消費税7%分もの税金を取り損ねている日本とケイマン諸島の関係
タックスヘイブン先として有名なケイマン諸島をご存知ですか?
タックスヘイブンを語る際には、必ずこの地名が出てくるほど有名なケイマン諸島ですが、なぜこんなにも人気があるのでしょうか。
今回はケイマン諸島におけるタックスヘイブンの実情や、ケイマン諸島に会社を設立することのメリットなどについて、詳しくご紹介していきましょう。
法人の数は6万社以上!ケイマン諸島でのタックスヘイブンの実態
ケイマン諸島に法人6万社が登記されている
ケイマン諸島はイギリス領の小さな島です。
この島での税制面は、数多くのものが非課税となっています。
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・所得
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・利益
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・財産
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・キャピタルゲイン
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・売り上げ
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・遺産相続
これら全てが非課税です。
そんな小さな島ながらも抜群の節税効果が望めるケイマン諸島には、法人6万社が登記されており、銀行も600行以上、1万以上のファンドが登記されています。
ケイマン諸島にある5階建てのビルに1万8,000社が登記している
ケイマン諸島の首都ジョージタウンには、ウグランド・ハウスという5階建てのビルがあります。
その5階建てのビルに、なんと18,000社もの会社登記があるのです。
物理的にも不可能に見えるこの数字ですが、実際にビルの中で会社が機能しているかというとそうではありません。
ウグランドハウスはただのポストオフィスでしかなく、実際に登記している会社は他に住所を持っています。
そのため郵便物でさえ、ウグランドハウスではなく別の住所に届くのです。
このことからも、ケイマン諸島での税制メリットを得るためだけの法人、つまりペーパーカンパニーだと言えるでしょう。
国家元首が英国女王で法律もロンドンで承認されるている国
ここでケイマン諸島から少し話はずれますが、イギリスとフランスの間に位置するジャージー島という小さな島をご存知でしょうか。
このジャージー島もタックスヘイブン地域です。
ジャージー島の国家元首はイギリス女王になっています。
しかしイギリス女王が直接管理しているわけではなく、イギリス女王に任命された副総督が女王の任務を代行しています。
軍隊の総司令官としての役割はもちろん、裁判官の役割、そして政府も総括しているため、この代官が一般的な国の総理大臣であると言えるでしょう。
そんなジャージー島の法律は、全てロンドンの枢密院で承認を受けなければならないことになっています。
ジャージー島での所得税率は20%ですが、ジャージー島以外での収益には税金はかかりません。
このことからも、「国家元首が英国女王で法律もロンドンで承認されるている国」であるジャージー島は「イギリスのタックスヘイブン地域」として扱われているのです。
住民よりも企業の方が投票数が多い選挙制度とは
さて、イギリスのタックスヘイブン地域は、何も島だけでなく、ロンドン内にもあるのをご存知でしょうか。
それが「シティ・オブ・ロンドン・コーポレーション」という正式な名前を持つ、ロンドン中心部にある1区域シティです。
してシティは特別区として扱われており、ロンドンの市長とは別に、シティ市長も存在します。
なぜ特別区なのか、それはシティがイギリスの議会より前から存在しているという点です。
イギリスの議会はおよそ18世紀頃に発足されましたが、シティはその以前から存在しています。
そのため「シティは議会が作った法律には従わない」という暗黙の伝統が受け継がれているのです。
このことからも、シティは別名「国家の中の国家」とも言われています。
そんなイギリス特別区のシティですが、統治機関である市民議会の投票権は、9,000人の居住者以外にも、企業に3万2,000票が割り当てられています。
つまり住民よりも企業の方が投票数が多いという選挙制度なのです。
この「選挙制度が企業に有利な地域」という点からも、シティはイギリスのタックスヘイブンの中心地と言われています。
タックスヘイブンに隠されている資産額について
タックス・ジャスティス・ネットワークというイギリスの市民運動団体が試算したデータがあります。
このデータによりますと、タックスヘイブンに隠されている資産額は最低でも21兆ドル、最高で32兆ドルにもなるとされています。
タックスヘイブンへの資産隠しの役割を担っているメガバンクとは
メガバンクとされるトップ50の合計で、およそ12兆ドルがタックスヘイブンによって隠されていると言われています。
つまり先ほど「最低でも21兆ドル」とされていたのですから、そのおよそ半分はメガバンクが関わっていることになります。
タックスヘイブンが注目されている理由について
タックスヘイブンが注目されている理由は一概には言えませんが、それぞれの国が財政的に余裕があるのであれば、「今まで取り損ねた税金」に敏感になることはないでしょう。
つまり今タックスヘイブンが注目されるのは、それぞれの国が財政的に厳しいためだと思われます。
だからこそ、「本来ならば税金は母国に納めるべき」と国益を増やそうとしているのです。
ケイマン諸島だけで日本の消費税7%分の税金を取り損ねている
日銀が公表した国際収支統計によりますと、ケイマン諸島を利用した分だけで約14兆円に上ると言います。
消費税1%分の税収が約2兆円とされていますので、ケイマン諸島だけで7%分も取り損ねている計算です。
もちろん他のタックスヘイブン先も含めれば、さらに大きくなることでしょう。
これらが全て日本で納税されるようになれば、消費増税の先送りどころか、減税が十分可能となるかもしれません。
ケイマン諸島で会社を設立するメリットについて
ケイマン諸島の法人税について
上記でも「数多くのものが非課税」だと述べたケイマン諸島では、法人税は0%です。
日本の法人税は30%なのですから、企業側にとってどれだけ恩恵の大きな島なのかがおわかり頂けるでしょう。
タックスヘイブンを利用するとどんなメリットがあるのか?
抜群の節税効果があります。
この節税効果を狙わずにタックスヘイブンを行う企業などないでしょう。
また建物を建てたり人を雇う必要のない紙一枚で済むペーパーカンパニーなのですから、法人設立もとても簡単かつ割安で行うことが可能です。
「会社設立は安く済むけれど、莫大な節税効果を得ることができる」、これがタックスヘイブンのメリットなのです。
ケイマン諸島で銀行口座を開設するには
日本にいながらケイマン諸島に口座を開設するためには、専門の業者に依頼する必要があります。
これらの業者に依頼することで、口座を開設することができます。
節税目的のタックスヘイブンの利用は今後ますます厳しくなる
「ケイマン諸島は法人税0%」、これはとても魅力的にうつるものかもしれませんが、現在タックスヘイブンに対する規制は厳しくなる一方です。
また「税逃れをしている」と非難されることも多く、あまり歓迎される方法ではありません。
もし節税目的でタックスヘイブンの利用をお考えなのであれば、メリット・デメリットをしっかりと理解してから行うようにしましょう。
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