられる。

2-3.要約③:まとめ、おわりに

  • バビロンの繁栄には、その地を治めた歴代の王たちの存在があった。
  • 王たちが歴史に名を残しているのは、その知恵と事業と公正さによって統治した所以。

全世界を征服し、掌握しようとする野心家の王はいなかった。

  • 古代都市バビロンは滅びたが、「バビロンの知恵」は今も私達の暮らしの中に脈々と生きている。

3.著者紹介


ジョージ・S・クレイソン(George Samuel Clason)

1874年、米国ミズーリ州生まれ。大学卒業後、1898年の米西戦争に陸軍兵として参加。

兵役後、出版社を設立し、米国とカナダの道路マップを初めて刊行する。

1926年より、バビロンを舞台にした一連の寓話シリーズをパンフレットの形で発行。

銀行や保険会社、一般企業の経営者たちを中心に評判が広がり、

やがてそうした人たちによって何百万もの人々に紹介され、膨大な読者を生むことになった。

1957年、カリフォルニアにて没。

『バビロンの大富豪』は、現在でも蓄財哲学・自己啓発の名著として多くの人に支持され、

職業・地位を問わず、あらゆる層の人たちに愛読され続けている。


大島豊(おおしま・ゆたか)

翻訳家。東京都生まれ。著書に『アイリッシュミュージックの森』(青弓社)がある。

訳書に『火星シリーズ』(ロビンスン著)、『驚異の発明家の形見函』『形見函と王妃の時計』

(カーズワイル著、東京創元社)など多数。

4-1.Amazon説明文

不滅の名著!

人生の指針と勇気を与えてくれる「黄金の知恵」と感動のストーリー!

読了後のあなたは、すでに資産家への第一歩を踏み出し、

幸福を共有するための知恵を確実に身につけていることだろう。


現代における「富の支配法則」とは、バビロンの市街に裕福な人がひしめいていた

数千年前の法則と、少しも変わるものではない。(本書より)


本書は、現代ビジネスの極意を分かりやすく説き明かした名著であり、

あらゆる人に とって重要な一冊である。

バーシー・H・ホワイティング (「デール・カーネギー研究所」副所長)


本書に記されている「バビロンの知恵」は、現代においても、そして誰にとっても役立つものだ。

人生で成功をなしとげようという志を持つ、すべての人におすすめする。

ヴァン・アレン・ブラッドリー (「シカゴ・デイリー・ニューズ」)


バビロンの大富豪は、

ジム・ローン、ロバート・アレン等多数著『史上最高のセミナー』(きこ書房刊)、

ジェームス・スキナー著『お金の科学~大金持ちになる唯一の方法~』(フォレスト出版刊)

ピーター・セージ著『自分を超える法』(ダイヤモンド社刊)、

ロバート・キヨサキ著『金持ち父さん貧乏父さん』(筑摩書房刊)

の中でも、成功者たちによって紹介されています。

4-2.Amazonレビュー

評価が高い有用性のあるレビュー

★★★★★ 紀元前の老人の言葉が今でも生きる。

バビロンを舞台にした財産・幸福に関する昔話集。

 こんなに古い時代の逸話が今でも十分に通じるということに驚きます。

 我々は老人の知恵を「古い」といって退けますが、本文中の例え「老人の知恵は動かぬ星のようなもの」の言葉通り、老人の知恵は不滅のものであるということを思い知らされます。本書に出てくる紀元前の老人の知恵がまだ十分に通用するのです。

 本書には奴隷がよく登場します。バビロンの時代は「自分」を担保に借金ができ、返済できないと奴隷にされたそうです。「現代は奴隷制度がないから。」というのは簡単ですが、よく考えると今でも「自分」を担保にある程度の借金が可能で、返済できないと奴隷のように働くことがありえます。この本で「奴隷」を資本家に対する「労働者・サラリーマン」と考えると現代と重なる部分が多いと思うのです。

 今は「給料天引き」のような制度もありますから、早く「自由人」になれそうなのですが、お金を使う誘惑も多く「奴隷」のままでいる人が多いのではないでしょうか?


★★★★★ 何百もの破産者・破産企業を見てきた立場から

仕事柄これまで何百もの破産者・破産企業とお付き合いして参りましたが、彼らを見る限り

この本に書かれていることは完全に真実です


破産する人はとにかく無駄遣いが多いのです。タバコ・酒・パチンコなどのギャンブル・不要な保険

高い家賃・高額なブランド品・自動車・教育費・水道光熱費・携帯電話代・飲み代・異性へ貢ぐなどなど

貯金をすることをそもそもあきらめ、何かと理由を付けて色々なことにお金を使い、足りなくなったら

借金をする、そして首が回らなくなったら破産、というような流れです


また、勤労意欲がありません。親に勤労意欲がないので子どもも勤労意欲がありません。

年金や生活保護にすぐ頼ります。お金がないのが働いて稼ぐこともないので、借金で子どもを学校に行かせます。

しかし、そもそも一家に勤労意欲がないので、借金までして大学を出しても子どもは働いてそれを返すという

ことをしません。結果さらに借金が増えて首が回らなくなります。


さらに、よくうまい儲け話に騙され、貸してはならない人にお金を貸し、保証人に平気でなります。

定期的な高収入を約束する(そしてすぐに破綻する)投資、手数料をぼろ儲けされるだけの投資、マルチ商法、

ネズミ講まがい、宝くじ。担保も保証人も取らず、連絡先すら確認せず、「必ず返す・迷惑は掛けない」という

言葉だけを信じてお金を貸す、保証人になる。そしてさらに借金が増え貧乏になる。


お金がある人はそんなことはありません。常に節約できる部分を探し、最大限借金も使いません。

子どもが学校に行きたいなら学費は自分で稼がせます。保証人には絶対ならずお金も不用意に貸したりしません。

向こうから寄ってきた儲け話にも乗りません。そしてとにかく働いてお金を生み出すことに集中します。

まずはそれが大事なのです。この本を読めばそれが簡単に分かります。


この本に書かれていることで次に大事なのが、

何かを買うということは、それに支払ったお金を稼ぐのに必要だった時間、買ったものの奴隷となって働いていたことと同じだ、ということです。

思えば自分も色々なものの奴隷として働いてきました。

高級オーディオビジュアル、ハイエンドパソコン、高級車、高級腕時計、一眼レフ、DVD・CDコレクション、

スポーツ用品などなど。本当に馬鹿なことだったと思います。


この本にはさらに、お金を自分の奴隷として働かせて、お金がお金を稼いでくるようにしろ、と書いてあります。

が、現代社会ではウマイ儲け話は大企業とお金持ちが独占しているので、正直庶民は最大限頑張っても年利数%で

我慢するしかないのがつらいところです。

お金を生み出す投資、確実な投資は、金融機関が全て持って行ってしまうのです。


もちろん努力すればもっと高利で確実な投資もできるでしょうが、本業を犠牲にする価値があるかどうかは微妙です。

日本は商品市場が未発達で株は30年持っていても上がりません。どの企業も株価向上に無関心だからです。

当たり前ですね。どんなに株価が酷くても上場企業には金余りの銀行が湯水のようにお金を貸すのですから。

かといって海外資産はただでさえリスクがあるのに、さらに為替リスクまで背負い込むことになります。


日本は投資砂漠です。挙げ句の果てにわけの分からないバカみたいな利益を約束するマルチまがいが幅をきかせ、

貴重なお金がブラックホールに吸い込まれるごとく消えていき、正常な投資市場はさらにしぼむのです。

そして政府は相も変わらずお金の教育をすることには及び腰なのです。


日本でもまっとうな投資が発達することを望みます。

5.この本の目次

はじめに 古代都市バビロンの市民は世界で最も裕福な人々だった

プロローグ こんなに働いているのに、どうしてお金が貯まらないのだろう

第一話 財産を築くには不滅の「原則」があった

第二話 富をもたらす黄金の「七つの知恵」とは

第三話 「幸運の女神」が微笑む人間とは

第四話 金貨の袋か、「知恵の言葉」が刻まれた粘土板か

第五話 自ら稼いだ資金の運用は、こうして決める

第六話 「強固な城壁」は、人々を恐怖や不安から守ってくれる

第七話 奴隷に成り下がっても、「人間としての誇り」を忘れなかった男

第八話 「バビロンの知恵」は現代にも適用するか

第九話 幸福―それは「労働の喜び」を知ること

おわりに 富が支えていたバビロンの繁栄(物語の舞台とその背景)

6.本の紹介

バビロンの大富豪 「繁栄と富と幸福」はいかにして築かれるのか

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