2017/01/06

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世界一の投資教育「ハーバード・ビジネス・スクールの投資の授業」の要約 中澤知寛

ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)ではどんな授業をやっているの?

ハーバード・ビジネス・スクールの投資の授業

 

「世界一の投資家ウォーレン・バフェットのような目利き力があると、
投資額は20年で何倍になると思いますか?」

「バフェットのような目利き力があると、投資額が20年で11倍(年率で約12.8%)になる」(P46)

本書は世界最高峰のMBAとされるハーバード・ビジネス・スクール(以下HBSとする)で用いられたケース・スタディを中心に投資について語っています。

株価にのみ注目するべきではない、目利き力を発揮すれば本当の価値を見抜くことができる」と著者は言っています。

バフェット氏も「10年間売らずに持つ気がない銘柄は、10分でも持つべきではない」と言っていますね。

「私たちは何に注目すればいいだろうか」をHBSのスター教授3人の授業や研究を通して学ぶことができるお得な一冊です。

0.著者がこの本で伝えたい3行メッセージ

・「誰が」「何を」「どのように」投資するかしっかり分析すること

・「目利き力」を身に着けるかすでに持っている人に委託すること

・「スピード感」を重視しすぎて誤った判断をしないこと

1.動機

HBSは「世界のスター投資家の育成機関」として知られています。

私は「彼らは一体、どのようなことをして凡人をスター投資家に変えられるのだろう」と疑問に思っていました。

実際、私がHBSに留学するのは無理ですし、もし行けたとしてもHBSの授業についていけるとは到底思えません(笑)。

なので、HBSの授業やスター教授たちの研究をわかりやすく説明する本書を選んだわけです。

2. 本文要約

21 要約: 前書き、はじめに

 ・世界最高峰のMBAとされるハーバード・ビジネス・スクール(HBS)の研究や実例を通して世界を変える一つの方法「投資」に着目し、その魅力を伝えたい。

22 要約: 本文

第1章 スター投資家たちの秘密――「目利き力」とは

1.投資の祭典

  ・ バフェットをスーパースターにしている要素

「自身が気取っていない」

 →大富豪でありながら、話し方・食べ物・家など普通の人が親しみを感じるような生活を送っている。
  *Down to earth:社会的地位がある人でも親しみのある人

  「普通の人を裕福にした」
  → バークシャー株に長期間投資していた人は大きな利益を上げている。

          20年で11倍(年率で約12.8%

  ・投資とは、将来に受け取る価値を増やすこと

自分への投資(勉強して将来の給与を増やす)他者への投資(有望な会社の株式に投資する)どちらもバランスよく行うのが理想的

  ・目利き力とは
  ・投資は目利き力が全て
   →「パイの成長率の高いものを当てられる能力」=「超過収益」を得る人
   ex)S&P500に投資するよりバフェットに投資した方が儲かった。
  ・HBSが目利き力にこだわる理由
   →解明できると大きな利益が得られるため
  ・目利き力の対価
  ・世の中にただ飯は存在しない→「目利き力には価値がある。価値があるものには値段が付く」
  ・ビジネスの基本は付加価値を創出し享受すること
  ・持続的に超過収益を題しているプロの投資家は極めて少数だが、目利き力を求める投資家は後を絶たない

第2章 「スター投資家養成所」としてのHBS

1.スター投資家を輩出し続けるHBS

  ・HBS経営者を育てる場所ではなく、「世界を変えるリーダーを育成する場所

 ・在学生・卒業生のネットワークが充実

2.HBSの学生はなぜファイナンス業界を志望するのか

 ・ファイナンス業界志望者は2008年金融危機以降、セルサイド(売り手側)は減少したもののバイサイド(買い手側)は減少していない。

 その理由は??

 学生の経験(コンサルタント・投資銀行での職務経験)とMBAで学ぶスキルを考慮するとバイサイドが魅力的に映る

3.HBSの投資の授業とスター教授陣

 ・投資というよりもコーポレートファイナンスが中心

 →CEOとして自社がどの程度借入れを実行すべきか自社の企業価値はそもそもいくらなのか

 ・ケース・スタディポイントを探っていく

「投資」は「答え」がないためファクツとデータを基に議論を通じて判断力を磨く

4.投資家にMBAは必要か

  ・最先端の投資ノウハウを学べる

  ・経営者の目線を体感しながら、リーダシップを育むことが出来る(重要なぜなら、投資家になるということはその企業のオーナーになることを意味するから)

第3章 HBSが教える投資術

1.HBSが教える目利きの基本

  ・有名な企業より、聞いたことのない企業に注目する(小型株効果

    →これまでの研究によると大型株より小型株の方が長期的にはパフォーマンスが良いという結果が出ている←情報の非対称性・リスクの違い

  ・今話題の企業より、旬が過ぎた企業に注目する

     →成功が成功を呼ぶ「成功の複利パワー

     →PBRが低いということは投資家にとって必ずしも損というわけではない

      「旬」ではないが緩やかな成長が見込まれる

・グロス株よりバリュー株の方がパフォーマンスが良い(バリュー株効果

     ・株価の勢いがない企業より、動きがある企業に注目する

      モメンタム効果(値上がりした銘柄がさらに上昇したり、値下がりした銘柄がさらに下落するなど、相場が一方向に進みやすい傾向にあること)モメンタム株

 2.「何に」投資するか

 ・情報は足で稼ぐ

 インサイダー情報→「決算の事前情報」・「新商品の事前情報」・「M&Aの事前情報」・「許認可の事前情報」・「不祥事の事前情報」・「経営陣交代に関する事前情報」      

 ・投資先は地元で探す

  ホームバイアス(ポートフォリオの中で、自国の金融商品に過剰に投資してしまう傾向のこと)

2.情報は解読法で差をつける

  ・インサイダーによる取引が示唆するもの⇒「情報の収集法」、「解読法」
  ・決算が悪かった企業にはしばらく手を出さない⇒PEAD効果」

  ポスト・アーニング・アナウンスメント・ドリフト(PEAD)効果

企業の決算発表がネガティブ・サプライズであった場合、株価の下落は発表直後だけでなく、その後も一定期間にわたって継続する
  ・企業同士の関係に注目する⇒企業研究結果を取引に反映させる
  ・企業の公開電話会議に隠されたメッセージ⇒キャスティング企業を事前に判別する
  ・裏側をしっかり分析する

3.どのように投資するか

  ・投資家の最大の敵は自分自身⇒直感を重視しすぎてスピード感を出したら誤った判断をしてしまう可能性がある

  ・投資家が陥る典型的なワナ

  —利益と損失は不平等

  —判断すること自体を判断しない

  —思い出しやすい事象を過大評価

  —アンカリング(認知バイアスの一種であり、先行する何らかの数値(アンカー)によって後の数値の判断が歪められ、判断された数値がアンカーに近づく傾向のこと)

  —ハインドサイトバイアス(物事が起きてからそれが予測可能だったと考える傾向)

  ・クオンツ投資家とファンダメンタル投資家の比較

  ・投資の宝探し⇒一物二価(同じ価値でも違う価格がつく)を探す

  ・投資戦略を構築する

市場の間違いを特定する」・「カタリストを特定する」・「取引方法を特定する

4 「誰が」投資するか

  ・雇われ投資家のインセンティブを理解する

  ⇒「キャリア・リスク」を背負う投資家の方が相対的にリスクが低い

  ・取引動機(取引を行う理由)の重要性—ノン・エコノミック・セラー(取引動機を経済合理性以外に見出す売り手)を特定する

  ケース:「雇われ投資家の制約に抵触する事象」・「市場の流動性が枯渇するとき」・「規制の変更」

  ・アクティビスト投資家は経営改善を本当に望んでいるのか(アナウンスメント効果)

  ・企業側のインセンティブを理解する

⇒上場時の子会社株に投資した投資家でなく、親会社の経営陣にむしろ目利き力」がある

  ・国会の動向が株価を左右する?

  ⇒投資家として注目に値するのは、法案成立前ではなく、成立後の法案を吟味し、投資戦略を実行するべき

  ・投資家の目利き力を極める目利き力

(目利き力へのアクセス・リクルーティングの寄与・創業者利益の享受・良質な資金性質・投資哲学を共有する委託者・ファンドレイジング(資金集め)におけるクレディビリティ(信頼性))

  ・目利き力もニッチによって価値が違う

相関(分散投資時2つの数値の反応の仕方)の重要性リスク分散

 

第4章 HBSが教える投資術を実践する

1 総合編

  レバレッジに用心(大きな利益を狙えるが、一歩間違えると大損に繋がる)

  ・ハーバード大学基金の運用手法を取り入れる(ハイブリット型投資

  →直接投資と間接投資の両方を行う

2 資産を他人に預ける場合

  —付加価値を創造しているか

  —投資家が支払う手数料は、合計でいくらになるか

  —今後も付加価値を創造することが期待できるか

3 自分で直接運用する場合

  ・情報は取り方で差をつける⇒地の利とソーシャルネットワークを活かす

  ・情報の解読法で差をつける⇒スター投資家とともに投資する

  ・自分を制する⇒投資家がとしての心を整える

  —認知バイアスある対象を評価する際に、自分の利害や希望に沿った方向に考えが歪められたり、対象の目立ちやすい特徴に引きずられて、ほかの特徴についての評価が歪められる現象を認識する

  —投資を放置する勇気

  —投資家としての企業の目利き力を極める

  ・ストックピッチ(自身のベスト・アイデアを投資権限者の前でプレゼンすること)の重要性

2-3 あとがき

・本書を通して投資の魅力を感じ取り、投資力の向上に貢献したい

2-4 参考文献

参考文献の数が多いため数点だけ掲載します。

・HBSのミッション
 HBSのウェブサイト:http://www.hbs.edu/about/Pages/mission.aspx
・小型株効果、バリュー株効果、モメンタム効果についての研究
 Fama,Eugene F.,and Kenneth R. French ”Common risk factors in the returns on stocks and bonds.”Jounal of Financial Economics 33,(1993)3-56
 Carhart, Mark M.”ON Persistence in Mutual Fund Performance.”Jounal of Finance 52,(Mar 1997), 57-82
・インサイダーによる取引に関する研究
 Cohen, Lauren, Christoper Malloy, and Lukasz Pomorski/ “Decoding Insiside Information”
・クオンツ対ファンダメンタル投資家について
 Lowenstein, Roger. When Genius Failed: The Rise and Fall of Long-Term Capital Management.Random House. 2001.
・アクティビスト投資家に関する研究
 Brav,Alon., Wei Jiang, Frank Patnoy, and Randall Thomas. “Hedge Fund Activism,Corporate Governance and Firm Performance”. The Jounal of Finance Vol LXIII,NO.4.August 2008.
  Greenwood, Robin, and Michael Schor. “Investor Activism and Takeovers.” Jounal of Finance Economics 92, no.3(June 2009): 362-375

3 著者紹介

中澤知寛

デルフォイ・キャピタル・マネジメント投資プロジェッショナル。ニューヨーク在住。1979年生まれ。小学校から高校まで米国ケンタッキー州で過ごす。2003年、東京大学法学部卒。2013、ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)を成績優秀者(Distinction)として卒業。大学卒業後、東京海上火災保険株式会社(現・東京海上日動火災保険株式会社)入社。以来、一貫して資産運用業務に従事。国内外のストラクチャード・クレジット投資、米国支店駐在員を経て、HBSに留学。HBSでは、竹内弘高教授の指導の下、実際の授業の題材となったケース・スタディを共同執筆。また、エズラ・ヴォーゲル・ハーバード大名誉教授が主宰するハーバード松下村塾の共同代表幹事も務めた。現在はニューヨークにて著名投資家の下、クレジット、オルタナティブから株式まで、幅広いアセット・クラスのポートフォリオ・マネジメントに従事。

4 Amazon説明文

ビジネスブックマラソンでも絶賛。

あまりの充実ぶりに思わず「買い」推奨!

「ひさびさに、読み応えのある

ハーバード本が登場しました。」

(ビジネスブックマラソン Vol.4390)

※添付(関連メディア)のビデオをご参照ください。

あのウォーレン・バフェットをはじめ

著名投資家たちの

「目利き力」の秘密を解き明かす、

HBSスター教授陣の「研究成果」を

初めて公開。

ハーバード流「最強の投資家」のつくり方。

多くの経営者を輩出する名門

ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)。

そこではビジネスだけでなく、

「投資」についても厳密な研究がなされ、

成果が蓄積されているという。

HBS留学時、3人のスター教授から授業、

ケース・スタディ、論文、課外活動などを通じて

直接それに触れた著者が、

そこで吸収した

「世界トップレベルの投資術」を紹介。

さらに、個人投資家が

それをどう活用するかも解説。

5 この本の目次

はじめに

第1章

スター投資家たちの秘密――「目利き力」とは

1 投資家の祭典

2 投資とは

3 目利き力とは

4 目利き力の対価

第2章

「スター投資家養成所」としてのHBS

1 スター投資家を輩出し続けるHBS

2 なぜ投資家というキャリアはHBSで最も人気があるのか

3 HBSの投資の授業とスター教授陣

4 HBSのスター教授陣とスター投資家たちの補完関係 .

5 投資家にMBAは必要か

第3章

HBSが教える投資術

1 HBSが教える目利き力の基本

2 HBSの最先端の研究から学ぶ(1)

3 HBSの最先端の研究から学ぶ(2)

4 HBSの最先端の研究から学ぶ(3)

5 HBSが実践する投資手法から学ぶ

第4章

HBSが教える投資術を実践する

1 総合編

2 資産を他人に預ける――担い手の目利き力を見極める目利き力

3 自分で直接運用する

4 上級編 投資アイディアの格闘技――ストックピッチに挑戦する

あとがき

参考文献

6 本の紹介

 

 

ハーバード・ビジネス・スクールの投資の授業

ハーバード・ビジネス・スクールの投資の授業

中澤知寛
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